2024年6月、RPAテクノロジーズ株式会社は、会社統合の上、オープン株式会社へ社名を変更予定です。
 
 
 

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【セミナーレポート】全国に広がる病院DX!地方の中規模病院におけるRPA事例をご紹介

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医療業界におけるRPA導入・活用については、大学附属病院など都市圏の病院を中心に進んできました。しかし、昨今では多くの医療機関でその効果が実証され、採用や人的リソースでお困りの医療機関、あるいはそれが将来想定されうる地方の中規模病院での導入事例が増えてきました。

本ブログでは、先日開催したセミナーのレポートを通じて、すでに大きな成果をあげられている、またはあげようとしている中規模病院の導入事例をご紹介しますので、ぜひご一読ください。

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ライター紹介:

長澤 史佳(ながさわ ふみか)
大学在学中に「ハフポスト日本版」と「Forbes JAPAN」にて記事執筆・編集・翻訳などを経験後、新卒で株式会社PR TIMESに入社し、PRプランナーとして化粧品メーカーや食品メーカーを担当。2022年よりRPAテクノロジーズ株式会社に入社し、コンテンツ企画や広報を手掛ける。

当院におけるRPAを活用した業務効率化について

函館中央病院について

1930年に設立、道南の北海道函館市に位置する病院。病床数は527床、診療科は26科あります。

2020年度以降、単年度事業計画の一部として、働き方改革やタスクシフトを掲げてきました。そして、2022年度に業務効率化を進める手段として、労働力不足を解消しながらも、同時に生産性向上も見込めるRPAの導入を決定しました。

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導入までの経緯とその後の変化

導入を検討していた2022年7月、まずはBizRobo!について初のプレゼンテーションを受けました。プレゼンを受けたのは6名の事務員で、その後、導入の中心メンバーとなっています。そこから、オンラインで週1回ずつRPAの操作方法についてレクチャーを受けたり、課題に取り組んだり、意識的にRPAに触る機会を増やしました。

8月末にはエクセル転記ロボを職場長向けに披露し、自動化できそうな業務の洗い出しを依頼しましたが、どの部署からも積極的な提案は乏しく、まだあまりイメージが湧いていない様子でした。

そこで、RPA推進をさらに図っていくため、病院内でプロジェクトを発足しました。プロジェクト内でロボット開発者の育成とロボットの運用管理を行う体制です。育成と同時に「退院サマリ督促ロボット」や「妊婦健診請求書作成ロボット」を開発すると、徐々にRPAの効果を実感できるようになってきました。

2023年4月、ロボットを再度披露したところ、多くのロボット案があがりました。RPAテクノロジーズによる直接の聞き取りを通じてロボット作成に着手し、「薬剤マスタ登録ロボット」「CT・MRI同意書事前確認ロボット」「健診胃カメラオーダーロボット」を開発しました。

導入事例① – 退院サマリ督促ロボット

・RPA導入前
退院サマリ未作成リストを医師毎に作成し、定期的に督促状を配布。単純だが、電子カルテやエクセル等を駆使しており、煩雑な業務
・ロボットの内容
① 電子カルテから退院サマリ未作成または作成中の患者リストを出力
② 出力した退院サマリ未記載患者リストを基に、医師毎に督促状を作成、退院サマリ未記載患者をそれぞれのシートへ記載
・ロボットの効果
10時間/月 → 1時間/月
導入事例① 退院サマリ督促ロボット

導入事例② – 妊婦健診請求書作成ロボット

・RPA導入前
持参した妊婦健診クーポンをまとめ、自治体毎に請求書を作成。クーポンを目視し、エクセルへ転記し、期日までに発送する作業
・ロボットの内容
① 妊婦健診クーポンをOCR機能付スキャナーで読み込み、PDF化したファイルをデータ化
② データ化されたファイルを基に、自治体毎に請求書を作成。なお誤読エラーは、エラーファイルを人がチェックして修正
・ロボットの効果
4時間/月 → 1時間/月
導入事例② 妊婦健診請求書作成ロボット

導入事例③ – 薬剤マスタ登録ロボット

・RPA導入前
2つのシステムからの情報を転記、完成した情報を電カルへ登録。システムを跨いで情報収集し、さらに別システムへ登録する作業
・ロボットの内容
① SAFE-DIとMD Bankより、薬剤情報を抽出し薬剤マスタ登録シートに転記
② 薬剤マスタ情報のチェックと回覧、医事課による医事コード付与を行う
③ 医事コード等を入力し、完成した薬剤マスタから、電子カルテへ薬剤マスタへの薬剤情報登録作業を実施
導入事例③ 薬剤マスタ登録ロボット

導入事例④ – CT・MRI同意書事前確認ロボット

・RPA導入前
RISより情報を抽出、対象者の電カル情報を確認し抽出情報へ返す。システムを跨いで情報収集し、リストを完成させる作業
・ロボットの内容
① 放射線情報システムから翌日の検査予約、かつCT造影剤の同意書が必要となる患者のリストを抽出
② ①で作成した予約患者リストを基に、電子カルテから造影剤同意書有無をチェック。既に同意書がある場合、①のリストに同意書情報と日付を追記
導入事例④ CT・MRI同意書事前確認ロボット

導入事例⑤ – 健診胃カメラオーダーロボット

・RPA導入前
健診システムのオーダー情報を基に、電カルにてオーダー。システムが異なるため双方でオーダーする作業
・ロボットの内容
① 健診システムから4営業日後の健診予約者リストをcsvファイルで出力
② ①で出力した健診予約者リストを基に、胃カメラのオーダーがある予約者のみ、電子カルテより胃カメラのオーダーを出す
導入事例⑤ 健診胃カメラオーダーロボット

RPAを導入してみて

導入前はイメージが湧かず、後ろ向きの状態でした。しかし、実際に導入してみると、RPAの効果を実感し、次々とロボット作成のアイデアが出てくるようになりました。導入前は、成功するイメージを湧かせることがポイントだと感じています。

現在は、業務負担軽減を目的にしたロボットがメインですが、今後は増収に寄与できるロボット開発を目指していきたいです。施設基準取得、係数アップにつながるようなロボットを作成したいです。

中規模病院のRPA導入チャレンジ

松本協立病院について

長野県松本市に位置する、急性期医療を担う病院。機能強化型在宅療養支援病院としても地域で大きな役割を担っています。

RPAについては、まずはトライアルから体験したものの、コロナの感染拡大などで紆余曲折を経験しました。その後、改善を繰り返し、現在、BizRobo!を活用中です。

トライアルでの失敗から導入まで

医療業界で業務効率化やタスクシフト推進が進む中、松本協立病院でもその動きが進んでいました。特に、繰り返し実施する業務の自動化を進めたく、まずはトライアルで試してみることになりました。

しかし、自分の仕事とロボット開発を両立するのは大変でした。世の中はコロナ感染拡大の真っ最中で、一緒にトライアル対応をしていた担当者はコロナ対応で離脱。時間を見つけてRPAと格闘するものの、基本がわからず、マニュアルを見ても何が何だかわからない状態です。2カ月のトライアル期間は、ほぼ何もできずに終わってしまいました。

トライアルでの失敗から導入まで

コロナの状況が少し落ち着いたタイミングで2回目のトライアルをスタートし、オンラインによる不明点解説やメールでの回答をお願いしました。そして、外注さんのお力もお借りするなど、体制を整えた上で正式導入が決定しました。

BizRobo!のサポート

ポータルやチャットサポートなど、困ったことがあったら使えるサポートも充実しています。特に、チャットサポートは導入後に何度もやり取りしました。静止画と文字説明でわからないことも、動画による回答があってわかりやすかったです。

他にも、eラーニングで見たい部分を参照したり、イベント(ウェビナーやコミュニティイベント)に参加したり、色々なサポートを活用しています。

BizRobo!のサポートについてはこちらから

稼働中のロボットとその効果

現在、松本協立病院では以下のような業務をロボットで自動化しています(一部抜粋)。

・DPC/DEFファイル作成
看護必要度の状態把握をするために朝礼前に集計を終了させる
・「システム変更で終了」レセプトチェック
医事システムで外来レセプトデータを集計後ファイル出力、ファイルをレセプトチェックに取り込み。レセプト不具合(病名漏れ)などを職員が出勤前に印刷
・健診内視鏡同意書発行
健診患者の同意書を患者バーコード付きで内容を健診分に変更して印刷
・透析前日分実施データ作成
透析会計データ作成とカルテ記載より、透析リハビリ記録があるか確認させて透析リハを自動算定
・訪問看護指示書会計データ作成
記載した日付に会計データを作成
RPA稼働スケジュール

そして、稼働中のロボットで、2023年7月は158時間(1,900時間/年)を創出しました。安定稼働のためには少しずつ修正が必要ですが、最近は安定稼働を続けています。

今後の展開について

今後は病棟看護作業を効率化するための活用を考えたいと思っています、また、医療安全やルールチェックにもつなげていきたいです。例えば、下記のようなロボットです。

・医療安全
データ抽出や分析結果作成
・カルテ記載チェック
退院時記録の記載ルールで未記載の場合担当病棟師長へメール
・データチェック
入院取り消しとなった患者に不要になったデータがあるかチェック(後になって入院データ一部が残っていて問題になることの解消。毎日実施すると作業が増加するが、データチェックし該当する患者だけ内容を確認)

別システム(電子カルテ、検査画像システム、人事システムなど)との連携も、今後試してみたいです。連携には費用をかけて接続するか、人がデータ入力しなければできなかったのですが、RPA連携の新たな方法で対応できるのではないかと考えています。

急性期病院においてRPA導入の有用性を考える

福岡赤十字病院について

福岡県福岡市南区に位置しており、511床ある病院です。令和4年度の年間実績として、新入院患者数は15,089名、救急車受入件数は7,289件でした。

2019年よりRPAの導入検討を始め、トライアルを経て導入を決定。2021年3月にロボット第1号が完成し、本格的な活用を進めています。

ロボット紹介① – 病歴管理システムへの紙カルテ廃棄情報登録

紙カルテ廃棄作業用に作成したリスト(エクセルファイル)を基に、病歴管理システムに廃棄済みの情報を入力するロボットです。

ロボット紹介

人間が作業を行っていた時は年間120時間かかっていましたが、今ではロボットにまかせているので人間の作業時間はゼロになりました。作業ミスもなくなり、ロボットなので労いの言葉もいりません。

ロボット紹介② – 前日の緊急入院患者抽出

このロボットは、入退院支援加算の算定を増やしたくて作成したロボットです。「緊急入院患者に介入したいものの、電子カルテの仕組み上、入院患者一覧で容易に緊急入院患者を把握できない、また、病名も患者カルテを開かなければわからないという問題が存在していました。

その問題を、ロボットがDWHから緊急入院患者データを抽出し、病名を含むリストを作成、入退院支援課の職員にメッセージ送信するという方法で解決することができました。

ロボットを作成した結果、ロボット導入後に約70万円/月の増収に成功しました。

ロボット紹介

その他に稼働中のロボット紹介

現在、稼働中のロボットの一部抜粋です。これらのロボットで、年間の削減時間は約4,600時間相当に達しています。

  • 1. 紙カルテ廃棄情報の登録
  • 2. 毎日10:30時点の患者情報取得
  • 3. 病歴管理システムの自動バックアップ
  • 4. サマリ作成督促時の確認
  • 5. 他部署への入院患者情報データ受け渡し
  • 6. 読影レポート既読後のカルテ記載確認
  • 7. 職員検診の検査オーダー
  • 8. 診療情報提供料算定チェック
  • 9. 前日の緊急入院患者抽出

今後の展望

ロボットの稼働で成果をあげているものの、下記のような課題も認識しています。

・リスキリング
特定の職員に限らず、各部署に開発者を育成する必要がある
・メンテナンス
電子カルテ等のシステム更新に伴うロボットの改修が必要
・適用基準・除外基準
適用業務検討のための委員会等の設置(または諮問)
・規程等の整備
システムトラブルや誤操作時の対処について
・診療情報を構造化データに
記述式の入力を制御

課題の解決に向けて対応しながら、今後は院内でより広く展開していきたいと考えています。福岡赤十字病院では、2023年末に電子カルテの更新を予定しています。電子カルテの更新後、算定漏れチェックなど増収に繋がる視点でも展開を進めたいです。

また、ロボットとの共存という職場風土の構築も今後の展望のひとつです。今後、労働人口は減少することが見込まれており、少子高齢化社会の日本では医療業界での人手不足も嘆かれています。病院事務が選ばれる仕事になるために、病院運営に本質的に必要なことは「何か」をしっかりと考えていきたいです。

セミナー完全版につきましては、ぜひ下記からオンデマンド配信をお申し込みください。より詳細な説明に加えて、質疑応答などもご視聴いただけます。

セミナーオンデマンド動画を視聴

また、今後もWebセミナーやすでに実施したセミナーのアーカイブ配信もご用意しております。ご不明点やRPAについてご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

Webセミナー一覧:https://rpa-technologies.com/seminar/

お問い合わせ:https://rpa-technologies.com/inquiry/contact/

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