BizRobo! ブログRPA関連のお役立ち情報をお届けします
日本国内の製造業における人手不足は年々深刻となっています。経済産業省製造産業局の「ものづくり白書2020年」の資料によると他業界と同じく製造業も深刻な慢性的人手不足となっているようです。
本記事では日本国内の製造業に属するものづくりに関わる企業が人手不足に悩む中、今後どのような人手不足対策が考えられるのか、についてご紹介します。
製造業、ものづくり企業の現状とは
新型コロナウィルスの影響
新型コロナウィルスの感染拡大により、休業や生産の減少に伴う人員調整や経営の悪化に伴う労働者の解雇が生じました。
また、感染拡大防止のための国や各都道府県の外出規制等の措置を受けて、多くの企業で、在宅勤務・テレワーク、時差通勤、テレビ会議、オンライン研修の実施など、従来の慣行から脱却した 「働き方」を模索し、さまざまな企業で業務変革に向けたチャレンジが続けられています。
製造業などのものづくり関連企業でも、グローバルサプライチェーンの変化を受けての国内回帰や感染拡大から生まれた新たな消費ニーズに対応するための事業モデルの転換などが試みられています。
また、職場における人の接触・密集の回避等の感染予防策と両立しうる事業継続・操業再開のあり方も模索されており、 感染症の影響により、経済社会環境は大きく変容し、ものづくりに関わる製造や小売業界にも大きな変革が求められています。
新型コロナウィルスの感染問題とうまく付き合いながら、経済発展に貢献できる仕組みづくりに向け、ものづくりの新たな流れの再構築とデジタル化やリモート化の加速などの変化に対応する動きもあるようです。
ウィルスの感染拡大がつきつける課題にどのように向き合い、いかにして乗り越えるかが、今後のものづくり産業に関わる製造業や小売業の鍵となるでしょう。
経済成長の鍵となる「人」と「デジタル」
さまざまな環境の変化が急速に進み、不確実性の高まる状況下で、危機を乗り越え日本の経済成長を支えてきたのは「人」の原動力です。
一方で、少子高齢化が進み人口減少が急速に進む中、日本経済が成長していくためには、女性や外国人労働者など多様な人材が活躍できる環境の整備や個々の労働生産性を高めるためのRPA・AI・IoTなど「デジタル」活用による抜本的な業務改革が必要となっています。
またWithコロナを前提とした「新しい生活様式」のもと、感染防止のために人の接触、密集を避けつつ事業を継続する必要があります。デジタル技術の活用による遠隔コミュニケーションの実現や作業の自動化などが今後急速に進むでしょう。
デジタル技術の進展は、労働市場にも大きな影響を及ぼします。ルーチーンワークにRPAなどのデジタルツールを利活用することで、人は人にしか出来ない付加価値の高い業務に移行することが可能となります。
劇的なイノベー ションや若年世代の急減が見込まれる中、国民一人一 人の能力発揮を促すためには、社会全体で人的資本投資を加速し、高スキル職に就ける構造を作り上げ、 AIでは代替できない創造性、デザイン性などの能力やスキルを備えた人材を育てる必要が出てきています。
製造業が抱える人手不足問題とは
日本国内ではどの業界でも人手不足は大きな課題となっており、早急な対応が求められています。ものづくりに関わる製造業では具体的にどのような課題があるのでしょうか。
数値でみえる製造業の人手不足の実態
パーソル総合研究所がレポートとして報告している「労働市場の未来推計 2030」によると、サービス、医療・福祉に次いでものづくりに関わる卸売・小売業界や製造業界の人手不足が予想されています。
実際に現段階でも卸売・小売業界や製造業界の人手不足が大きな課題になっているのは、説明するまでもありません。
(出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」 )
このようなものづくり企業の経営者課題を企業規模別で独立行政法人労働政策研究・研修機構 (JIPT)が調査したレポートによると、大企業も中小企業も「人手不足」を経営課題として捉えており、さらに「人材育成・能力開発が進まない」も深刻な経営課題となっているようです。
製造業人手不足の主な原因とは
製造業はなぜ人手不足の状況に陥っているのでしょうか。人手不足の引き金となっている要素をもう少し深掘りしてみていきましょう。
少子高齢化による労働人口の減少
人手不足の大きな要因のひとつが少子高齢化による人口減少の影響です。2021年1月1日時点での日本国内の総人口は1億2,557万人で、前年同月に比べ減少がマイナス42万人となっています。(出典:総務省統計局統計調査部国勢統計課 )
もちろんこの少子高齢化による労働人口の減少は製造業の人手不足にも少なからず影響があり、製造業界の人手不足に対する労働生産性向上の取り組みが非常に重要だと考えられています。
我々はこのような労働人口減少の問題の対策となるのがRPAだと確信し、デジタルレイバー(仮想知的労働者)を活用した各業界・業種の業務プロセス改善支援を行っています。
実際に製造業含め、さまざまな業界・業種で一人あたりの労働生産性を急速に改善するなどの成果をあげています。
製造業のRPA導入事例はこちら→BizRobo!事例紹介
東京オリンピックによる需要の高まり
2021年のオリンピック開催に向けて東京オリンピック開催が決定した2013年9月7日から建設や製造業ではさまざまなプロジェクトが発足し、競技場の準備や土地開発などが進みました。
オリンピックによる急激な市場ニーズの高まりにより、通常の人手不足の状態からさらに人手不足が深刻化したようです。しかし、オリンピック後はオリンピック前と比べ人手不足は軽減されると考えられます。
製造業へのネガティブなイメージ
昨今、テクノロジーの発展により、インターネット関連のクリエイティブな業務やエンジニアの開発業務が注目されています。
その一方で、バブル経済後の製造企業倒産やリストラ、大手外資企業と比較した際の技能人材の待遇の違いなど、時代の変化に伴った環境の変化や不景気、グローバル化を背景に製造業へのネガティブなイメージがなかなか拭いきれていない状況です。
さらに、一般的なイメージである、3Kと言われる「きつい」「汚い」「危険」がさらなるマイナスイメージを生んでいるようです。
実はこのような根拠のないネガティブなイメージから製造業に就きたいと考える人材が少ないのも人手不足の原因と考えられます。
製造業の5つの人手不足対策とは
製造業での人手不足対策にどのような手法があるのでしょうか。ここからは慢性的な人手不足を解消するための対策を事例も含めてご紹介します。
RPA・AIの活用による業務プロセス効率化
業務効率化に向けたテクノロジーの活用や製造業のDXは人手不足対策改善に大きく寄与するでしょう。
RPA(Robotics Process Automation = 仮想知的労働者)による繰り返しの定型作業を自動化することにより、今まで定型作業に使っていた時間を人でしかできない本来注力すべき作業や業務に注力できるようになります。
実際にさまざまな企業で成功事例が出てきているのでぜひ関連記事からご確認していただけると幸いです。
関連記事:「日本の空を守る」ものづくりの現場で、RPA技術者200人以上の育成を目指す
関連記事:製造業で活躍する産業用ロボットと同様、事務用ロボットとしてBizRobo!活用!
積極的な外国人や女性採用へ
人手不足を解消するには、これまであまり重視してこなかった層へのアプローチも考えていかなくてはなりません。たとえば、一般的に製造業のイメージがあまりなかった女性の採用、技能実習制度を使った外国人の採用がカギになってくるでしょう。
ただ、採用の幅を広げるということは、これまで以上に雇用環境の見直しもしなければなりません。
特に外国人の採用では日本人とは異なる法の遵守が必要で、先に環境整備を進める必要があります。どのような人材でも気持ちよく働くことができる環境を整えることは、これからの令和の時代ではとても重要な人事戦略となるでしょう。
離職軽減のための福利厚生の見直し
国などの政府の後押しや新型コロナウィルスによる働き方の見直しもあり、国内企業の働き方や福利厚生などは大きな変化があるようです。多様な人材の採用には労働環境だけではなく、福利厚生による離職軽減対策なども必要となります。
たとえば、産後の育児休暇や時短勤務が可能など労働におけるワークライフバランスを整えることにより、どのようなライフステージに立っていようとも働き続けられる制度や手厚い福利厚生があれば、わざわざ退職する必要はありません。
また、企業側としても再度採用する必要もないため、採用コストや教育コストのカットにもなるでしょう。
システムやアウトソーシングの活用
製造業において特に不足しているのが技能人材だと紹介しました。こうした人材をカバーする方法として考えられるのが産業用ロボットの導入です。初期投資や運用コストが必要になりますが、自動化によって作業手順の簡略化や作業時間短縮などが期待できます。
そのほかにも、BPO(Business Process Outsourcing)の活用が対策として考えられます。
このBPOによるアウトソーシングは、事務対応など遠隔でも可能な事務作業や営業などの見込み客の開拓など、さまざまな面で活用することができます。
社内のコア技術以外の部分を外部委託することにより、企業は効率的に業務を遂行し必要な技術発展に人材を集中させることができます。
SDGsなどの社会貢献への取り組み・PR
企業の人手不足対策において、重要な役割を担っているのが新たな人材の採用活動です。今後、新たな人材の採用するにあたり企業側は福利厚生だけではなく、企業としての立ち位置を示す活動PRや社会貢献への取り組みなどを外部露出していく必要があります。
株式会社ベイニッチの調査「21卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」によると、 「就職先を選ぶ上で重視した点はなんですか。」の質問に対して「福利厚生が充実している」が51.4%、「SDGsの取り組みをしている」が6.4%となっており少なからずSDGsのような社会的な取り組みも学生は認識していることがわかっています。
このように一つの側面だけで採用活動を進めていくのではなく、企業全体の取り組みや社会貢献をしっかりとPRして自社の取り組みを知ってもらう機会をつくることも重要です。
製造業の人手不足をRPAで解決した事例
製造業の人手不足をRPA導入による解決した事例を2社紹介します。
株式会社ファンケル:年6,700時間相当の効率化を達成
株式会社ファンケルは2019年末に、パソコン上の定型作業を自動実行するRPAツールを導入。「人が介在する定型作業を減らしたい」という人材不足に関連した目的を定め、パートナー会社と開発を進めてきました。
同社では現在、23部門で約200体のソフトウェアロボットが稼働しています。最初に自動化を進めた作業は、取引先のWebサイトから売上データを抽出・集計後、自社システムに登録することです。
併せて、商品別の実績表を作成し、それらの処理結果をメールにて送信するまでの作業を毎日RPAツールで自動実行しています。
他にもRPAツールで自動化を進め、定型作業のミス低減やリソース創出など「年6,700時間相当の効率化を達成」しています。
セキ技研株式会社:取引先への出荷通知が大幅改善
新潟県南魚沼市にて自動機の製造や電子部品の受託生産などを手がけるセキ技研株式会社。同社は県内の採用難を受け、限られた社員数で業務を担っています。
そんな中、半導体不足解消後の増産に備える取引先の大量発注が進行。納期の延長や業務負荷増加などの人材不足に陥っていました。
人材不足解消と併せ、人間でなければできない仕事に注力するために2021年に業務改革を検討し、RPAツールの導入を進めます。主要部署から代表者を選出し「RPA委員会」を発足し、素早く業務効率化可能な作業の可視化、社内開発を始めました。
受注や出荷の伝達を行う入力作業、勤怠管理と該当者に対応依頼メールを送信するといった業務を含め、合計18業務のRPA化に成功。
それまで週1回、2時間かかっていた手入力が日次で自動実行されたり、ミスのない素早い対応で取引先から高評価を受けたりなど、導入メリットや費用対効果の恩恵を受けています。
製造業における人材不足を、RPAで解消した事例について紹介しました。他業界、または他導入企業によるRPA事例を知りたい企業の担当者様は、下記より資料をダウンロードください。
まとめ
国内のものづくりに関わる製造業や小売業などは深刻な人手不足の状況にある一方で、自社の状況をしっかりと把握した上でどのような改善をすれば良いか明確にすることにより対策は自ずとみえてくるでしょう。
また、近年さまざまな企業で導入されている新たなテクノロジーや業務改革による改善の余地はどの企業にも多分にあるでしょう。
ぜひ、RPAやAIによる業務プロセス改善を検討されている方は当社へお気軽にご連絡頂けますと幸いです。