BizRobo! ブログRPA関連のお役立ち情報をお届けします
新型コロナウィルスの流行以降、デジタルを活用した効率的な働き方が急速に進んでおり、人手不足対策や国策として進めている企業のDXにも大きな影響を与えています。
日本国内のさまざまな業界・業種で人手不足が問題視されている中、小売業も常に人手不足の状態となっています。本記事では、小売業界におけるデジタル化の課題と対策、RPAを活用した事例をまとめてご紹介しますのでぜひご覧ください。
小売業界でRPAは活用されているのか?
多くの業界・業種で活用されているRPA (Robotic Process Automation)。RPAとは人間がコンピューター上で行っている定型作業を、ロボットで自動化することをいい、別名「仮想知的労働者(デジタルレイバー)」と呼ばれています。
一般的なRPAツールでは直接プログラムを書くことはありません。そのため、現場での業務プロセス自動化が容易になります。
また、RPAに記録した工程は、現場で柔軟に変更することも可能です。RPAを導入した後に作業内容が変更になったとしても、変更になった一部を修正することで柔軟に対応できます。このことからRPAは業務プロセス改善や人手不足対策などで幅広く活用されています。
関連記事: RPAとは?RPAを導入するメリットから導入方法までをわかりやすく解説!
RPAは小売・製造業などの事業を展開する企業にも活用されています。近年、小売業界ではDXが急速に進んでおり、これらの事業改革を推進する上で注目を集めているのが「OMO」という概念です。
OMO(Online Merges Offline/オンラインとオフライン融合)は、今後すべてのオフラインがオンライン化されることを見据え、オンライン環境をベースにオフラインと融合させるという考え方のことをさします。
オフライン活動とオンラインを全くの別物として切り離すのではなく、オフラインとデジタルを融合することで、商品・サービスの提供方法、プロモーションからアフターサービスまで、あらゆるフェーズで、デジタルデータを主軸とした事業展開が進んでいくこととなります。
以前から、ECなどの小売業界を中心にオムニチャネルなどOMOに近い考え方や概念はありました。しかし、これらはオフラインを中心とした考え方で、現在活用が急速に広まっているオンラインを中心としたOMOとは考え方に違いがありました。
昨今、注目を集めいているOMOはオンラインを主軸とした考えとデータ設計とデータ取得が必要と考えられています。毎回データ集計やデータの転記など、人間が処理していたのでは到底間に合いません。そこで必要となるのが仮想知的労働者、RPAです。
小売業ではさまざまな商品データ集計や買い付けのための資料集め、集計したデータの抽出や加工など、定型のバックオフィス業務が多く点在します。
これらの点在する定型業務はシステム構築などでは対応できません。なぜならば、システム開発費用はとても高く、定型業務が変更された場合、臨機応変に素早く変更できないからです。
小売業のデジタル化の課題と小売DX
小売業界にはさまざまな課題がありますが、業界業種問わず多くの国内企業の課題となっているのがデジタル化やDXによるビジネスモデル変革への課題です。
特に小売業の生産から製品管理、販売、カスタマーサポートまでの一連のバリューチェーンの流れをデータとして可視化し、活用するには多くの課題が存在します。ここからは小売業のDXやデジタル化の課題などについて詳しくみていきましょう。
DXとは
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称で、一般的に、デジタル技術を活用した企業変革をさします。
経済産業省が取りまとめた『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)』では、以下の通りに定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
関連記事:「DXとRPAの違いとは?RPAを導入すべき企業や推進事例」
小売業界が直面している課題とは
2,000年代初めから徐々に普及が始まったネットショップやECサイトで、小売業は大きな変化に直面しています。
ネット経由での情報収集や商品購入により、流行サイクルが短くなり消費者ニーズへの対応を短いサイクルで的確に行う必要が出てきました。その結果、消費者の要望をより的確に把握しなければなりません。
しかし、課題はそれだけではありません。消費者の要望をデータとして取得しても、人手でそれらのデータを分析や解析できるように加工・修正するには膨大な時間と手間がかかってしまいます。
そのため、データ活用が可能な基盤と業務プロセスを効率化してゆくことが今後とても重要となるのです。
DXに向けたデータ活用と業務プロセスの効率化
小売業界では顧客の解像度を上げ、より詳しく顧客のニーズを把握するためデジタル化に向けた動きが進んでいます。
例えば、店舗で顧客が商品を購入した際に取得できるPOSデータや顧客の属性、商品の購入頻度、店舗の行動履歴、ECサイトやWebサイトでの行動履歴など、日々多くのデータが収集されています。
しかし、多くの企業が収集データ量が膨大なため、これらのデータまとめて効率的な活用することが難しい状態に陥っています。
このような課題を解決すべく日本政府は国をあげてDX推進の後押しをしているのです。企業は社内でDXを推進し、取得データを統合して管理することで、RPAやAIを活用し定型業務を自動化することが可能となります。
今まで従業員が作業をしていた決済処理に関わる業務や顧客データの管理などが自動化され、作業効率上がり、スタッフの作業ミスを回避もしくは軽減することができるため、業務効率が格段に上がります。さらに、効率的に働ける環境を整えることで、従業員のストレスを軽減することが可能となります。
このように定型業務の効率化を進めることにより、空いた時間に顧客エンゲージメントや売上向上につなげることができるでしょう。さらに、メーカ、小売業、卸売業が別々に所有していたデータを共有するデータ管理のプラットフォームを整えることで、より効率化が進むでしょう。
従来、実店舗で得られるデータは、POSデータやアンケート回答など限られたものでしたが、IoTやAIといった最新技術によって、データ取得の幅は広がっています。
例えば、近年では無人店舗を設置し店舗に設置したカメラから、情報をデータ化することで顧客の属性や感情などを読み取り、利用者の行動データを取得しより良いサービス提供のため活用することも可能です。
また、取得データをより深く分析することにより、効果の高いマーケティング施策や顧客一人一人に合わせた販売促進策を実施できるようになります。
小売業で活躍するRPA(デジタルレイバー)の”今”
小売業界では先進的な取り組みを早い段階で挑戦し、多くの失敗や成功体験を重ねている企業が存在します。そのような先進的な企業から学び、自社のDXや業務改革を進めることで企業の未来は開けてくるでしょう。
RPAブームとなった2017年以降、多くの企業がRPA導入を検討し、現在では多くの部署でデジタルレイバーが活躍しています。ここでは、小売業界で先進的な取り組みを進めてきた企業に焦点をあて、業務プロセス効率化を実現している企業を紹介していきます。
小売業のRPA事例
小売業界では、RPAを活用することで業務全体を標準化し業務プロセス改善に成功している企業が多くあります。今回は、数多くある小売業界のRPA活用事例から一部ご紹介いたします。
事例ダウンロードもできるので、検討している方はぜひ資料や事例をダウンロードして参考資料としてご利用してください。
株式会社カインズ
全国に数多くホームセンターを展開する株式会社カインズ。社内業務に関わるオペレーションやシステム構築・運用などはグループ共通でシステムの管理・運用を行っている、情報システム部門に任せていました。
しかし、業務プロセス効率化の観点から迅速な施策を進めるため、最新のデジタル活用を図る新たな部署を社内に設置することが決定。
最新ITテクノロジーの社内適用を検討・実行する新部署では、稼働中のシステム活用を前提とした業務プロセス改善策として、定型業務を自動化するRPAに着目し、システム間連携などの効率化を急速に進めています。
新部署を主軸としたRPA専門チームで集中的にロボットを運用する体制を作りを進め、管理統制に長けたサーバー型の「BizRobo! Basic」を採用。
今まで人を介して行っていた業務フローを安定的に高い精度でロボットへ移行させ、販売施策のスピードアップにも貢献しています。
関連記事:ホームセンターの商品管理でBizRobo!が活躍。業務可視化で見えてきた改革への道筋
株式会社IDOM
中古車店「ガリバー」で知られる株式会社IDOMは、中古車買取台数・販売台数ナンバー1の業界最大手です。小売店舗拡大による買収などが進むことで、異なるシステムが増えシステム間連携や管理が難しくなっていきました。
事業の成長とビジネスモデル転換により発生した「オペレーション業務の煩雑化」という課題に直面し、オペレーション煩雑化の課題を解決するために、オペレーション業務を担うオフィスにてBizRobo!を導入することで業務の効率化を開始。
さまざまな検証を行う中で、検証フェーズでは業務効率化による創出時間は年間8,000時間が見込まれた。
さらに、その後業務の洗い出し、ロボット代替可能な対象業務23業務をロボットに任せることで、年間2万時間の業務時間削減効果をあげている。
関連記事:BizRobo!ゴールドパートナーのサポートでスムーズに導入、年間2万時間を削減。新しいビジネスの創出を目指す
株式会社飯田
大正12年から長年に渡り酒類食品卸売業を中核として、さまざまな事業展開を進めている飯田グループ。小売業界が激変する中で、さまざまな変化を前向きに捉え、創意工夫をすることで、業界に貢献できる経営を続けています。
飯田グループでは、従業員やスタッフの高齢化と人材確保の課題に直面していたが、人手不足対策に向けたRPAサービスBizRobo!の導入・活用による働き方改革を推進しています。
同社がRPA導入を検討し始めたのは2017年頃です。今後、人手不足が課題になると想定される中で従業員が高い生産性を保ち業務を遂行できるよう働き方改革を推し進めていました。
国内の人口減少とともに、小売業界の需要が収縮していくなかで、付加価値の高いビジネスを創出できるかが競争力のカギとなる一方で、人手不足によるひとりあたりの業務負担は大きくなりつつあります。
自動化できる定型業務はRPAで自動化することで、生産性を上げより効率的な働き方を進めています。
関連記事:人材難や市場競争激化に先んじて、部門横断型のRPA活用による業務生産性向上を目指す
ダイワボウ情報システム株式会社
ダイワボウ情報システム株式会社は、IT専門商社として全国の企業へIT機器・ソリューションの販売を展開しています。同社は社内の関心も高まっていたRPAの導入を、事業の最前線を担う営業部門の強化を目的とし業務プロセスの効率化を進めました。
導入後の効果としては、今まで見積書作成に多くの時間を割いていた営業関連の業務に特に顕著に出ました。更新を控えた契約に関する見積作成などの業務をロボットに代替した結果、年間4万時間近い時間を創出できています。
また、他拠点で共通する定型作業をロボット化することでも大きな成果を上げています。現在は社内の活用実績と成功体験をもとに業務内容の刷新を伴うロボット化や、顧客企業へのRPA導入提案にも力を注いでいます。
関連記事:各地の拠点で見積作成などをロボット化。営業の余力創出と全国へのRPA普及を進める
株式会社フェリシモ
株式会社フェリシモは、カタログ、ウェブサイトなどを使ったダイレクトマーケティング事業と通信販売事業を展開しています。同社で扱う商品は幅広く、食品からファッション、生活雑貨、美容関連商品など多種にわたります。
しかし、多くの商品を扱うため業務オペレーションは煩雑化しており、属人化的になっている業務の課題が浮き彫りとなっていました。
このようなシステムの煩雑化や業務の属人化となっている課題を解消すべく、2017年頃からRPA導入の検討を開始し、翌年にはトライアル導入&効果検証を実施、2019年から本格稼働しています。
また、受注および在庫の管理に関わる業務をおこなっているファッション事業部調達チームでは、受注や在庫管理に関わる業務の効率化に成功し、これまで各担当者が行っていた受注数予測のための在庫数確認作業を、すべて自動計測・自動入力できるようになりました。
それにより、1カ月あたり約40時間の時間創出ができています。
関連記事:BizRobo!導入でカタログ表記ミスや発注ロス率が大きく低減!職場の新しい仲間「フェリシモ こびと隊」が大活躍!
リコージャパン株式会社
全国の販社統合をすることにより、販売機能を集約したリコージャパン株式会社。新たに組織再編と基幹システム刷新を進める中で、過渡期に増大する事務作業の負担が大きな課題となりました。これらの負担を解決するカギとなったのがRPAです。
管理統制に長けたサーバー型RPAを採用することにより、多数のデジタルレイバー実装とカスタマイズを集中的に行うことにより、100体近くのロボットを定常的に稼働させ、単発的な事務処理への活用もしています。
ロボットの稼働数は、BizRobo!を中心に110体ほどが稼働、月間530時間以上の作業から社員を解放しました。
さらに、自社内でのロボット活用で得たナレッジをもとに、自社が提供するAI-OCRサービスとBizRobo!連携活用することで、RPAによる新規ビジネス開拓も進めている。
マックスバリュ西日本株式会社
広島市に本社を置くマックスバリュ西日本株式会社は、2020年末、従業員が自ら使いこなせる生産性向上の手段として、RPAに着目。非IT部門の出身であるシステム運営部部長が自ら試験的に開発に取り組み、操作性や機能、有用性を確かめ、「BizRobo!」を導入しました。
ロボットの開発はBizRobo!パートナーである株式会社ヴィンクスのサポートのもと進め、さらに、店舗勤務から転じた若手社員を責任者に任命し、ロボットの社内開発体制を確立していきました。
文字認識技術ツール「BizRobo! OCR with AI inside」を併用したデータ登録の効率化や、会計時のセルフスキャンシステム利用状況の集計などでロボットを活用し、導入後1年余で年4,000時間相当の余力を創出しています。
関連記事:レジ利用状況の集計や請求書処理などを社内開発で効率化。BizRobo!×AI-OCRで進むスーパーマーケットのDX
株式会社ファンケル
無添加化粧品などの製造販売を手がける株式会社ファンケルは2019年末、社員が自ら使いこなせる業務効率化手法として、「BizRobo! Basic」を導入しました。
BizRobo!パートナーである株式会社ヴィンクスの支援を得て、各導入部署が主体となって進めてきた社内開発により、年間およそ6,700時間相当の人的リソースを創出しています。
商品の製造およびEC・直営店での販売など、事業全般に関わる幅広い部門に導入されたBizRobo!は、処理時間の短縮はもとより、作業負荷の軽減や、人ならではの判断が求められる業務へのシフトといった成果をそろって達成。
確かな実績を踏まえ、開発スキルの学習は社内教育プログラムにも組み込まれており、さらなる社内開発者の育成を通じた活用規模の拡大が見込まれています。
関連記事:業務増の中で残業を半分に。「嫌々」から「楽しみ」に変わったBizRobo!の社内開発
株式会社フォーシーズHD
福岡市に本社を置く株式会社フォーシーズHDは、主力商品「炭酸ジェルパック」をはじめとする化粧品等の卸・ECなどを手がける企業です。
事業拡大に伴って受注・在庫に関わる事務処理などを担う管理部門の負担が増大。パソコン上で定期的に繰り返す作業が多くを占めていたことから、こうした作業を現場主導で自動化し業務効率化が図れる「BizRobo! mini」を、2020年に導入しました。
導入部署ではツール提供元からのサポートも得ながら、社員が定期的な集中開発期間を設けてRPA活用のスキルを獲得。
それまで残業や、翌日への作業の積み残しが生じる原因となっていた終業直前の締め処理を、BizRobo!による業務時間外でのRPA処理に置き換えた結果、各担当者の月あたり残業時間は半減し、業務全体の流れがスムーズになるなどの顕著な成果が現れています。
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株式会社マツキヨココカラ&カンパニー
全国にドラッグストアチェーンを展開するマツキヨココカラ&カンパニー(旧:マツモトキヨシホールディングス)は、2018年からBizRobo!を導入しています。
導入当時はまだ流通・小売業でのRPA導入事例は多くはなかったものの、BizRobo!パートナーのヴィンクス社のサポートも得ながら導入を進めていきました。
RPAを過剰に特別視せず、ツールの一つとして現場担当者が開発・運用を行える体制作りに取り組んだ結果、現場での導入が進み、3年間でRPA化した業務は約500種類に及びます。
また、担当者の作業を代替するだけではなく複数のロボットを組み合わせた仕組みで、RPAだからこそできる作業も生まれました。今後はより効率的にロボットを開発できる仕組みの構築を目指しています。
関連記事:約500種類の対象業務を自動化、RPAだからこそできる作業も登場。 徹底して現場担当者が扱う体制が普及の鍵に
生活協同組合コープかがわ
香川県で店舗や宅配事業を展開する生活協同組合コープかがわは2019年、パソコン上の定型作業を自動実行するRPAを導入しました。業務効率化の確かな成果を踏まえ、2023年から「BizRobo! mini」に移行しています。
同時に、新たな開発運用の委託先として地元四国のパートナー企業を選んだことで開発が加速。販売実績の集計や特売品の登録など、現在合計7業務で稼働するソフトウェアロボットが、年間1,320時間相当の余力を創出しています。
RPAの導入によってヒューマンエラーが減少し、業務の標準化も進んで柔軟な働き方を実現するなど現場にとってのメリットも大きいことから、今後はこうしたデジタル活用の利点が職員に浸透するよう、事務系全部署でのRPA活用を目指す方針です。
関連記事:手応えを得たRPAの活用を加速。BizRobo!×地元パートナーへの移行で導入業務を3倍超に
まとめ
商品の在庫管理や消費者の購買データをもとにした需要予測のためのデータ加工、取得データのまとめ作業などRPAは多くの定型業務を代替する役割で活用されています。今後、労働力減少が進む日本では多くの企業にとって必要不可欠な相棒となるでしょう。
今回は「小売×RPA」のテーマに絞り、RPA活用事例を一部ご紹介しました。 RPAや当社製品BizRobo!のことについて、より詳しく知りたい方はぜひ、以下からお問い合わせや資料のダウンロードをして頂ければ幸いです。