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皆さんはBPMという言葉をご存じでしょうか。「Business Process Management(ビジネス・プロセス・マネジメント)」の頭文字を取った言葉で、生産・出荷・営業など、複雑になりやすい業務プロセスが発生する時に使われる考え方です。
今回のブログでは、BPMについて詳しく解説するとともに、メリットや進め方、さらに業務改善におすすめのツールもご紹介いたします。
ライター紹介:
- 長澤 史佳(ながさわ ふみか)
- 大学在学中に「ハフポスト日本版」と「Forbes JAPAN」にて記事執筆・編集・翻訳などを経験後、新卒で株式会社PR TIMESに入社し、PRプランナーとして化粧品メーカーや食品メーカーを担当。2022年よりRPAテクノロジーズ株式会社に入社し、コンテンツ企画や広報を手掛ける。
業務プロセスの改善ができるBPMとは
BPMとは「Business Process Management(ビジネス・プロセス・マネジメント)」の頭文字を取った言葉で、業務プロセスの改善を目的とした管理手法のひとつです。企業活動には、生産・出荷・営業・販売など、多くの業務プロセスが発生します。複雑になりやすい業務プロセスを可視化して問題点を見つけた上で、最適な形へと継続的に改善を図っていく作業のことを指します。簡単にまとめると、「現状の業務プロセスを見直し、より良い形へと改善していくこと」です。
BPMは、一度行ったら終了という性質ではなく、改善を繰り返して継続的に行うことが重要です。また、BPMには実践を助けるためのITツールが存在しており、そのツールは「BPMシステム」または「BPMS」と呼ばれています。
BPM以外の業務プロセス改善方法としては、BPR(※1)やBPO(※2)があげられます。改善したい業務や規模によって他の方法も検討しましょう。
※1 Business Process Reengineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の略称。詳しくは下記で説明
※2 Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略称。自社の業務のうち、コアビジネスではない事業や特定部門の業務プロセスを外部に委託すること
BPMとBPRとの違い
BPMと似たような言葉として、BPRが思い浮かぶ方もいるのではないでしょうか。BPRは「Business Process Reengineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」の略称で、業務プロセスを根本的に考え直し、抜本的に再構築していくことです。業務プロセスはもちろん、組織・人事・経営戦略なども含めた大きな領域での改善を指しています。
BPMとの大きな違いとして、主に下記があげられます。
- ・BPM:業務プロセスごとに改善を継続的に行う活動。現場レベルからボトムアップで行われる
- ・BPR:全社的な業務改革を一度で実施する活動。リーダーが方針を示し、トップダウンで取り組みを主導する
BPRに関して、詳しくは別のブログをご用意していますので、そちらもぜひご覧ください。
BPMが重視される3つの理由
理由1 – 環境の変化
BPMが重視されるのにはいくつか理由がありますが、そのうちのひとつが働き方改革やグローバル化など、環境の変化です。働き方改革によりこれまでの働き方が見直されている中、残業時間を減らすために業務プロセス自体を分析し、改善する必要性が増してきています。働き方関連だと、一般的になってきているリモートワークに適用するためにも業務プロセスの最適化が必要です。
また、外国籍従業員の増加や海外クライアントとの取引など、多くの企業でグローバル化が進んでいます。それぞれの業務を円滑に行っていくためにも、BPMが重視されています。変わり続ける環境に適応するためにBPMで継続的に業務を見直し、改善を図っていきましょう。
理由2 – 業務全体が可視化され、円滑に業務が進められるため
日本の企業は部ごとの縦割りが一般的です。自分の所属部署内での業務の流れはわかっていても、部を超えると業務プロセスがわからないというケースも多いのではないでしょうか。
縦割りという企業文化に加え、最近ではリモートワークやフレックスタイム制、副業兼業などで働き方が多様になり、顔を合わせる機会が少なくなってきています。コミュニケーションを円滑にし、業務をスムーズに進めるためにも、BPMで業務全体を可視化して改善する必要性が高まっています。
理由3 – 業務の標準化の必要性が高まっているため
昔から現在に至るまで、日本では個人の裁量にまかせた属人的な仕事のやり方をしてきました。「勤勉」と言われる日本人ならではの性質からか、個人でも仕事を上手く回せることや職人気質が理由とされています。
しかし、属人的になりすぎて特定の社員のスキルに依存すると、組織としてのリスクも発生します。そのため、業務を標準化し、誰がどの業務を行ったとしても同じようなアウトプットが出せるような制度設計が必要不可欠です。
BPMの5つのメリット
メリット1 – 業務の全体像を掴むことができる
BPMの最大のメリットは、部署・部門を横断した業務プロセスが可視化されることです。業務プロセスをモデリングにより図式化するため、その業務に関わる全員が一目で流れを理解できるようになります。また、日本の縦割り組織の特性上、部をまたいだ業務の全体像が不明瞭になりがちですが、そこがわかりやすくなるため社員同士のコミュニケーションもとりやすくなるでしょう。
メリット2 – 本質的な課題を発見できる
企業の中で事業拡大や部署統合が行われると、業務プロセスはさらに複雑になり、全体像を把握することが難しくなります。業務プロセスが把握できなければ、問題点や無駄な業務を洗い出すこともできません。そこで、BPMによって業務を可視化することで、既存の業務プロセスに潜んでいる課題や部署間の連携状況も把握しやすくなります。その結果、業務配分を見直したり、デジタルツールを導入したりと、本質的に課題を解決するための対応を取ることができます。
メリット3 – 業務プロセスを標準化し、品質を安定できる
BPMにより業務フローを可視化することで、業務プロセスが標準化されます。標準化されることで、個人に依存している業務の属人化が解消され、誰でも同じようなクオリティで業務ができるようになり、新入社員の受け入れや引き継ぎもスムーズに進めることができます。また、業務品質が安定し、サービス品質が安定することで、長期的には顧客満足度の向上も見込めます。
メリット4 – 業務プロセスやフローの変更がスムーズになる
BPMは、それぞれの業務プロセスでPDCAサイクルを回していくことが大切です。それにより、実行途中でもビジネスプロセスや業務フローの変更・修正が容易に行えます。常に変化し続けるビジネス環境に簡単に対応できることは大きなメリットとなります。
メリット5 – システムやツールを適切に導入できる
BPMで全体の業務フローが把握できると、業務に適したツールが導入しやすくなります。DX推進やリモートワークの普及で新しいツール導入を検討している企業は増えているでしょう。検討する際に全体の業務フローが理解できていると、どの業務フローに対してツールを導入するかを把握しやすくなり、余計なコストを削減することができます。自動化できる定型業務に関しては、RPAツールの導入がおすすめです。
BPMシステムを導入するべき理由
業務プロセスを実行・管理する情報システムは「BPMシステム」または「BPMS」と呼ばれており、業務プロセスを改善する時にその実行支援・進捗管理をしてくれるシステムです。
BPMシステムを導入する最大のメリットは、簡単に業務プロセスの可視化ができる点です。システムによりモデル化し、課題を発見しやすくなります。その他にも、効果測定・案件一覧・個人実績分析・他システムなどとの連携もできるので、BPMを実施する際はシステムを使いながら進めるのがおすすめです。
BPMシステムの主な機能
モデリング機能
モデリング機能とは、業務プロセスを可視化し、再設計するための機能です。まず、現状の業務プロセスを特定のルールに基づいて、フローチャートに落とし込みます。フローチャートで全体を改めて見返してみると、意外にも無駄な作業や重複している作業が見つかることがあります。改善すべき部分が見つかったら、どのように効率化するかを検討した上でフローチャートを修正しましょう。
シミュレーション機能
シミュレーション機能とは、従来のフローから変更・再設計された業務プロセスに問題が発生しないかを予測する機能です。モデリング段階では効率化できたように見えても、実行してみると想定していなかった影響が出ることがあります。実務への影響を防ぐため、シミュレーション機能を使って事前にチェックするようにしましょう。また、モデリングによる業務プロセスの改善によって、どのように効率化されるかを検証することも可能です。
モニタリング機能
モニタリング機能とは、プロセスの最適化を検証する機能です。改善された業務プロセスを実行した際に、そのプロセスによる業務への影響などをログの解析によって監視します。再設計された業務プロセスの実行により、狙い通りの効果を得られているかをチェックする意図も含まれています。モニタリングして思い描いていた結果にならなかった場合は改めてモデリングからやり直し、改善を繰り返していきましょう。
BPMの進め方
ステップ1 – BPMを用いる業務を決めて分析する
まずは、業務プロセスのうち、BPMを実施する対象業務を選んで業務プロセスとフローを可視化していきます。可視化できたら、業務プロセスの中で課題や問題点を特定し、なぜ発生しているのか原因を分析します。
この時、フローチャートに落とし込んで分析するのが効果的です。フローチャートに落とし込む際は、国際基準として標準化されている「BPMN(※3)」という表記法に従って行いましょう。
※3 ビジネスプロセスモデリング表記法。業務プロセスの手順を最初から最後まで図式化するフローチャート手法
ステップ2 – 業務プロセスを再設計する
課題や問題点を洗い出せたら、その分析を基に業務プロセスの再設計を進めていきます。ここで上手く再設計できれば、それぞれの業務プロセスを効率的に運用し、無駄なコストを削減することが可能です。このステップでは、専用のBPMシステムを使うのがおすすめです。業務にかかる時間や費用、ステークホルダーなどの情報を盛り込んだ業務プロセスモデルを作成した上で、シミュレーション機能を利用して問題がないかを試してみましょう。問題がなければそのまま実際の業務に反映、問題が発生した場合は再度調整し直します。
ステップ3 – 狙い通りに運用できるか監視する
次は、再設計した業務プロセスを実行し、思い描いていたように運用できるかをモニタリングします。業務フローに変更を加えた場合、以前よりも業務効率がアップしているか、どの部分がどのくらい時間短縮できたのか、定量的に測っていきます。モニタリングはBPMシステムを使用して自動化することで効率的に進められるので、積極的に活用していきましょう。
ステップ4 – 業務を再度分析し、改善を図る
一定期間のモニタリングデータが集まったら、業務プロセスを再度分析して改善点を集めていきます。改善した部分は実際に改善されたのか、上手くいかなかった場合は何が原因となったのかを分析します。BPMは、一度きりで終わらせるのではなく、継続的にPDCAサイクルを回していくことが大切です。徐々に改善していく意識を持ちながら、全体的な視点で実行を繰り返していきましょう。
BPMを実施する際の4つのポイント
目的を明確にしておく
BPMの実施にあたっては、目的を明確にしておくことが重要です。失敗事例を見てみると、BPMを実行すること自体が目的となり、具体的なゴールが設定されていないケースが目立ちます。BPMは業務プロセスを改善するための手段であり、それ自体が目的になることはありません。なぜBPMを導入する必要があるのか、BPMの導入によって何を達成したいのかを考え、常に念頭に置いておきましょう。
また、目標はふんわりとした定性目標ではなく、誰が見ても認識にずれが発生しないよう「作業時間を〇〇%短縮」「コストを〇〇%削減」といった定量目標を用いるのがおすすめです。関係者間では定期ミーティングを行い、目的までの進捗確認や意見交換を行いましょう。
優先順位をつける
BPMを進める際は、どこから始めるかという優先順位をつけることも大切です。全体の業務フローを見返した時、どこで業務が滞っているのか、コストがかかっているかなどの課題を洗い出し、ボトルネックとなっている部分を優先的に改善していきます。優先順位をつけずに進めてしまうと、広範囲にわたって大量のモデリングが必要となり、時間と労力の負担が大きくなってしまいます。本来の目的をしっかりと達成するためにも、最も改善が必要な部分から着手するようにしましょう。
PDCAサイクルを徹底し、継続する
BPMによる業務改善は、PDCAサイクルを継続して回していくことで高い効果が期待できます。業務プロセスを分析し、改善の計画を立てる(Plan)→実行に移す(Do)→実行結果を検証し、再設計する(Check)→より良い結果を得られるように再度実行に移す(Action)という工程を何度も繰り返すことで、業務プロセスはより洗練され、最適化が見込めます。一度で思い描いていた効果が出なくても決して落胆せず、根気強く継続していきましょう。
BPMで洗い出した定型業務フローは、BizRobo!での自動化がおすすめ
BPMで業務プロセスを洗い出すと、例えばデータ入力や請求書・見積書の発行など、多くのルーティンワークも含まれていることが多いです。その定型業務はRPA(※4)で自動化することで、コスト削減が見込めます。
※4 ロボティックプロセスオートメーションの略。パソコン上で行う業務をロボットで自動化すること。詳しくはこちらのブログへ
BizRobo!は、国内で10年以上の開発・運用実績とノウハウがある日本のRPA先駆者・RPAテクノロジーズが提供する製品です。
活用定着支援をはじめ、初めてRPAに触れる方のお悩みにも迅速に対応できるように専任体制を構築しています。さらに、ユーザー全員が利用できるeラーニングやわからないことをすぐに質問できるユーザーSNSなど、サポートコンテンツも充実しており、ユーザー同士の交流が活発です。
BPMを進めていて、定型業務フローの自動化を検討されている場合は、ぜひ下記より詳細をご覧ください。
この記事のまとめ
- BPMとは、簡単にまとめると現状の業務プロセスを見直し、より良い形へと改善していくこと。業務プロセスを可視化することでボトルネックを発見し、改善できるように効率化を図ることができる
- BPMによる業務改善は単発のプロジェクトではなく、継続的なPDCAサイクルを回していくことが重要。一度ですべてを達成しようとするのではなく、繰り返しの中で徐々に改善していく意識が大切
- BPMにより業務フロー全体が可視化されることで、人が担当すべき業務かツールを導入すべき業務かを明確にできる。その結果、自社にあったツールや製品を導入・開発し、コスト削減や負担軽減につながる
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