BizRobo! ブログRPA関連のお役立ち情報をお届けします
近年、新型コロナウィルスの影響による働き方の変化と技術進歩にともない、従来の紙業務もテクノロジーを活用した効率的な働き方に移行しつつあります。その中でも多くの企業が導入を進めているのがOCRです。
本ブログでは、OCRの基礎知識から導入メリット・デメリットまで詳しく解説していきます。OCR導入を検討している方はぜひ参考にして頂けると幸いです。
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OCR (Optical Character Recognition=光学文字認識)とは
OCRとはOptical Character Recognition/Readerの略で、日本語に訳すると光学的文字認識という意味になります。このOCRは画像や手書き文字、印刷された文字などをスキャナやデジタルカメラによって読み取り・抽出し、コンピューターが利用できるデジタル文字コードに変換する技術のことをさします。
OCRを活用することにより、業務プロセスが効率化され、今まで紙業務で長時間対応していた入力業務や残業対応していた処理業務が改善された事例が多数出ています。そのため現在では大手企業はじめ中小企業でもOCRの導入による業務プロセス効率化を進める企業が多く存在します。
OCRが必要とされる背景と日本における労働環境の変化
OCRが注目され始めた理由
日本社会の大きな課題でもある少子高齢化社会。2060年には、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者になるという、世界でも他に例のない超高齢化社会に直面します。国内の総人口は減少の一途を辿り、労働力の中核を成す15歳以上65歳未満の生産年齢人口も1990年代をピークに減少傾向が続いています。
この労働力不足が日本経済に与えるインパクトをできる限り軽減するために、早期に生産年齢人口への対策と業務プロセス効率化をしなければならないことは明らかです。特に日本では紙業務などの「ムダな業務」が各業界で点在しており、紙業務をデジタル化していくデジタイゼーションはDXにおける必要なステップだと経済産業省でも位置付けられています。
そこで、注目を集めているのがOCR/AI-OCRです。
すでに紙業務が多く存在するバックオフィス業務などでは、紙文字をデジタル文字に変換し業務プロセスを効率化するツールとしてAI-OCR導入が進んでいます。その適応範囲は、金融はじめ商社、サービス、流通、小売、インフラ、製造、不動産、自治体など広範囲な業務プロセス効率化に対応できる技術として大きな可能性を秘めています。
出典:2010年までは国勢調査、2013年は人口推計12月1日確定値、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果
OCRの歴史
OCRの歴史は意外にも古く1920年代に研究・開発され、1929年にはアメリカで数字とアルファベットを読み取るOCRがそれぞれ開発され特許が出願されています。
日本は1968年7月に東芝が国産OCRを初めて製品化し、本格的にOCRの利用が始まりました。この製品開発の背景には、OCR技術による郵便番号の自動読み取りを導入するという目的があったと言われています。実際に郵便番号を自動的に読み取り、仕分けするための機械として東芝は「TR-3」と「TR-4」郵便区分機とよばれるOCRを開発し製品化をしています。
1980年代に入るとOCRの利用はさらに広まり、官公庁や大手企業がOCRを利用するようになりました。さらにOCRは社内のパソコンと接続して利用する周辺機器の位置付けとなり利用されていました。
1990年代以降はOCR端末の小型化が急速に進み、2010年代に入ると、スマートフォンやタブレットと連動する小型のOCR端末や、スマートフォンで撮影した画像をそのままOCRできる製品も登場しました。
2020年代の現在では高速インターネットの普及とクラウドサービス(SaaS)の大衆化により、パソコンからオンラインで利用が可能となり、さらにはAI技術と連携したAI-OCRサービスも比較的安価に提供されるようになっています。今後、中小企業や個人事業主などの小規模レベルでの活用も進むと予想されています。
OCR導入で変わる未来
OCRの登場によって、これまで「人間にしかできない」とされてきた紙業務も、OCR活用による文字のデジタル化で働き方をより効率的に実施することが可能となりました。それにより、グローバル規模でもデジタル活用に向けたデジタイゼーションの初めの一歩として、OCRの導入が進んでいます。
GRAND VIEW RESEARCHの調査によると、アジア太平洋のマーケットでは年間平均成長率は19.4%と予測されており、AIとの連携によるAI-OCR製品やサービスを提供する日本のスタートアップ企業も登場していることから、RPA(Robotics Process Automation)との連携によるさらなる活用が進むことも言及されています。(出典:Optical Character Recognition Market Size, Share & Trends Analysis Report)
さらに2020年12月に発表された経済産業省のDXレポート2では、DXにはデジタイゼーションが必要と示し、アナログ・物理のデジタルデータ化を必要不可欠という考えも示しています。また、本レポートではDXフレームワークで、コロナ禍を契機に企業が直ちに取り組むべきアクションとして、OCR 製品を用いた紙書類の電子化を推奨しています。
これを受けて、大企業から中小企業まで規模や業界業種を問わずOCR導入活用によるデジタイゼーションの取り組みが進められており、さらにはRPAとの連携による旧態依然とした業務が多く残る業種・職種にも業務改善の可能性が生まれることになるでしょう。
書類・紙業務の負荷による人手不足
古くからある紙業務は、一般的に非効率的と考えられているため、業務プロセス効率化の対象としてみられています。紙を使う業務はどの程度企業内に点在しているのでしょうか。
Biz Clipがおこなった2020年3月の紙業務調査によると、紙の文書が介在する業務工程について質問をしたところ、最も多かったのは「契約・申請書類」の66.5%、2番目が「取引先・顧客への請求・見積もり」の57.9%、3番目は「社内会議資料」54.8%という調査結果が出ています。
これらの紙業務はOCRなどを活用したデジタル化を進めることにより、人手不足対策やテレワーク推進可能な職場環境へと整えることができるでしょう。
アドビ株式会社が2020年2月に実施した調査によると、テレワーク勤務を経験したことがある男女500名のうち、64.2%が捺印やオフィスの書類確認といった対応でやむなく出社した経験があると回答しています。
人手不足を感じている社員が多い中、社内では古い紙業務に人手を取られ、人手不足になってしまっている企業も多いのではないでしょうか。このような課題を感じている企業で急速に活用し始められているのが、AI-OCRやOCRです。
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AI-OCRとは
AI-OCRとは、OCRにAIが搭載された製品となります。当社で扱っているBizRobo! OCR with AI insideもこのAI-OCRになります。AI-OCRツールを利用するメリットはさまざまありますが、主に以下の3点がメリットとしてあげられます。
・文字識字率が高い
・フォーマットが異なる帳票に対応できる
・RPAとの連携でさらに作業効率がアップできる
なぜこの3つがメリットになるのかひとつずつ説明していきましょう。
01 文字識字率が高い
これまでのOCRは、製品内に持っている判断ロジックを利用し、その判断ロジックの範囲内で決められたパターンでしか識別を行いませんでした。そのため、1度読み取りをした後も同じ間違いをするため、カスタマイズ対応や読み取るためのチューニングをしていました。
しかし、AI-OCRではOCRにAIを搭載しDeep Learningを活用することにより、1度文字を読み間違えても、その間違えたデータをAIが学習します。そのため、徐々に読み取り精度を改善することができ、文字認識率を向上、100%に近い読み取りまで達することが可能となっています。
02フォーマットが異なる帳票に対応可能
これまでは帳票をOCRで読み取る際に、読取位置や各項目の詳細定義をする必要がありました。しかし、AI-OCRはAIが読取位置や項目を自動抽出することができるので、紙ベースの資料をスキャンするだけで文字を認識してくれるマルチフォームでの読み取りも可能です。たとえば、見積書や請求書、納品書などやレシート、領収書といったものまでスキャンするだけで項目を抽出、デジタル化できるので、大幅な業務効率改善が可能となります。
03 RPAとAI-OCR連携でさらに作業効率向上が可能
最後の3つ目は、RPA(Robotic Process Automation)とAI-OCRを連携することで更なる業務効率化が見込めます。「RPA」とは、今まで人が行っていた定型業務をデジタルレイバーにより業務を代行すること指します。たとえば、RPAを活用することによりAI-OCRで読み取ったデータ抽出からファイル作成、データ転記や機関システムの登録などの業務をRPAで代替することができます。
RPAは業務プロセスを自動化する作業にはとても優れていますが、一方で、デジタルデータに変換する機能が搭載されていないことが課題となっていました。 そこで、RPAとAI OCRを連携させることで、紙に記載してある文字情報をデジタル化し、RPAで定型業務を自動化するという一連の作業が可能になりました。
近年話題のAI-OCRトレンド
2017年頃からRPAブームが始まり、RPA導入が爆発的に進みました。その後、2018年頃からはRPAとAI-OCRの連携による活用が進み、AI-OCR導入が始まっています。
2019年6月に実施されたMM総研の国内法人のAI-OCR導入実態調査によると、オフィス業務の生産性向上に取り組む1,000社へのWebアンケートでは、AI-OCRサービスを導入していると回答した国内法人は全体の9.6%だった。
また、 AI-OCRサービスの未導入企業に対し、サービス利用への関心を聞くと51.9%が「利用に関心がある」と回答しており、企業規模別では、大企業を中心に関心が高くなっている。加えて、業種別調査では、卸売業・小売業や製造業、官公庁など大量の手書き帳票が発生する業種でより強い導入意向がみられた。
一方、導入企業のうち85.7%が「データ作成に要する時間を削減できた」と回答しており、82.1%は「ミスの発生率」を、78.6%は「当該業務に必要な人員数」を改善できたと回答している。
(出典:MM総研 「国内法人のAI-OCR導入実態調査 2019年6月実施」)
経済産業省のDXレポートや新型コロナウィルスの影響による、企業の働き方の見直しが進む中、AI-OCRとRPA連携による業務改革がさらに加速していくと予想される。
OCR技術について
OCRやAI-OCRのソフトウェアには、さまざまな文字や画像を認識するための技術が組み込まれています。今回は大まかに3つの認識技術について解説していきます。
文字認識技術について
OCRで文字を認識するステップは各々の製品によって変わりますが、主に1)文字サイズの把握、2)文字スタイル、3)文字状態(文字のつぶれた状態やかすれた状態)を読み取ります。その上で、文字の正規化→特徴抽出→マッチング→知識処理という流れで文字認識の処理をすすめます。
非定型帳票認識技術について
非定型帳票認識技術とは、その名の通り定型帳票ではない非定型帳票を認識する技術のことをさします。従来の定型帳票認識技術では帳票フォーマットが決まった型に文字が配置されている行・列数、位置、文字サイズなどが一致しないと帳票文字の認識ができませんでした。
しかし、技術の進歩により枠の数・位置・大きさなどが一致しない非定型帳票に対応し、同一の種類でもレイアウトが異なる活字帳票を認識できるようになりました。『財務諸表・源泉徴収票・レセプト・健康診断結果表』など同一種でレイアウトが異なる活字帳票の混在認識を実現します。たとえば、請求書や領収書、レシートなどの異なったフォーマットでもレイアウトと抽出すべき項目を把握し、読み込み・抽出ができるようになりました。
自由手書き文字認識技術について
自由手書き文字認識技術とは、文字枠に依存しない自由度の高い文字認識技術で手書き文字を認識する技術のことをさします。OCR技術の中で特に大きな課題となっていたのが、日本語の手書き文字の認識技術です。
ひらがな、カタカナ、漢字や数字、記号といった多岐にわたる文字をフリーハンドで認識するには細かいチューニング技術が必要となります。しかし、現在ではAIの技術活用によるAI-OCRにより手書き文字の認識を精度高くできるようになっています。これにより、AI-OCRが広い分野で活用され、多くの業務改善を実現できるようになっています。
また、最近ではタブレットを活用した手書き文字を即連携できるペーパーレスを実現できる製品やソリューションも登場しています。
参照:BizRobo! Paper-free アナログ処理から人間を解放する情報入力プラットフォーム
AI-OCRの導入活用メリットについて
それでは次にAI-OCR導入のメリットについて紹介していきましょう。既存ユーザーが実際に導入メリットがあると評価されている点は主に以下の5つがあげられます。
・時間創出ができる
・入力ミスの軽減ができる
・無駄な資料の保管スペースの削減
・データ管理が容易になる
・RPAなど他ツールと連携活用が可能
メリット1:時間創出ができる
文書の枚数が多ければ多いほど、確認事項や転記作業など処理対応時間に膨大な時間とられます。AI-OCRにより紙処理業務はスキャンするだけで即時デジタル文字に変換することが可能となります。変換文字の確認は必要になりますが、アナログで実施していたダブルチェックやトリプルチェックという必要はなくなるため、時間創出が可能となります。
メリット2:入力ミスの軽減ができる
アナログ処理になると必ず注意しないといけないのが、入力ミスです。特に人手不足の中、情報の転記作業は精神的なプレッシャーもあり転記ミスや項目の入力ミスが発生しがちです。AI-OCRとRPAを連携して利用することにより、指定した項目の情報を即時デジタル変換しCSVで抽出、指定の項目に入力することができます。そのため、変換文字さえしっかりとチェックしていれば入力ミスをすることはありません。
メリット3:無駄な資料の保管スペースの削減
AI-OCR活用による利点はデジタル化です。紙処理での処理対応となると、処理数が増加するにつれ、保管・管理しないといけない物理的なスペースが必要となります。そのため、処理枚数が数万枚や数百万枚となると、紙資料を管理する人材も必要となってしまいます。しかし、AI-OCRでデジタル化することにより、物理的空間を必要とせず管理することができるため管理スペースや棚を準備する必要がありません。
メリット4:データ管理が容易になる
管理スペースでの資料管理にも繋がりますが、AI-OCRだとデータ管理が容易になります。資料が膨大だと資料室や倉庫に資料を探しにいく必要がありました。そのため、探しても資料が見つからないなどの問題にも繋がっていました。クラウドや社内のシステム上で管理することで、データのやり取りや共有はURLなどのリンクを共有すれば即時共有が可能となります。また、管理ルールを決めてデジタル上でファイルを管理することで、データやファイル管理が楽になります。
メリット5:RPAなど他ツールと連携活用が可能
業務プロセスの全体を自動化するために、RPAは必須のツールと言っても過言ではないでしょう。AI-OCRはRPAとの相性がとても良く、紙データをデジタル化しRPAで作成したロボットでデータの自動登録や指定したメールアドレスへの送信など活用の幅が一気に広がります。AI-OCRとRPAでのAPI連携も可能となっているので、AI-OCR導入検討中の方はRPAを導入検討してみてはいかがでしょうか。
AI-OCRの導入デメリットについて
AI-OCR導入はメリットばかりに焦点が集まりがちですが、もちろんデメリットもあります。どのようなデメリットがあるかみていきましょう。
デメリット1:100%の文字認識率ではない
AI-OCR導入活用のデメリット1つ目は文字認識精度が100%ではないことです。多くの製品では手書き文字など100%に近い読み取り精度を出していますが、100%の文字認識率に到達するのは難しいのが現状です。
そのため、人とAI-OCRに組織体制により100%の精度に引き上げる必要があります。結局、人の目視チェックが必要であれば AI-OCRを導入する必要がない、と思う方も多いかと思います。しかし、業務量が膨大で定期的に処理する必要がある業務であれば、チェックだけで良いので最終的には大きな効果が期待できます。
デメリット2:非定型だと対応できないツールもある
2つ目のデメリットは非定型に対応できない場合があることです。AI-OCRツールによっては定型のみ対応のOCRツールもあるため、自社で抱えている課題を非定型でも対応できるか否かはしっかりと把握しておく必要があります。
また、近年国の後押しもあり多くの企業がデジタイゼーションに取り組んでいます。非定型OCRが利用できないと後々大きな問題に発展し、新たに別のツールを導入検討しないといけない状態になる可能性もあります。ツール選びは慎重に進めましょう。
OCR導入事例紹介
AI-OCR×RPA導入事例 ①
■住宅ローン申込書の入力業務
<課題>
・住宅ローンの審査に時間がかかっておりユーザーの満足度が低い状態だった
・審査データ確認/入力作業の負荷が非常に大きかった(1回の申込あたり200項目)
・住宅ローンの申込み書は紙媒体で受け付けるため、生産性の向上が困難であった
<効果>
・BizRobo! OCR を用いて、紙書類のデータ化と審査手続きを自動化
・既存の業務フローにこだわらない柔軟な発想により、全体で大幅な工数削減を実現
・審査時間を大幅に短縮し、顧客満足度の及び成約率向上につながった
AI-OCR×RPA導入事例 ②
■商品パッケージの表記読み取り・元のデータと相違ないか確認する業務
<課題>
・確認ミスが起こると数万個単位の商品回収・パッケージ改修など多大な影響があった
・従業員がプレッシャーを感じており、モチベーション低下につながっていた
・新商品が出るたびこの業務を行う必要があり、チェックする頻度も多かった
<効果>
・OCRによる読み取り・相違のチェックで正確なチェックが可能となった
・担当者が「ミスを起こしてはならない」というプレッシャーから解放された
AI-OCR×RPA導入事例 ③
■不動産情報のデータ化案件作業を行う物件情報の資料(紙媒体) をスキャンし、電子データとして保管・登録する業務
<課題>
・従来は物件情報を紙に印刷していたが、今後はそれらをスキャンし電子化するように業務内容が変更した
・スキャン後のファイル名の決定や物件情報の設定が煩雑で、非常に手間がかかっていた
<効果>
・ルール決めをし、標準化することで、ファイル検索が容易になった
・単純な転記作業をロボットが全て代行することで、担当者は余剰時間を創出できた
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、OCRの基本的な情報からAI-OCRの導入メリット、デメリットを解説しました。デジタイゼーションは、紙業務脱却の第一歩となり最終的には企業のDXを進める上での重要な根幹部分となるでしょう。中長期的な観点からどうAI-OCRを活用するかをしっかりと検討し導入を進めていきましょう。
当社でも高機能かつ高サービスのBizRobo! OCR with AI insideを提供しています。紙業務でお困りの方はお気軽にご相談ください。
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