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日本国内のさまざまな業界・業種で人手不足が問題視されている中、小売業も常に人手不足の状態となっている業界です。
本記事では、小売業における人手不足の原因分析と、その課題を解決するための有効な対策についてご紹介します。
少子高齢化問題と小売業界の現状
日本国内の大きな社会問題となっている少子高齢化は、小売業界の人手不足と密接な関わりがあります。2060年には、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者になるという、世界でも類を見ない超高齢化社会を控えています。
日本の総人口は減少の一途を辿り、労働力の中核を成す15歳以上65歳未満の生産年齢人口も1990年代をピークに減少傾向が続いています。
現在、未就業の状態にある人々の就業支援や、外国人労働者の受け入れだけでは到底追いつかないほどのスピードで進行する人手不足をいかに速やかに補完するかは、各業界での大きな課題とされています。
厚生労働省の2013年から2019年の調査データ(※1)によると、小売業の有効求人倍率は全職種の有効求人倍率1.45倍に比べ、2.58倍と高いこともわかっています。また、年々有効求人倍率が増加傾向となっており、人手不足が深刻な状態となっています。
さらにもう少し深堀り小売業界について分析すると、小売業界の人手不足問題には需要と供給のバランスに問題があると考えられます。
少子高齢化により、人口減少が急速に進んでいる一方で小売業界では有効求人倍率が増加傾向にあり、需要過多の状態です。そのため、働き手の人手不足が深刻化しています。
パーソル総合研究所は「労働市場の未来推計 2030(※2)」と題した2030年時点での人手不足の状況を推計しています。この推計によると、卸売・小売業界では2030年に約60万人の人材不足が出るのではないかと予測されています。(出典:パーソル総合研究所は「労働市場の未来推計 2030」)
関連記事:企業がすぐ始めるべき 8つの人手不足対策・人手不足解消法とは?改善事例も含めて徹底解説!
パーソル総合研究所の予測データによると、人手が余っており人手不足問題を抱えてない業界もあります。では、どのような理由で小売業界は、人手不足となっているのでしょうか。小売業界が人手不足となってしまう具体的な理由を紐解いてみていきましょう。
小売業が人手不足になる4つの原因
小売業界で人手不足が起きてしまう原因は4つです。自社に当てはまる原因がないかみてみましょう。
給与の低さ
小売業界は、他業界と比べると比較的給与が安くなる傾向にあります。
政府がおこなった賃金構造基本統計調査によると、国内の小売業と全産業の月給平均(残業代含む)を比較したところ、2019年の全職種の月給平均が338千円に対して、小売業は293千円と平均を下回っています。
労働時間に対して、支払われる対価が高ければ給与が高い業界に就く傾向にあるため、小売業界は人手不足になりやくい傾向にあると予想されます。
また、小売業は扱う商品にもより異なりますが、業界の特性上薄利多売な流通ビジネスモデルのため、現場で働く従業員の賃金水準が低くなる傾向にあります。
長時間労働
小売業界にとって労働時間も大きな課題のひとつです。すでに人手不足となっている状況下で、ひとり当たりの業務量が増えることにより、やむ得ず残業をしなければならない状態となり、長時間労働となってしまう状態もみられるようです。
実際に小売業界の所定内実働労働時間数を政府が調査したところ、他の業種と比べてもかなり多いことがわかっています。労働時間を増やす大きな原因としては、やはりひとりあたりの業務量が増えてしまうようです。
シフト制(不定休・休暇の取りにくさ)
小売業の特徴として、一般的に土日や祝日の客足が多い傾向にあるため、月曜日から金曜日の平日勤務というのは難しく、シフト制を導入しています。
そのため、社員やスタッフは変則的なスケジュールで働くことが多く、決められた曜日に休暇が取得することが難しい傾向にあります。さらに、お正月などの年末年始やクリスマスなどは業務稼働時間がどうしても増えるため、休暇が取りにくいのが現状です。
このように他業界と比べると、部署によっては定休が難しく不定休やシフト制になるなど、休暇が取りにくいというようなこともあることで、他業種と比べると人材不足になる傾向にあるようです。
社会的評価と現実の乖離
小売業の大手企業となると、社会的評判や印象は良いようですが中堅・中小企業の小売業となると実務で行っている業務の印象とはかけ離れているようです。
小売業では実際にPoSデータやオムニチャネル戦略を利用したデータ取得をし、データドリブンな分析、改善施策に向けた企画の検討、カスタマーエクスペリエンス向上のための店内レイアウト改善など多岐に渡る業務があり、高いスキルが求められます。
小売業の人手不足に有効な対策方法
現状の課題に対して対策をし、人手不足の課題を軽減もしくは解決している企業も多くあります。どのような対策方法があるかみていきましょう。
AI・ RPA導入による時間創出
AIやRPAなどのテクノロジーを活用した人手不足対策で大きな成果を出している企業は多く存在します。もちろん、小売業社も例外ではありません。
特にRPA(ロボティク・プロセス・オートメーション)を活用した業務プロセスの自動化は時間創出が大いに期待でき様々な分野で活用されています。
当社のBizRobo!も小売業界を中心に多くの業界業種で活用され、単なる業務自動化にとどまらず余った時間を売上向上のための活動や新たな企画を考えるなど、人にしかできない業務に集中することができている、との声も上がっています。
関連記事:小売業界の事例集からわかる「小売×RPA」とデジタルを活用したDXの未来
労働環境を整える
多くの企業で働き方改革の一環として、労働環境を整えることを実施しています。競合企業などの他社が働きやすい環境を整えているのに、自社が働く環境整備ができていなければ人材採用が困難になり、最終的には人手不足に陥ってしまいます。
適正な労働時間のシフト体制管理や連続勤務を避けるなどの仕組みを作ることで平等な勤務体制を構築することは必要不可欠でしょう。具体的な例として、早出・遅出の2交代制の導入や月に取得する有給休暇の日数を定めるなどがあります。
また、新型コロナウィルス対策として事務作業従事者が在宅で業務をできるようリモートワーク環境を提供するなど、子育てや介護などが必要となる社員やスタッフにとって働きやすい環境を整備しましょう。
シニア世代・外国人労働者の積極的な採用
日本国内の人手不足を解消するには、今まであまり重視してこなかった層への採用も考えていく必要があります。たとえば、高齢化社会の日本ではシニア世代は重要な労働力となります。
また、グローバル社会が進む中で外国人労働者の採用は、小売業の海外展開や観光者向けの対応など重要される人材となってくるでしょう。
一方で、採用幅を広げるということは、これまで以上に雇用環境の見直しもしなければなりません。
特に外国人の採用では日本人とは異なる法の遵守が必要で、先に環境整備を進める必要があります。どのような人材でも気持ちよく働くことができる環境を整えることは、令和時代ではとても重要な人事戦略となるでしょう。
小売業×RPAの人材不足解消事例
RPAツールを導入し人材不足を解消した小売業界の事例を紹介します。なお、本章で紹介する事例は一部です。他業界や小売業界のRPA導入による効果や事例について知りたい方は、下記の無料資料をダウンロードしお役立てください。
事例1:マックスバリュ西日本株式会社
マックスバリュ西日本株式会社は、中国・四国地方と兵庫県の10県でスーパーマーケットを展開する小売企業です。生産性の向上に向けて従業員自らが使いこなせるツールを検討しており、RPAの導入を決めました。
導入後はこれまで手集計していた「レジの利用状況の集計」に関する一連の業務や、「大口取引先からの請求書のデータ入力」の作業のほとんどをRPAに置き換えています。
その結果、RPA導入前と比べて月間340時間、年間約4,000時間の人的リソースの創出に成功しました。
事例2:株式会社ファンケル
無添加化粧品などの製造や販売事業を行う株式会社ファンケルは、日々の定型業務の効率化や従業員の余力時間の創出に課題を抱えていました。そこでRPAを導入し、現在は約200体のロボットを製造・流通・販売の23部門に活用しています。
流通部門では売上データの抽出・集計から、自社システムへの登録、処理結果のメール通知までの一連の作業を、毎日ロボットが実行するようになりました。
作業ミスの軽減や、年間約6,700時間の余力で従業員がコア業務にシフトするなど、当初の導入目的を達成しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。国内のものづくりに関わる小売業は深刻な人手不足の状況にある一方で、自社の現状をしっかりと把握し、どのような改善をすれば良いか明確にすることによりさまざまな対策方法がみえてきます。
また、近年多くの企業で導入されている新たなテクノロジーや業務改革による改善の余地はどの企業にもあるでしょう。ぜひ、RPAやAIによる業務プロセス改善を検討されている方は当社へお気軽にご連絡頂けますと幸いです。
【参考】