RPA(ロボットによる業務自動化)とはRPAの意味、期待される背景とは

1 RPA(Robotic Process Automation)とは

「RPA」とは、ロボットによる業務自動化の取り組みを表す言葉で「デジタルレイバー(Digital Labor)」や「仮想知的労働者」とも呼ばれています。ホワイトカラーの業務を、パソコンやサーバ上にあるソフトウェア型のロボットが代行・業務自動化を実現するRPAをRPAツールとも呼び狭義のRPAで使われます。一方、RPA「デジタルレイバー(Digital Labor)」はRPAツールと比べ、業務自動化・業務変革全体に使われ広義のRPAとして使用されています。

RPAは人間が行う業務の処理手順を操作画面上から登録しておくだけで、ブラウザやクラウドなどさまざまなアプリケーションを横断し業務自動化を実現します。現在このRPAは様々な分野で活用され始めており、金融はじめ商社、サービス、流通、小売、インフラ、製造、不動産、自治体まで多方面でホワイトカラーの業務自動化を拡大し、より広範な業務に対応できる技術として活用され始めています。 RPA「デジタルレイバー」は単なるRPAツールとしてではなく、業務全体を把握し人と協働することにより業務を分担・人間と共存しコスト削減や売上向上などの企業活動にさまざまなインパクトを与えています。

RPA(Robotic Process Automation)とは

2 RPAが必要とされる背景と日本における労働環境の変化

2-1 RPAが注目され始めた理由

2060年には、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者になるという、世界でも類を見ない超高齢化社会を控えている日本。総人口は減少の一途を辿り、労働力の中核を成す15歳以上65歳未満の生産年齢人口も1990年代をピークに減少傾向が続いています。日本経済に与えるインパクトをできる限り軽減するために、早期に生産年齢人口をカバーしなければならないことは明らかでしょう。

現在、未就業の状態にある人々の就業支援や、外国人労働者の受け入れだけでは到底追いつかないほどのスピードで進行する人手不足をいかに速やかに補完するかは、近年大きな課題とされてきました。
そこで、注目を集めているのがRPAです。

すでに工場のライン業務などでは、人間を補助する戦力としてITやロボットの導入が進んでいます。その適応範囲をホワイトカラー業務に拡大したRPAは、金融はじめ商社、サービス、流通、小売、インフラ、製造、不動産、自治体など広範囲な業務自動化・効率化に対応できる技術として大きな可能性を秘めているのです。

人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

出典:2010年までは国勢調査、2013年は人口推計12月1日確定値、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc141210.html

2-2 RPAの導入で変わる未来

RPAの登場によって、これまで「人間にしかできない」とされてきた仕事も、ロボットによる代行が可能になりました。
これを受けて、欧米を筆頭に政府レベルでRPAの導入が進みつつあります。日本の経済産業省も、RPAによる国会答弁集作成の高度化を検討しており、2017年の通常国会から本格導入したい考えを明らかにしました。

さらに、「ほかに代替機能がないためにやむを得ず人間が行ってきた」ともいえる単純作業に近い事務処理や、書類関係の作業が比較的多い金融業界や人事・採用に関わる部署など、旧態依然とした業務が多く残る業種・職種にも業務改善の可能性が生まれることになります。

紙媒体のデータ化はもちろん、そのデータに基づく一定の業務フローが自動化されるという点で、非常に画期的だといえるでしょう。今後、RPAの普及による大衆化が進み、大企業から中小企業まで、誰もがRPAを“文房具”のように使いこなす時代になっていくでしょう。RPA導入により創出した時間(マンパワー)を、より創造性が求められる分野に充てたり、ロボットとの協働による生産性向上で、社員やスタッフの賃金向上など健全な経営の改善にもつながります。

3 業務効率化におけるRPAの強みとアウトソーシングとの違い

3-1 RPAの強みとは

RPAの強みは、以下の3点が挙げられます。

・辞めない
・働き続ける
・変化に強く、同じ間違いを繰り返さない

ロボットはみずから辞めることはありませんし、24時間休みなく働き続けることも可能です。アプリケーションと違って日ごとに変わる業務の変化にも、ルールを書き換えることで柔軟に対応でき、同じ間違いを繰り返すこともありません。

ある程度のルールとフローで回せる業務であれば、RPAによって飛躍的な効率化を実感できるでしょう。人の手による作業より遥かに正確で、見落としがないことも忘れてはならないポイントです。

RPAが得意とするのは、ある程度の手順が決まっている、いわゆる「定型作業」ですが、その柔軟性と適応力は高く、状況に応じてカスタマイズできるため、幅広い業務に導入できる可能性があります。「ITによる改善を試みたものの、費用対効果が見合わず断念した」「そもそも自動化はできないとあきらめていた」業務などにも、改善と改革の可能性を与えてくれるのがデジタルレイバーです。

関連記事:バーチャルな知的労働者「デジタルレイバー(Digital Labor)」と協業する時代に

3-2 RPAとは-業務のアウトソーシングによる効率化と何が違うのか

労働力不足を補う手段として、「派遣やオフショア(海外、特に新興国や発展途上国のことを指す)のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を使う」という選択肢は広く普及しています。 しかし、派遣やBPOは人の手によるものである以上、ようやく業務を覚えてもらったところでスタッフが退職したり、引き継ぎがうまくいかず何度も同じことを指導しなければならなくなったりと、コストに相応する品質やサービスレベルが得られないケースが少なくありません。

また、必要な知識と手順が多い上に、正確性が必要な業務をアウトソーシングする場合には二重三重のチェックが不可欠であり、人件費とリードタイムがかさむ点も課題でした。

RPAとBPOや派遣との最も大きな違いは、品質を維持したまま業務に必要な時間を大幅に削減できる上、24時間365日働き続けることが可能で、退職リスクがないという点にあるでしょう。BPOを含めたこれまでの労働力が抱える課題を一気に解決することができる技術、それがRPAなのです。

関連記事:従来の業務改善とRPAを使った業務改善の違い

4 デスクトップ型RPA、サーバ型RPA、クラウド型RPAとは

4-1 デスクトップ型RPAとは

デスクトップ型RPAは、クライアント型RPAや「RDA( Robotic Desktop Automation )」とも呼ばれ、デスクトップPC内でのみ稼働し、それぞれのPC内の作業に関して業務自動化をおこないます。PC1台に対して導入されるので、特定のPCでおこなっている単純作業の業務自動化が可能となります。

デスクトップ型RPAとは

デスクトップ型RPA特徴①
各PC内の作業に特化して業務自動化が可能

デスクトップ型は、個人のPC上で稼働するため、各PCの作業レベルで自動化を行うことができます。これにより、特定の端末PCだけで自動化を進められるため、導入から業務自動化が複雑にならなくて済みます。

デスクトップ型RPA特徴②
担当者レベルで管理できる

各PC端末に導入されるため、全社的に管理することはなく、担当者レベルでRPAを管理できます。また、各PC上で行う作業に限られますが、自動化したい業務におけるさまざまなシステムとの連携も可能です。

デスクトップ型RPA特徴③
部門や個人レベルでの小規模導入がしやすい

デスクトップ型であれば、1台のPC単位で導入できるため、部門や個人単位での小規模導入がしやすくなります。初期費用や保守などで費用がかかるサーバ型に対し、デスクトップ型は比較的安価に導入し、スモールスタートが可能となります。

※デスクトップ型RPA導入の注意点について

デスクトップ型RPAは、サーバ型RPAと比べ比較的安価なため多くの企業で導入が進んでいます。しかし、後々のスケール化(社内展開)を考慮せずに導入してしまうと小規模な使用で止まってしまいます。デスクトップ型RPAを導入する際は、サーバ型RPAへ移行が可能なのか等も含め検討し選定することが必要です。例えば、BizRobo!のデスクトップ型RPA BizRobo! miniならスモールスタートが可能であり、小規模から大規模になるにつれサーバ型のBizRobo!への移行もシームレスに実現できます。このように中長期的なプランを考え導入検討を進めましょう。

4-2 サーバ型RPAとは

サーバ型RPAは、ロボットがサーバ内で稼働し、業務を横断的に管理して、業務自動化します。あらゆる大量のデータやルールをサーバ内で一括管理し、社内での大規模展開(スケール化)ができます。

サーバ型RPAとは

サーバ型RPA特徴①
業務を横断した一括管理が可能

サーバ型RPAでは、サーバ内でロボットが稼働するため、各種データやロボットが働くためのルールなど、大量のデータ量をサーバ内で一括管理できます。サーバ内に必要なデータを取りまとめておくことにより、デジタルレイバーがルール通りに働き、さまざまな業務を自動化することができます。また、全ロボットの稼働状況を把握することも可能ですので野良ロボット(管理・把握ができないロボット)が比較的できにくいと言えます。

サーバ型RPA 特徴②
PC1台に対し、複数のロボットが稼働

サーバ型RPAツールの特徴として、複数のロボットがサーバ内で同時に稼働することができることも挙げられます。1台のサーバに対し複数のロボットを同時に稼働できるため、デスクトップ型RPAに対し圧倒的な効果を得られます。

サーバ型RPA 特徴③
今後の大規模展開にも対応できる

サーバ型RPAツールでは、クラウド対応や仮想化対応したRPAツールもあるため、今後全社的にRPAツールを導入して自動化を進めていくにはおすすめです。ただし、デスクトップ型に比べて初期費用が高くなるので、今後の展開を見据えておく必要があります。

※サーバ型RPA導入の注意点

注意点①サーバ型RPAには2種類ある

サーバ型RPAにもデスクトップ処理型とバックグラウンド処理型の2種類あります。デスクトップ処理型RPAは稼働端末に影響を受けやすくバックグラウンド処理型に比べると処理が安定しません。バックグラウンド処理型RPAはPC環境(画面の解像度やwindowsのアップデート)に影響を受けることが少なく処理が安定します。このバックグラウンド処理ができるサーバ型RPAはBizRobo! RPAのみです。これを実現しているのがBizRobo!の有する独自の内部ブラウザエンジンです。そのため、バックグラウンドで複数プロセスを同時に処理することができるのはBizRobo! RPAの大きな特徴です。

注意点②サーバ管理機能の費用について

サーバ型といわれている多くのRPAツールは管理機能に別途高額な費用がかかります。BizRobo! RPAならはじめから管理機能がついており、管理できるロボット数に制限はありませんので、安心してご利用いただけます。BizRobo! RPAはスモールスタートから始め大規模で管理しても追加でコストのかかることのない、費用対効果のでやすい料金体系です。

4-3 クラウド型RPAとは

クラウド型RPAとは、インターネット上のクラウドサービスにログインし、そのクラウド環境にソフトウェアロボットを導入して、Webブラウザ上での作業を自動化させるソリューションです。自動化できる範囲がWebブラウザ上での作業に限定されるため、クラウドサービス以外との連携は難しいですが、導入価格を安く抑えられます。業務でクラウド型のサービスを利用していて、その業務を自動化させたいというニーズに対してクラウド型RPAは有用です。

クラウド型RPA特徴①
導入コストを抑えられる

クラウド型RPAツールは、自動化できる対象が限定的である分、安価に抑えられます。初期の投資額が大きい場合、なかなか導入できない企業も比較的安価なクラウド型であれば、スモールスタートから成功パターンを模索し活用の幅を広げていくことができます。

クラウド型RPA 特徴②
担当者の業務レベルから導入が可能

クラウド型RPAツールが自動化できる作業は、Webブラウザ上で行われる単純作業で、現場の担当者が日々の業務の中で行っている作業から自動化が可能です。こうした業務自動化をRPAに任せて効率化していくことで、導入の効果がより早く感じられ、広範囲の業務自動化に取り組みやすくなるでしょう。

5 RPAによる業務自動化のメリット

5-1 RPAによる品質・コスト・リードタイムの最適化

RPAはこれまで不可能と考えられていた3つの経営KPIである品質・コスト・リードタイムの最適化を実現します。人が行う単純作業ではどうしてもミスは避けられませんが、RPAで作成したデジタルレイバーはミスなく仕事をこなします。また人が行うよりも数十倍から数百倍のスピードで業務を実行するため、圧倒的なリードタイムの短縮が可能です。デジタルレイバーは人に比べて、正確でスピードが速く、なおかつ人件費よりも安いコストで導入ができるのです。

5-2 RPAによる売り上げの最大化

RPAを導入することによる大きなメリットとして、その他にも売り上げの最大化が挙げられます。
例えば、国内で仕入れた車を海外に輸出する事業を手掛ける中古自動車販売店では、営業マンが海外の顧客からのオーダーに合わせてインターネットで情報を集め、マッチングを図るという一連の作業を行っていました。この作業のルールとフローをRPAに覚えさせて代行させることにより、わずか2ヵ月で売り上げを3倍にまで伸ばすことに成功しました。

ルール化できる作業をRPAが担うことで、人間はより創造性が必要な業務や属人性を求められる業務、コミュニケーションが必要な業務など、「人間にしかできない仕事」に集中することができます。RPAと人間がそれぞれの能力によって最適な棲み分けを行えば、最低限の人件費で売り上げ拡大を実現できるという好例でしょう。

RPAの導入は、人間と同レベルのサービスと品質を人間以上の迅速性と正確性をもって実現し、絶え間なく働き続ける有能なデジタルレイバーを雇用するのと同じなのです。

5-3 RPAによるコストの削減

「コストを抑えつつ業務を内製化したい」というニーズに対応できる点も、RPA導入のメリットです。

ある生命保険会社のオペレーションセンターでは、業務を滞らせる原因となっていた顧客情報を確認する際の画面遷移にRPAを導入したことによって飛躍的に業務効率が上がり、派遣社員を80名から13名に減らすことができました。これまで派遣社員一人あたり30万円×80名で2,400万円かかっていた人件費は、30万円×13人で390万円となり、83.8%ものコストカットを実現したことになります。

「人にしか対応できない」と思い込んでいた業務や費用対効果が折り合わずシステム化を断念した業務、システム化した場合に起こりうるエラーを懸念して、やむを得ず人間が担当していた業務など、RPA導入の可能性はあらゆるところにあります。RPAの導入と維持にかかるコストは、派遣社員一人を雇用するより遙かに低く、高い費用対効果が期待できるでしょう。

6 RPAがビジネスと市場に与える影響

6-1 RPAによって変わる未来

近年、世界中でRPAが急速に発展し、日本でも導入企業が増加しました。マッキンゼー・アンド・カンパニーは、世界におけるロボティクスによるオートメーションマーケットの市場規模は「6.5 trillion dollars」、日本円で約650兆円に達すると予測しています。 そのうち2~3%を日本が占めると考えると、国内だけで約20兆円ものマーケットが生まれることになります。

人口の減少によって不安視されていた、近い将来の労働力をRPAにより確保できるだけではなく、24時間365日稼働し続け会社を辞めることもないので多くの効果が期待されています。BizRobo! RPAも2019年1月時点で導入企業数1,000社を突破し、これからはますます大企業だけではなく、中小企業までRPAの普及・大衆化が進んでいくでしょう。

6-2 これからRPAが果たす役割とは

一般的にはRPAを導入することで、最低でも人間2~5人分に相当する仕事量に対応できるため、RPAの普及が人間の仕事の一部を奪うという側面がないわけではありません。

しかし、現場での柔軟な業務対応が重視される日本では、システム主導で業務の大部分を自動化・規格化するようなやり方は浸透しにくいでしょう。すでに多くのロボットが導入されている工場のライン業務でも、ロボットの動きを監視・監督してチューニングする役目を果たす人間が必ず存在しています。RPAの導入がいかに進もうとも、ロボットだけで仕事は完結しません。

派遣社員がRPAの監督者としてともに働く「ハイブリッド派遣」といったように、派遣社員1名とデジタルレイバー1体のセットで10人分の仕事をするというようなスタイルも徐々に広がっていますし、デジタルレイバーと共に働くことで、人の時短勤務やリモートワークの環境も整ってきています。

今後のRPAには人間と協働し、業務を分担することによって業務自動化による単純作業の効率化や売り上げに寄与する働きだけでなく、社員の賃金向上やリモートワークによるより良い生活を送ることが可能になるなどのデジタルレイバーによる効能が期待されています。

関連記事:私たちが推奨する「日本型RPA」とは

7 RPAはどのような技術と環境で機能するのか?

7-1 RPAを動かす技術

RPAは、人間の知能をコンピューター上で再現しようとするAIや、AIが反復によって学ぶ「機械学習」といった技術を用いたロボット(ソフトウェア)です。
端的にいえば、おもに表計算ソフトなどでユーザーが登録した作業を自動で繰り返し処理する「マクロファイル」のようなものです。人が行っているアプリケーションの操作を、自動化ツールを用いてマクロ化し、そのマクロファイルが作業を代行するというイメージです。

マクロファイルとの大きな違いは、他のアプリケーションを使用するために必要となるAPIを開発段階で用意していなくても、ウェブアプリケーションやメールソフトといった他のソフトウェアも自動で操作できることです。
人間が行う業務の処理手順をPCのウェブブラウザのような操作画面上から登録しておくだけで、ソフトウェアはおろか、ブラウザやクラウドなどさまざまなアプリケーションを横断して動かすことができます。

7-2 RPAとは–RPAツールとExcelマクロとの違い

Excelマクロとはマイクロソフト社のExcelに装備されている複数の作業手順を記憶し、自動的に実行させる機能です。

RPAとマクロファイルとの大きな違いは、RPAは他のアプリケーションを使用するために必要となるAPIを開発段階で用意していなくても、ウェブアプリケーションやメールソフトといった他のソフトウェアも自動で操作できることです。人間が行う業務の処理手順をPCのウェブブラウザのような操作画面上から登録しておくだけで、ソフトウェアはおろか、ブラウザやクラウドなどさまざまなアプリケーションを横断して動かすことができます。

マクロよりもRPAを使用する4つの利点
・マクロと比べRPAは自動化できる業務が圧倒的に多い
・AI-OCRなどの連携による業務の高度化が可能
・現場の方でも使用できるため、現場主導による活用が可能
・大量のデータを高速処理が可能

RPAとは機能説明

出典:アビームコンサルティング

RPAは「人間が行う業務を自動化するためのツール」として開発されており、人間が画面上で行う業務のほとんどを自動化することが可能になると期待されています。マクロはPC上で動作するものであり、処理速度は使用しているPCのスペックに影響され、大量のデータを一気に処理するとなると、マクロの処理速度は極端に遅くなりExcelやPCがフリーズすることもあります。一方、RPAはサーバ上で動作するものが主流となっており、RPAの処理速度はPCのスペックではなく、サーバに影響されます。

一般的に、サーバは大量のデータを処理することを想定されているため大量のデータも高速で処理することができるのです。

それに加え、RPAは比較的マクロよりも設定に必要な知識のハードルが低いことも特徴とされております。そのため、日本のエンジニア不足の解決策として、比較的現場で使いやすいRPAを使うことにより、デジタルレイバーの大衆化および現場でのRPA活用が期待されています。

7-3 RPAはAIと何が違うのか?

RPAはあくまで概念であり、いまだ明確な定義はありません。RPAにはステージ1からステージ3までのレベルがあり、そのうちステージ2とステージ3がマシンラーニング、いわゆる自律型AIにあたります。

RPAとはクラス説明

わかりやすくいえば、将棋やオセロなど定められた手数の中で考えうる戦略パターンを何千通りとインプットした上で動かしているロボットはRPAにおけるステージ1であり、同じテーブルゲームでも囲碁のように盤面を見て過去の対戦を参照しつつ、みずから次の一手を「考えて判断する」ロボットであればRPAにおけるステージ2かステージ3にあたるということです。

つまり、指示に従って言われたとおりの動きをするロボットはRPAのステージ1、変化に柔軟に対応してみずから考えるロボットはRPAのステージ2またはステージ3ということになり、概念としてはRPAの先にAIがあるといえます。

RPAとは説明

7-4 RPAの「ロボット」とは?

「RPAはロボットによる業務自動化である」と説明されることが多いため、特に日本人はアニメなどでなじみ深い「人型ロボット」をイメージするようです。 しかし、RPAはあくまでソフトウェアであり、実体はありません。

ロボットとは、「人間が行う作業を代行できる」「人間と比較したときに圧倒的な能力を持っている」「ルール変更など環境の変化に強く、柔軟性がある」という3つの特徴によって定義されるものです。

しかし、実体がないと知ってもなお「ともに仕事をする存在」として、ロボットを受け入れたいと願う日本人は多くいます。人間の社員と同じように愛称をつけて呼び、入社式を行って「仲間」として迎える企業があったり、3Dで可視化できるキャラクターを作ったりする企業もあります。

7-5 RPAはシステムと何が違うのか?

ITシステムは、システムそのものの稼働にも、他のソフトウェアとの連携にもプログラミングが不可欠です。想定されるエラーを含めて、あらゆるケースをすべてプログラムしてからリリースしなければなりません。

一方のRPAはノンプログラミングで、連動を含めて1度プロセスを把握してしまえば、自動的に処理を行うことができます。

あくまでも「人間の代行」「人間の業務の補完」という存在であり、想定外の事態に際して処理を間違えた場合は、教え直すことで正しいプロセスを学習し成長します。人間が業務上のミスや不具合をフィードバックして別のやり方を試すのと同じですが、その過程を非常にスピーディ且つ正確にこなせることが可能となります。

関連記事:RPA導入に向けた適応領域と導入パターン

関連記事:【保存版】知っておきたい主要RPAソフトウェアの基礎と特徴

8 これからRPA導入を進める方へ

8-1 RPAを始める際の社内体制について

RPAの導入を進めるにあたり、最も重要なことの一つがRPA導入・活用に向け社内の体制を設け、現場の声や相談を拾いそれらにしっかりと応じられる準備をすることが大切です。社内でRPAを活用するために経営企画等のマネジメント層からRPAを使用する現場層までを上手く巻き込み、設定した目標にチームもしくは会社全体で向かわなければなりません。

RPAはマクロと異なり野良化しにくいですが、RPA利用ユーザーからの相談に応じられる体制を設けることは必要です。なぜならば、実際にRPAツールを使うのは現場の社員であり、マネジメント層の目線から見た導入意義は実感を持って伝わらないことがほとんどです。体制を作らず現場でRPAのロボット作成が行き詰ることは避けなければなりません。

8-2 RPAで自動化する業務を洗い出す際の注意点

導入初期のユーザーにとってはRPAで自動化する業務の選定は非常に重要です。ここでつまずくとその後のRPAプロジェクトに大きな影響が出ることもあるでしょう。いきなり複雑で業務ボリュームのある作業をRPAで効率化・自動化しようとするのではなく、まずは少量多品種業務からRPAで効率化・自動化するとうまくいくでしょう。また、ここまではRPAで自動化し、ここからは人が手作業で実施するなどの線引きをすることで業務の品質を高めることも可能になるでしょう。

8-3 PoC(概念実証)で気をつけること

PoCとはProof of Conceptの略で本格導入前の実証実験の意味合いで使われることが多いです。本格導入に向けてPoCで何を確認し、何をゴールとするのか決めておくことが重要でしょう。主な確認すべきこととしては検討しているRPAツールが自社にあっているか、RPAでエラーが発生した時の対応オペレーションなどです。そのほかにも注意点としては以下の3つが挙げられます。

以下の3つが挙げられます。
・自動化したい業務は現場から出してもらう
・ロボットが増えることを前提とした管理体制をPoC中から検討する
・RPAの内製化に向けた課題を洗い出す

特に3つ目の「RPAの内製化に向けた課題を洗い出す」ことは今後のRPAの推進に大きく影響を与えます。最近では本格導入以降も外部に開発や運用を任せ、継続的にコストが発生するケースが多く見受けられます。それでは従来のITシステムプロジェクトと何ら変わりがありません。変化に柔軟に対応できるRPAの効用を体感するためにもRPAを内製化できる体制を自社で組成することが重要でしょう。

9 RPA導入事例

事例11件あたり数分かかっていた作業にRPAを導入し、20秒程度で処理

クライアント:日本生命保険様
課題:事務作業にかかる時間を短縮し、より柔軟性が必要な仕事にマンパワーを投入したい。

請求書データのシステム入力作業を担当する「社員」として、入社式を経て日本生命保険銀行窓販事業部門のある部署に配属されたRPAがいます。その名も「日生ロボ美ちゃん」。事務処理作業を代行する有能な社員として日夜業務に励み、社員たちに親しまれています。

<具体的な課題>
・請求書データのシステム入力作業に時間がかかり、他の業務に時間が割けない。
・単純処理が続くため、人間が行うと集中力を欠きミスを招く恐れがある。

<RPAによるソリューション>
保険契約者から郵送される保険金の請求書に記載されている、約10桁の証券記号番号入力にRPAを導入。職員は証券記号番号をスキャンするだけで、ロボ美ちゃんが必要な社内システムを横断して、データの収集から業務システムへの入力までを代行してくれる。

<RPA導入後の成果>
・1件あたり数分かかっていた処理が20秒ほどに短縮された。
・単純ミスがなくなった。
・パターンに応じた柔軟な対応が必要な業務など、「人間にしかできない」業務に十分なマンパワーを配分できるようになった。
 

事例220種類のRPA導入により8,000時間分の事務処理作業を削減

クライアント:三菱東京UFJ銀行様
課題:膨大且つ手間のかかる作業を削減し、担当者の負担を軽減したい。

金融やHRは、特にRPA導入の動きが活発な業界です。煩雑な事務処理作業が多く、業務が非効率であるという課題を抱える一方で、ITシステムを導入するにはコストがかかりすぎるという理由で、やむなく手作業を継続してきたという背景があるためです。
東京三菱UFJ銀行では、2年間の先行運用期間中に20種類の事務処理においてRPAを導入。高い成果が得られたとして、2015年11月から本格適用に乗り出しています。

<具体的な課題>
・1時間おきに社内システムにアクセスしてデータを取得。
   チェックしたデータをエクセルにコピーするというような煩雑な作業が多くあり、担当者の負担が大きい。

<RPAによるソリューション>
PCを用いて、一定のルールに基づいて行われる作業にRPAを導入。
一定の時間ごとの処理が求められる業務では、データをチェックする時間を定めて自動化を実施。

<RPA導入後の成果>
・パイロット運用を実施した20種類の事務作業において、年間で8,000時間(1日8時間で計算すると、約1,000人日)分の事務処理作業削減に成功。
・業務が効率化されたことにより、事務処理を担当していた社員から重要な作業に時間を割けるようになったという声が上がっている。
・一定のルールに基づく作業であれば、ある程度の属人的な作業であってもRPAを導入して効率化できるという目途が立った。
・複数のシステムを利用して行っていた事務処理に適用することで、システム連携による業務の単純化も視野に入れることができた。
 

事例34人分の仕事を代行できるロボットが1週間で完成

クライアント:オリックスグループ様
課題:営業事務の処理量の増減に柔軟に対応し、処理しきれないケースをなくしたい。

オリックス・ビジネスセンター沖縄では、事務処理の量が時期やタイミングによって増減するため、急激に増えた事務処理の量に対応しきれず業務が滞ったり、混乱を招いてミスにつながったりといった懸念を常に抱えていました。
万が一の事態にも柔軟に対応できる体制を構築する必要に迫られ、事務処理の一部を人間の手から切り離す方法を模索する中で、RPAに着目するに至ったそうです。

<具体的な課題>
・およそ800人の担当者が、グループ12社からの多様な事務処理を分担して請け負っているが、処理量が急激に増えると対応しきれない場合がある。
・事務処理の内容はさまざまで、常に一定量の依頼があるわけではない。
・業務部門の担当者はITに精通しておらず、複雑なシステムの導入は避けたい。

<RPAによるソリューション>
シンプルな処理業務はRPAに任せ、人間は即時の判断が求められる事務処理を担うよう役割分担した。これにより、非常事態にも余裕をもって対応できるようになった。

<RPA導入後の成果>
・RPAに任せたい事務処理の手順を登録する方法さえ覚えれば、ITの知識がない担当者でも1週間ほどでロボットを開発できた。
   さまざまなケースで導入を試行することで、効率良くRPAで業務を運用できるようになった。
・あるケースでは、4人の担当者が行っていた業務をRPA1体で代行できるようになり、人件費とコストが大幅に削減された。
 

事例4熟練スタッフ10名の業務が新人スタッフ1名へ!圧倒的なダウンサイジングを実現

クライアント:大手通信会社
課題:事務処理にかかる時間を圧縮し、コストを削減したい

「緊急で問い合わせをしたいが、なかなかつながらない」「つながったあとも保留の時間が長く、その場で回答が得られないこともある」といった不満をコールセンターに抱いたことがある人は多いのではないでしょうか。
一般的なコールセンターでは、多くのスタッフが常駐し、お客様からの電話を受けて顧客情報を照会したあと、問い合わせの内容を調査・確認して回答しています。しかし、1件1件の照会や確認といった事務的な作業に時間がかかるため、どうしても対応できる件数に限界がありました。

<具体的な課題>
・お問い合わせを受けて「顧客ステイタス」を変更する際に生じる画面遷移が30~40もあり、1件の処理に約20分かかっていた。
・条件ごとに枝分かれする選択肢から最適なものを瞬時に選ばなくてはならないため、ミスが起きやすかった。
・新人と熟練スタッフとでは処理速度が大きく異なり、待ち時間に差が生まれる原因になっていた。
・新人スタッフの教育にも時間がかかるため、常に人手不足だった。

<RPAによるソリューション>
「顧客ステイタス」変更時の画面遷移をRPAによって自動化し、処理速度を向上。

<RPA導入後の成果>
・自動化によって、30~40あった画面遷移をわずか3画面にすることに成功。
   結果、1件の処理にかかる時間は1分と、導入前の20分に比べて大幅に短縮された。
・「複雑なルールの下で正しい条件を即座に選択する」という正確性と迅速性が求められる作業を、RPAが担うことでミスも消滅。
・待ち時間が減ったことによってお客様のストレスもなくなり、クレームが激減した。
・これまで熟練スタッフ10名を要していた作業が新人スタッフ1名で可能になり、人員及びコストの削減にもつながっている。

導入前   導入後
熟練スタッフ 10名 新人スタッフ 1名
画面遷移数 20~30 画面遷移数 3
処理時間 20分 処理時間 1分
ミス・クレームあり ミス・クレームなし

事例5人力では3人で7日かかる作業をRPAが半日で完了

クライアント:ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング様
課題:各製品に興味を持ってブランドサイトを訪れてくれたお客様を、自社運営による比較ポータルサイトを経由して、スムーズに販売パートナーであるECサイトに誘導したい。

約190ヵ国にブランドを展開し、毎日20億人以上の消費者に選ばれている世界最大級の消費財メーカー・ユニリーバ。ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングは、ユニリーバ製品のマーケティング部門と、営業・受注管理などのカスタマーサービスを担う営業部門で構成されています。
ブランドサイトからECサイトへの誘導率を上げることによる製品キャンペーンの費用対効果アップ、販売パートナーであるECサイトの売り上げに対する貢献などのため、しくみを補完する必要がありました。

<具体的な課題>
・「ECサイトの在庫、価格、ポイント還元率などの情報を取得し、適切に表示する」という作業に必要なタスク項目は、試算すると3,000項目以上。人力では3人が24時間働き続けても、1週間以上かかる計算になる。
・ITシステム等は初期費用、及び月あたりの運用費が高く、運用中も想定外支出が発生する可能性があることなどから、予算内で別の解決法を探したい。
・データベースとの接続や連携までを自動化したい。
・対象となるサイトの増減があるため、数に制限がなく、追加や変更がいつでも可能であることが望ましい。
・多言語に対応してほしい。

<RPAによるソリューション>
既存のブランドサイト内に、製品の価格を比較する比較ポータルサイトを新設。オンライン上のさまざまなチャネルで販売されている自社製品に関連する情報の取得をRPAにより自動化し、リアルタイムで表示できるようにした。

<RPA導入後の効果>
・比較ポータルサイト上で価格や送料、ポイントといった重要な消費者ニーズを即時に把握できるようになった結果、自社製品の販売傾向を把握し効果的な戦略を立てられるようになった。
・営業方針として掲げている「OSA(オン・シェルフ・アヴェイラビリティ:店内の商品の割合)」を改善・管理するための社内ツールとして、比較ポータルサイトを利用できるようになった。
・ユーザビリティが向上し、ブランドサイトからECサイトへのトラフィックが上昇した。
・多数ある販売パートナーのECサイトへ効果的に送客できるようになり、各社の売り上げ向上に貢献することができた。

比較ポータルサイト で各ECサイトの価格とポイント、送料についてリアルタイムで自動更新

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10 RPAについてさらに詳しく知りたい方へ

これまでの説明で、RPAが持つ将来への可能性に興味を深められた方も少なくないと思います。そのような方には、日本RPA協会の代表理事であり弊社の代表でもある大角暢之が、2016年12月に出版した書籍の購読をおすすめします。

『RPA革命の衝撃』
著作:大角暢之 監修:佐々木 俊尚
出版社:東洋経済新報社
RPAの技術に関する解説やRPA導入による業務の改善事例、企業や経済に与える影響まで、RPAが与えるビジネスへのインパクトと将来像を網羅した一冊です。

そのほか、弊社RPAテクノロジーズでは実践的な導入セミナーを開催するなど、RPAの普及を推進しています。事業への導入を検討されている方、また提携企業への提案に活用したいと考えられている方、新たなビジネスソリューションとして活用したいという方も、ぜひお問い合わせください。

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RPA革命の衝撃