2024年6月、RPAテクノロジーズ株式会社は、会社統合の上、オープン株式会社へ社名を変更予定です。
 
 
 

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【セミナーレポート】在宅クリニックでの最新事例ご紹介!RPA活用で診療業務や事務作業を効率化

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新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されてから1年以上が経ち、5月には5類感染症へと引き下げられました。医療業界では様々な動きがみられ、クリニックにおいてもDXを活用して診療業務のタスクシフトを進めようという動きが活発になっています。

本ブログでは、先日開催したセミナーレポートを通じて、在宅クリニックの最新DX推進事例をご紹介します。RPAを中心に大きな成果をあげられている訪問診療クリニックの先生方のお話をまとめましたので、ぜひご一読ください。

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ライター紹介:

長澤 史佳(ながさわ ふみか)
大学在学中に「ハフポスト日本版」と「Forbes JAPAN」にて記事執筆・編集・翻訳などを経験後、新卒で株式会社PR TIMESに入社し、PRプランナーとして化粧品メーカーや食品メーカーを担当。2022年よりRPAテクノロジーズ株式会社に入社し、コンテンツ企画や広報を手掛ける。

RPA導入によるDXは診療所のレベルをケタ違いに変える

オリーブ在宅クリニックについて

愛知県名古屋市にある在宅医療専門のクリニック。家族支援No.1クリニックを目指し、その達成のためにRPAも利用中です。電子カルテはOWEL(セコム医療システム)を使用。

RPAについてと感じている効果

RPAは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の頭文字を取った言葉で、人間が行うキーボード操作やクリックを模倣することができます。よく、電子カルテの宣伝で「効率化できます」という言葉を見かけますが、その理由は「コピペ、フォーマットに入力できます」というものがほとんどです。データ転記やフォーマット入力といった繰り返し業務はロボット向きなので、クリニックとの相性も良いと考えています。

オリーブ在宅クリニックでは、RPAを導入してから、下記のような利点を実感しています。

① 効率化・生産性向上・エラー削減
人間が行うよりも速く正確に実行されるため、生産性が向上。24時間365日稼働できるため、人件費やオペレーションコストの削減にもつながる
② 人間の負荷軽減
ロボットが業務を代わりに行うことで人間の負荷が減り、より付加価値の高い業務に注力できる
③ クラウドシステムの相互乗り換え
電子カルテが医療機関のすべてのニーズを満たせないこともあるが、RPAの活用でその壁を乗り越えることができる

診療所がDXに取り組む意義

① 高齢化社会への対応
増えていく高齢者の治療を効率化。ベテランの知恵・技術をデジタル化する
② 人手不足の解消
医療重視者がより事務作業等に追われることなく、専門的な業務に集中できる環境を整える
③ 医療データ活用の促進
適切な医療サービスの提供

オリーブ在宅クリニックがRPAを導入するまでの経緯

現在はRPAの活用でメリットや意義を感じていますが、導入に至った大きな理由として、スタッフの出入りが激しかったことがあげられます。本格運用した時は2~3カ月でスタッフが8名から4名にまで減ってしまいました。

在宅医療なので、医師は基本的に外に出ており、なかなかスタッフ教育に時間が割けないのが現状です。事務所運営のノウハウを維持し続ける必要があるにも関わらず、教える時間がなく、スタッフがやめてしまう。スタッフの出入りのたびにその悪循環が起こり、事務処理への疲労が積もっていきました。

そこから、まずは業務の中でDX化できそうな項目を考えました。下記が一例です。

・診療/医療サービス関連
予約管理、問診・カルテ記録、通知・リマインダー、電子カルテシステムなど
・事務作業/経営管理
会計・保険請求、在庫管理、データ入力作業など
・医療データ管理/分析
患者情報データベース、データ分析ツール(患者傾向把握)など
・内部コミュニケーション
スケジュール、資料共有・管理、コミュニケーションツールなど
院内業務をDX化できそうな項目を考える

また、外来中心のクリニックと比較して、在宅クリニックは圧倒的に書類が多い(訪問看護指示書、郵送で届く各種報告書など)という特性があります。ケアチーム、算定項目、保険証類、患者情報もとても複雑なため、デジタル化を進める必要があると感じていました。

導入後の成果

オリーブ在宅クリニックでは、ロボットを「オリバーくん」と名付け、スタッフの一員として協働しています。例えば、採血アラートシステムでは、オリバーくんがデータを自動入力してアラートシステムが作動し、スタッフが採血予定を確認し、実施します。

その他、オリバーくんが現在できることは下記の通りです(一部抜粋)。

  • 訪問介護指示書作成(約6時間削減/月)
  • 訪問介護報告書取り組み・電子カルテ仕分け(24時間削減/月)
  • カンファレンス資料作成(5時間削減/月)
  • 患者ごとにFAX仕分け(20時間削減/月)
  • 訪問カレンダー/外来カレンダー一本化(転記ミスゼロに)
  • チャット連絡をカルテ化(20時間削減/月、カルテ化100%)

オリバーくんの稼働で感じているメリットとデメリット

メリット① 業務改善
ルーティンワークが安定化し、専門職が専門職の力を発揮しやすくなりました。以前は看護師が3名離職してしまった年もありましたが、今年は1名にまで減っています。
メリット② 経営
事務スタッフは以前、5名所属しており、今は3名となっていますが、ロボットの力で作業が回っています。人件費とオリバーくんの稼働にかかる費用を比較すると、オリバーくんのコスパの良さも実感しています。
メリット③ 医療安全
指標を基にデータを抽出しており、安全面・医療の質が向上していると感じています。
オリバーくんの稼働で感じているメリット
デメリット① 業務関連
オリバーくん担当のルーティンワークが多く、それらの業務はスタッフに認識されなくなってきています。また、オリバーくんが作動しないと業務が滞ってしまうため、不具合等には早急に気付くように注意が必要です。
デメリット② 経営
ツール導入後、ロボット開発・実働までには少し時間がかかるため、最初は教育費がかかってしまいます。

在宅医療におけるRPAを用いた書類作成の自動化

浅川学園台在宅クリニックについて

2018年9月、北九州市八幡西区で開業。訪問診療がメインで、スタッフは医師・看護師・事務の計13名が所属。

事例の詳細はこちらから:
https://rpa-technologies.com/case/case075/

RPA導入までの経緯

・2021年5月
コロナワクチンの集団接種がスタートし、月2~3回、休日に出務。集団接種は2022年9月まで続く
・2021年12月
集団接種で休みが取りづらい状況が続き、非常勤医師を採用
・2022年2月
「診療クリニックにおけるRPA活用事例セミナー」に参加。RPA導入を考え始める
・2022年8月
トライアルやeラーニングを経て、RPAを本格的に運用開始。現在は河野院長が1人で運用している(トライアル時はSEがロボットを構築)
RPA導入までの経緯

稼働中のロボット紹介(一部抜粋)

・在宅療養計画書の作成
初回は手作業で計画書を作成し、2回目以降は留意事項を手直し。手順は下記の通り。
  • ① リストからカルテを開き、計画書の内容を記載
  • ② ロボットでカルテ内容を基に新しい計画書の作成
  • ③ ロボットでカルテ内容を記載した日のPDFをダウンロード
  • ④ ロボットで新しい計画書のPDFをダウンロード
  • ⑤ コマンドラインでカルテと計画書を別々に結合した上で照合
  • ⑥ 結合した計画書を印刷
在宅療養計画書の作成
・訪問看護指示書の作成
在宅療養計画書と同様、初回は手作業で指示書を作成し、2回目以降は留意事項を手直し。手順は下記の通り。
  • ① 指示書を作成する患者のリストを作成し、ロボットで情報追加
  • ② リストからカルテを開き、指示書の開始日・終了日・内容を記載
  • ③ ロボットでカルテ内容を基に新しい指示書を作成
  • ④ ロボットでカルテ内容を記載した日のPDFをダウンロード
  • ⑤ ロボットで新しい指示書のPDFをダウンロード
  • ⑥ コマンドラインでカルテと指示書を別々に結合した上で照合
  • ⑦ 結合した指示書を印刷
訪問看護指示書の作成

RPA活用のまとめ

  • 2022年8月より運用開始。従来は1日8時間かかったものが2時間程度に短縮。例えば、名前検索→カルテ入力→個別印刷していたものが、クリックでカルテを開いて入力→一括印刷など、業務効率化が実現
  • 医師が正しく記載すれば、正しい文書が作成される。医師が間違えると間違った文書が作成されてしまうため、修正が必要な文書には個別に対応
  • ロボットは指示したこと以外はできないので、応用が利かず、臨機応変な対応はできない

omnibusDX ~手紙でもRPAでも、なんでも使って9連休!~

たにあい糖尿病・在宅クリニックについて

愛知県由利本荘市にあるクリニック。午前中は糖尿病・一般内科、午後は在宅医療・救急(高血糖等)・ワクチン接種などと分けており、午前中に診療所の業務を終わらせるようにしている。

事例の詳細はこちらから:
https://rpa-technologies.com/case/case070/

DXを推進すべき理由

現状、たにあい糖尿病・在宅クリニックでは残業がゼロで、スタッフは基本的に16時半には帰宅するため、渋滞に巻き込まれることがなくなりました。また、9連休の取得も可能ですが、それもDXにて効率化を進めたからだと実感しています。

長期休暇(サバティカル休暇、Sabbatical Leave)は経済産業省も推奨しており、下記のようなメリットがあげられています。

  • 働きながら、新しい知識やスキルを学ぶことで新しい発想
  • 短期休暇で得られないリフレッシュ効果による生産性向上
  • 仕事内容の可視化や共有化、タスクシフトにより業務の幅が拡大し、効率化になる
  • 離職の延期や予防
  • 企業イメージの向上

今後も続けていきたいと考えていますが、そのためには効率化を続けていく必要があります。

Sabbatical Leave

新型コロナウイルスへの対応

新型コロナウイルスへの対応に関しても、効率化を進めていたことがとても役に立ちました。今では世間的に落ち着いてきてはいるものの、医療機関ではこれからも対応が続いていきます。

実は、先日もグループホームから感染が疑われている患者がいると連絡があり、検査の結果、陽性でした。クラスターを作らないために、カルテの整理などの作業が必要となりますが、その作業はロボットが担当してくれます。ロボットができることをロボットにやってもらうことで、人間はかなり楽をすることができます。

また、これまでのクラスターが発生した施設の対応もしてきました。大変である一方、そちらもロボットのおかげで負担を減らせました。

ロボットの活用方法

ロボットは24時間365日稼働可能ですが、たにあい糖尿病・在宅クリニックでは、朝の準備が始まる前の時間帯に稼働させています。現在、稼働しているロボットの一部とその効果をご紹介します。

ロボット出勤時間
・点検用レセプト印刷
1日あたり100件ほどの印刷を自動化し、60分/日を削減。出社時に終わっている安心感もあり、対人的業務に時間が割けるようになった
・ワクチンカルテ入力
従来の業務量と比較し、30分/日を削減。こちらも出勤前に終わっているので気持ちが楽になる上に、正確性が高い安心感もある
・カルテコピー
45分/日を削減。時間に追われる精神的負担の軽減になり、対人的業務に時間が下げるようになった
・検査オーダー入力
60分/日を削減。間違いやミスがなくなり、他の業務に時間をあてられるようになった

その他のロボットも含め、6台のロボットが稼働中ですが、月間71.5時間、年間にすると858時間の削減になっています。時給2,000円で換算すると、年間171万6,000円の効果が出ていることになります。

ロボット活用方法

この記事のまとめ

  • 在宅クリニックで常にクリニックにいないという特性上、事務作業などの負担が大きくなることがあり、ロボットが大きな助けになる
  • ロボットを活用することで、時間削減につながることに加え、人間にしかできない業務に集中できるようになる

セミナー完全版につきましては、ぜひ下記からオンデマンド配信をお申し込みください。より詳細な説明に加えて、質疑応答などもご視聴いただけます。

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また、今後もWebセミナーやすでに実施したセミナーのアーカイブ配信もご用意しております。ご不明点やRPAについてご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

Webセミナー一覧:https://rpa-technologies.com/seminar/

お問い合わせ:https://rpa-technologies.com/inquiry/contact/

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