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経理部門は、社員や売上の増加に比例して業務量が増えるため、効率化を図りたいと考えている企業が多いでしょう。
しかし、どのように効率化を進めれば良いかわからず「なかなか取り組みを進められない」という声も耳にします。
経理業務は専門性の高い業務でありながらも、定型的な作業が占める割合も少なくないため、効率化ができれば大きな効果が期待できます。
そこで、今回の記事は経理業務の効率化が進みにくい理由や、効率化するための方法について解説。また、効率化におすすめなツールも紹介していますので、最後までご覧いただければ幸いです。
目次
経理業務とは? 効率化が進みにくい理由も解説
経理業務は、企業経営に必要な資金に関わる重要度の高い業務が多く、正確かつ迅速な作業が求められます。
しかし、毎月の月末・月初については「入金管理」「売上・支出の集計」「帳簿作成」といった業務が立て込みます。
また、年間では「3月〜6月」「12月〜1月」については繁忙期のため、毎日の業務に合わせて繁忙期分の業務も同時にこなさなければなりません。
そのような背景から、経理業務に対して効率化を行い解決するべきですが、多くの企業では「なかなか効率化を進められない」と感じているようです。
管理部門・士業領域の人材マーケットのリーディングカンパニーである「株式会社MS-Japan」が経営しているManegy(マネジー)(※1)で行った、経理領域で「課題」だと考えているものというアンケート調査によると、以下のような結果でした。
・業務の効率化・時間短縮 :40%
・書類・伝票等の電子化 :39.3%
・属人化の解消 :31.1%
・ルーティン業務の自動化 :26.6%
・人手不足の解消 :24.2%
やはり企業として業務の効率化については急務と捉えつつも、書類・伝票等の電子化が滞っていたり、属人化などの課題がネックとなっていたり、うまく推進できていなかったりする状況がみられます。
では、なぜ効率化が上手く進まないのでしょうか。経理業務の「効率化を阻む理由」について4つ挙げて解説していきます。
理由①:紙ベースの書類が多い
経理業務は経費精算や取引などの処理で紙ベースの書類を多く扱うため、必然的に「手作業」となってしまいます。整理整頓をしていても、必要な書類の検索などに時間がかかるため、どうしても非効率な状態になることも。
また、人が作業をしているため「疲れや慣れ」などから、ヒューマンエラーが発生するリスクもあります。
しかし、そんな課題を理解しつつも「セキュリティ上の不安」や「導入コストがかかる」などの理由から、ペーパーレス化が進んでいない状況です。
理由②:専門的な知識が求められる業務が多い
経理業務は、専門的なスキルを要求されることが多く、ルールを決めて作業を進めないと、業務が回らなくなるといったケースが存在します。
そういった背景から業務の属人化が進みやすく、作業内容がブラックボックス化してしまうことも多い傾向にあります。結果として、非効率な状況に陥ってしまうのです。
理由③:手作業の業務が多い
経理業務は、作業するときの書類が紙であることが多いため、請求書が紙で届いた場合のチェックやシステムへの入力作業など、ほとんどの業務が手作業です。
そうすると、作業時にどれだけ注意しても、ミスをしてしまう可能性があります。
二重チェックをするといった対悪さえも手作業になってしまうため、人が介する業務が無くならず効率化へ踏み切れない状況に陥ってしまいます。
理由④:慢性的に人材不足
経理業務は、人事や総務などと同様に、直接的に利益を生み出す部署ではないため、人員を最小限に抑えられがちです。
そのため、作業量に対し配置されている人数が少ないため、1人あたりの負担量が大きくなる傾向にあります。現状にプラスして効率化の工数を捻出するのが難しいため、現状維持に落ち着いてしまうのです。
経理業務を効率化する5つの方法
ここからは、経理業務を効率化する5つの方法について解説します。
方法①:経理業務のフローを可視化する
経理業務を効率化するためには「効率化のネックになっている部分」や「実際はどれぐらい時間がかかっているのか」などの課題を洗い出すために業務を可視化することが大事です。
また、専門性が高く属人化しやすい業務が多い傾向にあるため、フローを可視化することでボトルネックとなっている工程を見つけやすくなります。
既存のマニュアルや手順書とも照らし合わせながら、問題点を見つけ改善していきましょう。
方法②:ペーパーレス化を進める
紙の整理や管理などで業務に時間が掛かってしまう企業は、会計ソフトや請求書発行システムなどを導入し、ペーパーレス化を進めましょう。
そうすることで、経理部門の主な業務である会計処理や請求業務にかかる工数の削減や、手作業を廃止することによるヒューマンエラーを回避することが可能です。
また、会計ソフトや請求書発行システムには初心者でも作業できるような機能が備わっているケースが多くあるため、簿記知識が乏しい社員であっても活用でき、属人化の防止も期待できます。
方法③:経理業務効率化コンサルティングを導入する
効率化をしたい思いはあるが、業務改善を検討する時間がないという課題を抱えている場合は、経理業務効率化に特化したコンサルティングの導入も検討してみましょう。
タイプとして、経理業務を専門として効率化のコンサルティングをしている企業や、ツールを導入することにより、サポートの一環としてコンサルティングしてくれる製品もあります。
導入する場合は、自社に必要なタイプを検討し、過不足ないサービスを導入しましょう。
方法④:経理代行サービスを導入する
経理業務の効率化を進めたいと検討しているものの、担当者の業務負荷が高くリソースの捻出ができないといった課題がある場合は、一部の業務を代行してくれる経理代行サービスの導入を検討してみましょう。
経理代行サービスでは、記帳業務、給与計算、年末調整といった業務を代行してくれます。他の業務に時間を割り当てたり、より効率化できる手段を検討する時間の捻出ができたりします。
方法⑤:RPAツールを導入する
日々の定型作業や単純作業に手間がかかり、リソースが創出できないといった課題がある場合、RPA(Robotic Process Automation)ツールの導入を検討してみましょう。
RPAツールは、業務を自動化するツールです。手作業を代替えすることによる工数の削減や、OCRというテクノロジーを活用することによって紙媒体のデータ化なども可能になります。
そうすることで、属人化や人手不足の解消にも繋がりますので、経理業務を最適化することができます。
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【課題別】経理業務へのRPA導入事例を3つ紹介
経理業務へRPAを導入し、課題解決した事例について3つ紹介します。
事例①:紙帳票をデジタルデータ化し効率化した事例
物流企業として140年余の歴史を持つ鴻池運輸株式会社(大阪市中央区)は、生産性を向上させる策として、紙帳票などをデジタルデータ化するAI-OCRを導入しました。
また、ペーパレス化が実現しても、二重チェックなどの確認作業が残れば効率化は限定的となることを懸念し、定型作業を自動化できるRPAツールも合わせて導入。
その結果、毎日およそ100枚程度処理していた納品書の、データ入力と確認作業が不要となり、1日あたり最大2時間の余力が創出されました。
あわせて、そういった効率化の実績ができたことにより、自発的に作業内容を見直すという動きが活発化し、業務改善へ向けた好循環な環境作りが構築できています。
事例②:人材不足へ対処した事例
新潟県の銅合金製造メーカーであるJマテ.カッパープロダクツ株式会社は、新たな人材の採用難という背景もあり、希少な社員に「人しかできない仕事」をしてもらうための施策としてRPAを導入しました。
RPAを導入するまでは、客先から届いた注文書や納品書を印刷してチェックし、自社の基幹システムへ入力するような業務があり、納品書の数が増えるほど大幅な工数がかかっていたようです。
そこで、RPAによる自動化と紙帳票をデジタルデータに変えるサービスを併用し、人がしなければいけない作業を極力削減しました。
その結果、導入初年度から1,000時間以上のリソースが創出され、IT投資回収が見通せるほどの高い費用対効果が出ています。
また、引き続き業務効率化は進められており、2年以内に社内の定型業務に要する工数の3割減まで見込めている状況になります。
事例③:ヒューマンエラーに対処した事例
カタログ、ウェブサイトを使った通信販売事業を手掛ける株式会社フェリシモは、ITシステム拡大による業務の煩雑化や、属人化の解決策としてRPAを導入しました。
今までは、「商品カタログの印刷原稿チェック」作業について、300商品なら5時間と大幅な工数がかかっていたり、疲れや慣れといったことから見落としたりなども発生していたようです。
そこでRPAを導入し、チェックそのものは数十秒で終了し、見落としの数も激減しました。
また、「受注・在庫の管理に関わる業務」にRPAを適用し、1カ月あたり約40時間のリソースが創出されただけではなく、在庫チェックの頻度を向上させることが可能となり、より正確な受注予測が行えるようになるという効果もでています。
経理業務を効率化する4つのメリット
経理業務を効率化する4つのメリットを紹介します。
経理担当者の負担軽減とリソースの創出
経理担当は、企業経営に関わる重要度の高い業務が多いため、ミスの許されない慎重な対応が求められます。
また、通常も売上の状況などによって処理量が増えますが、月末月初といった繁忙期はプラスして業務が増えるため、常に業務量の多い部署です。
そんな経理部門が効率化されることによって、業務負担の軽減や、ヒューマンエラーの低減、精神的な負担の解消、今まで対応できていなかったコアな業務に時間を使えるようになるなど、さまざまなメリットが存在します。
ミスを削減できる
手作業で実施している業務工程をロボットに代替えすることで、人の手を介さず業務を進められるため、ヒューマンエラーのリスクが低減されます。
また、人の手を介していたときには必須であった二重チェックなども、代替えできれば不要になるため、負担になっていた業務を削減し、リソースを創出することが可能になります。
心理的負担から解放され満足度が向上する
経理業務は、忙しい通常業務にプラスして、月末月初など繁忙期はさらに業務負担が大きくなります。そうすると、通常の勤務時間で業務が完了せず、残業や休日出勤で対応するケースも少なくありません。
そのため、効率化を進めることによって、残業や休日出勤での対応が無くなり、従業員満足度の向上へと繋げることができます。
コスト削減につながる
経理業務の効率化が進むと、システムやWeb上で業務が完了するケースが増えるため、今まで実施していた印刷の用紙代やプリントコストが不要になります。
また、効率化によって今まで発生していた残業や休日出勤が少なくなりますので、人件費といった面でもコスト削減が可能です。
このように、経理業務を効率化することで、紙で管理することによって掛かっていたコストや、人件費を削減できます。
「経理×RPA」自動化の対象となる業務
RPAを導入することで、どのような業務が自動化の対象となるのかについて、具体的な業務を挙げて解説します。
業務①:帳票の出力や編集作業
会計報告に必要な帳票の出力や編集作業といった業務は、経理業務の中でも手間のかかる作業の一つです。
しかし、そういった業務は繁忙期に集中する傾向にあります。素早く処理を進める必要があるのと同時に、ミスをしないよう慎重な対応を求められるため、従業員の負担が大きくなりがち。
そのような業務へRPAを導入することにより、人の手を介さずスピーディーに業務が対応できるため、大幅な工数の削減や、サービス品質の向上に繋げることが可能です。
また、担当していた従業員はストレスフルな作業から解放され、よりコアな業務へとリソースを割り当てられるようになります。
業務②:交通費金額チェック作業
従業員から申請される交通費の精算業務は、社内のルールに則っているか、申請内容に問題はないかなど、一つずつチェックする必要があります。
しかし、申請のチェックにはインターネットを使った経路や運賃の検索を実施し、その後に申請内容の精査を実施するといった手順が必要です。交通費申請が多くなる月末などはどうしても負担がかかってしまうでしょう。
そんな業務にRPAを適用することで、インターネットからの情報収集から申請内容のチェックまで、すべて自動化できます。申請に誤りがあった場合も、どんな不備なのかについて記載し、該当者へメール連絡することも可能になります。
業務③:入金の消込作業
入金の消込作業は売掛金としてカウントしていた金額を、入金があった場合に消し込む作業ですが、売上の増加と共に入金処理が増え煩雑になります。どれだけベテランの対応者だったとしても、疲れや慣れからミスを起こしてしまう可能性もあるでしょう。
そんな業務にRPAを活用することで、一件ずつ手作業で確認をしていた消込業務を自動化し、工数の大幅な削減や、ミスの低減、単純作業の繰り返しによるストレスからの解放といった効果が期待できます。
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まとめ
業務の効率化を図るには、さまざまな課題をクリアしなければいけません。経理業務は、定型的な作業が多く処理量が膨大なため、効率化をすることで劇的な効果を上げることが可能です。
そのためには、どんな課題があり、どういった方法で解決していくかについて理解し、行動していく必要があります。
経理業が抱えている課題へのアプローチは一つではありませんが、今回の記事を参考にしていただくことで、業務効率化の一助になれば幸いです。