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ハイパーオートメーションとは？RPAやAIとの違い、用いられる技術を解説

2025.03.03

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ハイパーオートメーションとは、RPAやAIといったオートメーション技術を複数掛け合わせて業務の自動化を図ることです。

単なるオートメーション化とは異なり、複数のツールを掛け合わせてより一層革新的な業務効率化が図れます。さらに、ビジネスモデルの変革やコンプライアンスの強化など、あらゆる面で大きなメリットが期待されます。

ただし、コスト面や専門的な知識のある人材不足といった課題も。

そこで本記事ではハイパーオートメーションの定義や用いられるツール、市場の動向などを網羅的に解説します。ビジネスにおけるIT活用のトレンドを把握しておきたい方はぜひご覧ください。

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1. ハイパーオートメーションとは何か
2. ハイパーオートメーションの市場規模
3. ハイパーオートメーションのメリット
4. ハイパーオートメーションの課題

5. ハイパーオートメーションの導入方法
6. ハイパーオートメーションの前段階にはRPAの導入を

ハイパーオートメーションとは何か

ハイパーオートメーションとは、さまざまな技術を掛け合わせて幅広い業務フローを自動化する施策です。

2019年11月に発表された「ガートナー、2020年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10を発表」で初めて登場しました（※1）。

そこから3年連続でガートナーが見通すテクノロジ・トレンド入りし、世間にも広く知られることとなった言葉です。

ここからはそんなハイパーオートメーションの内容について、詳しく見ていきましょう。

ハイパーオートメーションとオートメーションの違い

オートメーションは、一つのツールを用いたタスクレベルの自動化を指す言葉です。

一方、ハイパーオートメーションは複数のツールで幅広いワークフローを自動化します。

単に特定の業務フローを自動化するにとどまらず、通常の業務データ以外にも属人化・暗黙知かされた情報もデータとして収集し、AI基盤により解析することで、継続的な効率化と範囲の拡張を実現する、そういった概念になります。

これにより複数部門にまたがった業務フロー全体を自動化、最適化することが可能になります。

ハイパーオートメーションに用いられる技術・ツール

ハイパーオートメーションでは、複数の技術やツールが用いられます。たとえば、以下のとおりです。

技術・ツール名称	概要
RPA （ロボティック・プロセス・オートメーション）	ソフトウェアロボットにより定型作業を自動化するツール
AI（人工知能）	コンピュータが人間の思考を模倣し、学習・予測・意思決定などを行う技術
ML（機械学習）	コンピュータがデータから規則性や法則を学習し、予測や提案を行う技術
MI （マテリアルズ・インフォマティクス）	機械学習により、必要な素材や組み合わせを探索する技術
OCR（光学文字認識）	紙やPDFファイルの画像から文字を認識し、データとして抽出する技術
ビジネスルールシステム（BRMS）	業務におけるルールや判断基準を管理するシステム
iPaaS （クラウド総合プラットフォーム）	複数のシステムやアプリを連携させ、一元管理するサービス
BPMS （ビジネス・プロセス・マネジメント・システム）	業務プロセスを設計、実行、管理、最適化するためのシステム

ハイパーオートメーションでどのような技術を用いるかは、企業により異なります。このように業務に合わせて必要な技術を用い、自動化を図るのがハイパーオートメーションのあり方です。

ハイパーオートメーションの市場規模

ハイパーオートメーションの市場規模は拡大傾向にあり、今後も右肩上がりに伸びていくとされています。インドの調査会社「Mordor Intelligence」のデータを見てみましょう。

（※2）

ハイパーオートメーションの市場規模は、2024年時点で151億ドルです。2029年には、その倍以上となる382億ドルへの市場成長を見せると予想されています。

さらに、最も大きな市場は北米、成長率の高い市場はアジア太平洋地域との見解も（※2）。日本においてもハイパーオートメーションの需要は高まるでしょう。

ハイパーオートメーションが求められる背景

近年では、デジタル技術を駆使したビジネス競争が激化しています。そこで必要となるのが、テクノロジーを活用した業務効率化や戦略策定です。

「ハイパーオートメーション」の生みの親であるガートナーによると、日本のビジネスは大転換期にあると述べられています。

デジタルを前提としたビジネスモデルへの転換を行わない日本企業の70%は、2030年以降に弱体化し、消滅する可能性が高いとまで予想されているのです（※3）。

加えて、日本では労働人口の減少といった課題も。こうした背景の中で、ハイパーオートメーションは次世代を乗り切る戦略として求められているのです。

ハイパーオートメーションのメリット

ハイパーオートメ―ションには、主に下記のメリットがあります。

・大幅な業務効率化
・業務の精緻化
・ビジネスモデルの革新
・コンプライアンス強化

このように、ハイパーオートメーションのメリットは業務効率化だけではありません。一般的なオートメーションに比べ、その影響は絶大です。

メリットを正しく理解することが、デジタル技術の重要性を社内に浸透させることにもつながります。

「ハイパーオートメーション事例」の記事内部リンク挿入

大幅で継続的な業務最適化

ハイパーオートメーションは、大幅で継続的な業務効率化に貢献します。

AIを活用することで、業務データの分析・予測が可能となり、最適な判断や意思決定の自動化が進みます。これにより、業務プロセスの継続的な最適化が実現し、変化に強い組織づくりができます。

ハイパーオートメーションに用いられるRPA単体でも、定型作業を自動化し大幅な時短と人件費削減が可能です。

（※4）

これに加え、その前後の業務や意思決定、イレギュラー対応まで自動化できれば、創出できる余剰時間は非常に大きいでしょう。

業務の精緻化

テクノロジーを活用すると、業務の精度をより一層上げられます。たとえば人間にはよく伝達間違いが生じますが、ロボットやコンピューターにそういったことはありません。

このように、ハイパーオートメーション化には、ヒューマンエラーを防ぐメリットもあります。

さらにAIや機械学習などを活用すれば、人間よりも精度の高い分析や判断を下せる可能性があります。

ビジネスモデルの革新

ハイパーオートメーションは、ビジネスモデルの革新にも有用です。まず自動化が前提になるため、定型作業に多くの人材をアサインする必要がなくなります。

その一方でツールを使いこなし、戦略を構築する人材は積極的に採用、育成していく必要があるでしょう。

また複数のツールを掛け合わせると、今まではできなかったデータの有効活用や情報管理などが可能になります。

さらに意思決定にもデジタル技術を取り入れることで、より一層強固な経営を確立できるでしょう。

このように、デジタル技術の導入を前提に業務フローを組むと、ビジネスモデルを大幅に確信できます。

コンプライアンス強化

ワークフローをデジタル管理することで、業務が可視化されます。これにより業務に透明性が出て、コンプライアンス面も強化されるでしょう。

また業務を自動化することで、人為的なコンプライアンス違反のリスク低減にも役立ちます。ワークフローの正確性が担保され、クリーンな経営にもつながるはずです。

ハイパーオートメーションの課題

ハイパーオートメーションには多くのメリットがあります。しかしその反面、以下のような課題があることも押さえておきましょう。

・コストがかかる
・導入までの工数が多い
・人材確保の問題
・セキュリティ面の問題

コストがかかる

ハイパーオートメーションの実現にはコストがかかります。その理由は、以下のとおりです。

・複数の最新技術やシステムの導入を必要とする
・場合によっては新たなシステム開発費もかかる
・コンサルティング費用や手数料が別途かかる場合も

AIや機械学習など、高度な技術を用いるほど導入金額が高くなる傾向です。場合によっては、システムを自社に合わせて開発するための費用もかかります。

さらに外部企業からの提案型でハイパーオートメーションを実現した場合、コンサル費用や手数料が発生する場合も。

ハイパーオートメーションを実現する場合は、ある程度予算の確保が必要です。

導入までの工数が多い

ハイパーオートメーションは、導入までの準備期間が長くかかるといった側面もあります。どのように自動化を図るか、ソリューションは業務内容や既存システムなどによりまちまちです。

RPAのように、一度導入すれば定型作業全般を自動化できる、という単純なものではありません。

そのため導入の検討段階では、下記のとおりさまざまな工程が発生します。

・ハイパーオートメーションを適用する業務の洗い出し
・必要な技術のリストアップ
・具体的なツールやシステムの検討
・自動化後のワークフローのシミュレーション
・試験的な稼働

とくに扱うツールやシステムが複数ある分、どれを採用するかの検討には手間と時間がかかります。

また、それぞれの互換性や現場にマッチしているか、操作感はどうかといった検討も欠かせません。

人材確保の問題

ハイパーオートメーションの実現には、以下の人材確保の課題もあります。

・ハイパーオートメーションを設計する人材
・実際にツールやシステムを使いこなす人材
・システムを保守し、トラブルやエラーに対応する人材　など

ハイパーオートメーションでは複数の業務をまたいで自動化を図るため、業務を俯瞰して見られる立場の人材が必要です。

また、業務を把握するだけでなくITツールやシステムを活用した最適化を設計・提案するスキルも求められます。

これに加え、現場でツールを運用・保守する人材も欠かせません。このように定型作業を行う人材は減らせる半面、ITの知識を持った人材が必要となります。

この課題を克服するには、全社的に研修やマインドセットを行い、ITリテラシーを高めていくことが鍵となります。

あわせて、新たな人材採用やITコンサル会社など、必要に応じて外部の力を頼ることも重要です。

セキュリティ面の問題

ハイパーオートメーションによりあらゆる情報が一元管理されるようになると、セキュリティ面の問題が生じる可能性があります。

具体的には、複数のシステムを連携すると社内情報へのアクセスが容易になる半面、情報漏洩リスクが高まります。

システムの脆弱性やサイバー攻撃への対応も考慮しつつ、セキュリティ対策を行いましょう。

ハイパーオートメーションの導入方法

ハイパーオートメーションの導入は、簡単にまとめると以下のとおりです。

1. 業務プロセスを特定
2. 自動化ソリューションの検討
3. 実行と最適化

一見単純に見えますが、実際にはさまざまな検討工程をはさみます。そのため、ハイパーオートメーションを導入する際は、専門のチームを組織して進めましょう。

業務全体を把握しており、なおかつITリテラシーのある人をリーダーにするのがおすすめです。また社内のITノウハウが不足している場合は、外部のコンサルも活用しましょう。

①業務プロセスを特定

まずは目標に対し、課題となる業務プロセスを特定しましょう。どのフローにどのような課題があるのか、まずは洗い出します。

また、課題の優先順位付けも重要です。改善インパクトの大きいものから順に進めていきましょう。改善インパクトはできるだけ数値で可視化するのがおすすめです。

たとえば改善すれば業務時間が10分短縮できる課題と、1時間短縮できる課題では、後者の方が優先度は高いと判断できます。

各部署、各業務で課題を洗い出したあとは、ハイパーオートメーションを適用する業務フローを検討します。

製造業なら、原料の発注量予測から仕入れ、製造、管理、出荷など一連の流れをまとめて自動化することも可能です。

ハイパーオートメーションは部署をまたいで活用する場合もあります。そのため、各部署のリーダーやITに詳しい人材が連携して協議することが重要です。

②自動化ソリューションの検討

続いて①で検討した業務フローに対し、どういったツールで自動化を図るか検討します。ツールは多岐に渡るため、あらかじめリサーチをしたうえで目星をつけておくのがおすすめです。

また課題の検討がきちんとできていれば、外部のITコンサルに戦略のアドバイスをもらうのも1つの手でしょう。検討の際は、コストだけでなく以下のポイントを確認しましょう。

・予算に合っているか
・支払いサイトや決済方法は問題ないか
・現場での運用が容易かどうか（使用感）
・自社と同業種の導入実績はあるか
・イレギュラー時に対応できるか
・お試し期間はあるか
・保証やサポートはあるか
・セキュリティ対策は十分か
・自社で運用した場合どれくらいのベネフィットが得られるか
・ほかに考えられるリスクはどのようなものか　など

項目を点数化し、合計点でツールを評価するのもおすすめです。

もし自社の課題に合致するツールやシステムがない場合、新たにシステムを開発・構築することも検討しましょう。