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日々深刻化する不動産業界の人手不足
会社の業績が今ひとつ伸び悩むその原因の一つにまず人手不足を挙げる企業も少なくないのではないでしょうか。企業が事業を拡大する上で、人的リソース・労働力の確保は非常に重要です。しかし、国内では多くの企業が人手不足に悩まされています。
本記事では、不動産業界の人手不足に焦点をあて、なぜ人手不足に陥ってしまうのか、このような深刻な人手不足の状況で企業はどのような策を実施していくべきかなど、不動産業界の人手不足の原因とその解決法について詳しく解説します。
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国内の人手不足問題について
日本企業の人手不足が深刻化しており、様々なメディアで取り上げられるようになりました。その背景には多くの問題が関わってきますが、特に少子高齢化の進行には年々拍車がかかっており、人手不足問題における大きな要因と言えます。
総務省統計局の発表によると、2019年時点での日本の総人口は前年に比べ27.6万人減少し、9年連続で人口が減少しています。このうち、いわゆる「労働力人口」とされる15~64歳が占める割合は全体の59.5%で1950年以降最低の数値を表しており、反対に「高齢者」とされる65歳以上の人口は増加傾向にあり過去最高の数値を表しました。
さらには、44の都道府県で75歳以上の人口割合が15歳未満人口の割合を上回っています。このように日本では高齢者が増加し就労可能な人口が減少し続け、各企業で人手不足が慢性的な問題となっていることがわかります。
また、働き方の多様化が進んでいることも人手不足の要因として挙げられます。賃金よりも仕事のやりがいや福利厚生を重視する求職者も増え、金銭面の労働条件の改善のみではなく、従業員の「働きやすさ」にフォーカスを当てた企業の人気が高まっています。
人手不足問題の解決に向けて、国は働き方改革や少子化対策などの施策を打ち出していますが、充分な効果が得られるのはまだまだ先の事になりそうです。
関連記事: 企業がすぐ始めるべき 8つの人手不足対策・人手不足解消法とは?改善事例も含めて徹底解説!
不動産業界の人手不足の現状と課題
それでは国内の人手不足問題の中でも、不動産業界における人手不足の問題はどうなっているのでしょうか。 不動産業界の人手不足の現状です。エン・ジャパン株式会社が2019年1月29日に発表した「2019年『企業の人材不足』実態調査」を見てみましょう。
出典: 2019年「企業の人材不足」実態調査ー『人事のミカタ』アンケートー | エン・ジャパン株式会社
「現在、人材が不足している部門はありますか?」という質問に対し、「ある」と回答した業種は「IT・情報処理・インターネット関連」「不動産・建設関連」「メーカー」の3業種が91%で同率トップとなっています。この2年前の調査からは不動産業は他の業種に比べてもかなり人手不足が深刻である様子がわかります。
では、ここ最近ではどうなっているのでしょうか?
出典: 令和2年上半期雇用動向調査結果(産業別の入職と離職) | 厚生労働省
2021年2月3日に厚生労働省が発表した「令和2年上半期雇用動向調査」を見ると、 不動産業・物品賃貸業は入職者数が「76万6,000人」、離職者数が「62万7,000人」と若干ではあるものの入職者数が離職者数を上回っています。この結果だけを見ると、不動産業の人手不足問題は改善の兆しが見える様に思えるかもしれません。
しかし、離職率を業種別に見てみて下さい。
不動産業、物品賃貸業の離職率は8.1%で、全16業種のうち、宿泊業・飲食サービス業、教育・学習支援業、サービス業(他に分類されないもの)、生活関連サービス業・娯楽業、医療・福祉に次いで割合としては6番目に多いのです。
このように不動産業の人手不足は改善の傾向にあるようにみえますが、離職率が高いため、結局のところ人手不足の問題が解決されたとは言えない状況にあります。
不動産業界の人手不足問題が解決されない4つの理由
不動産業の企業数増加による働き手需要の増加
不動産業は宅建業免許を取得し供託金などを支払うことで簡単に立ち上げることが可能です。開業した時点で不動産会社専用の物件データベース「REINS」にアクセスすることができ、一瞬で大手不動産会社とほぼ同じ物件情報量を得る事が可能になるのです。
この様に、他の業種と比べ比較的開業する上でのハードルが高くないということから、次から次へと新しい不動作会社が増え、働き手の需要が増加することで人手不足に陥っているのも人手不足の大きな要因と言えるでしょう。
他業界と比べ給与が低い
不動産業は平均年収がかなり高い様なイメージを持たれがちです。確かに、不動産仲介のトップセールスマンにもなると年収1000万円以上になり、さらに上に行くと億単位プレーヤーの営業マンも存在する事は事実です。
日本の平均年収は420万円といわれているので、不動産の営業マンがいかに稼いでいるのかがわかります。しかし、不動産業界自体の平均年収は決して高いわけではありません。不動産業界だからといって全員が高給なわけではないのです。営業マンをイメージしがちですが、不動産業界は様々な業種や業態・職種があり、その業務内容によって給与水準や給与制度が大きく異なるからです。
不動産業界の業種別平均年収を見てみると以下のようになりました。
出典: DODA平均年収ランキング
不動産業界の平均年収は、日本の平均年収が420万円なのに対し、全体で見ると平均以下であることが分かります。
不動産業界の労働環境問題
人手不足に陥る原因として、過酷な労働環境問題も挙げられます。
不動産業界の離職率を見てみましょう。
厚生労働省が発表している「産業別離職率」によると、平成29年の不動産業界の退職率は16.5%と記されています。
出典:産業別の入職と離職
最もブラックと言われている飲食サービス業には届きませんが、医療福祉業を超えた数値という点で既に不動産業界もかなりブラックだとわかります。中には超ホワイト企業も存在しますが、多くの不動産企業が毎日の残業は当たり前、顧客獲得の難易度の高さ、厳しいノルマ、所有者や入居者とのトラブル、事故への立ち会い、そして古い価値観による体育会系の組織構成など労働環境が良くないと言われており、離職を希望する人が後を立ちません。あなたの会社はどうでしょうか。人手不足に悩んでいるのであれば、自社の労働環境を見直してみることをおすすめします。
最もブラックと言われている飲食サービス業には届きませんが、医療福祉業を超えた数値という点で既に不動産業界もかなりブラックだとわかります。中には超ホワイト企業も存在しますが、多くの不動産企業が毎日の残業は当たり前、顧客獲得の難易度の高さ、厳しいノルマ、所有者や入居者とのトラブル、事故への立ち会い、そして古い価値観による体育会系の組織構成など労働環境が良くないと言われており、離職を希望する人が後を立ちません。あなたの会社はどうでしょうか。人手不足に悩んでいるのであれば、自社の労働環境を見直してみることをおすすめします。
IT化・デジタル化されていない企業が多い
不動産業で多くの時間や労力を必要とするのが、膨大な量の書類作成や物件に関わるデータの管理・やり取りといった業務です。1人の担当者がそれら全てを任されている企業も少なくありません。取り扱う情報もプライバシーにも関わるものが多く、情報保護の観点からもこのように属人化した業務があまりにも多すぎる点が問題となっています。デジタル化が遅れ気味の不動産業界では、未だに手入力、手書きでの帳票・日報の作成・管理をしている企業も少なくはありません。
このような事から、不動産業界のIT化を進める流れが進んでいます。テクノロジーの力で不動産業界の古い商習慣を変え、業務の効率化を図り、新しい価値を生み出そうとする取り組みです。
企業のIT化を進め、長時間労働を無くし残業時間を減らすなど、労働環境の改善ができなければさらなる人材離れに繋がっていきます。近年では、政府も労務環境の改善を中心とした「働き方改革」を提唱し、各業界に向けて残業時間削減の推進を促していますが、不動産業界は全業種通して、働き方改革、特にIT化・デジタル化への取り組みが遅れている傾向にあります。
IT化が不動産業界の収益における安全ネットであるとともに、働き方改革対策にもなります。つまり、IT化できない企業は今後淘汰されていくともいえるのです。早急に対策を打てるかどうかが企業の生き残りを分けると言っても過言ではありません。
不動産業界の人手不足問題に向けた5つの対策
AIやRPAなどのテクノロジーの活用
ツールを適切に導入し仕事を自動化すれば、業務の効率化はもちろん、コスト削減や人的ミスの軽減、生産性が上がり業務時間の短縮も実現可能になります。これらは慢性化する人手不足問題を解決し、結果的に売り上げ向上にも直結します。
しかし、一言に仕事自動化ツールと言っても何をどのように導入して使えば良いのかわからないという方が多いと思います。そこでおすすめしたいのがRPAというツールです。
RPAとはR(Robotic)P(Process)A(Automation)の略称で、ホワイトカラーの定型作業(作業の流れが一連で決まっている仕事)を人間の代わりにロボットが行う概念を実現できるといったものです。
人的ミスを防ぎ正確に作業できる
・人間に代わり24時間365日稼働できる
・人間よりも早いスピードで作業できる
・コストの削減になる
・人材不足を解消できる
などといったメリットがあり、これまで人手不足に嘆いてた企業も必要最低限の人員で最大限の成果を出す事が可能になります。
RPAについて詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
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働きやすい労働環境の整備
不動産業界の労働環境問題は深刻です。全ての不動産会社に問題があるわけではありませんが、他業界と比べ離職率が高く人材離れが顕著です。
近年、政府の働き方改革関連法案により多くの企業で働き方改革の一環として、労働環境を整えることを実施しています。他社が働きやすい環境を整えているのに、自社が働く環境整備ができていなければ人材採用が困難になり、人手不足に繋がります。
社員やスタッフの労働時間の管理やシフト体制管理・連続勤務を避けるなどの仕組みを作ることで平等かつ働きやすい環境を整えることで人手不足対策に繋がります。
また、福利厚生の整備や新型コロナウィルス対策として事務作業従事者が在宅で仕事をできる環境を整えるなど、子育てや介護などが必要となる社員やスタッフに働きやすい環境を整備してみてはいかがでしょうか。
給与体系や賃金の見直し
給与や賃金が下り不満に思う人はほとんどいないでしょう。社員やスタッフの給与体系や賃金を見直すことで、社内のモチベーション向上や離職防止にも繋がります。社員やスタッフが自分の価値を理解し、スキルアップによる給与や賃金アップが可能な規定をしっかりと定めることが重要です。
また、社内で定めた給与体系を社員が知らなかった、ということがないよう社内にしっかり周知・共有することも必要です。
無計画な人材募集をしない
現在は求職者の人数よりも求人の数が圧倒的に多い時代です。
人手が足りないからと焦った採用は、大半がうまくいきません。本当に必要な採用かどうかよく考え、きちんと計画を立てて進めましょう。
人手不足を補うために慌てて採用活動を実施すると、欠員補充という意識が先行し、思考性の行違い、思わぬミスマッチ、早期離職の可能性も出てきます。そうなるとお互いにメリットはありません。特に早期退職が発生すると、今まで採用にかけたお金や工数が無駄になってしまいます。今組織に人手が足りないのにはどのような要因があるのか、また、必要としている人材の能力は何なのか、そしてそれを補うにはどうしても人材募集が必要なのか、ここの思考が浅いままなんとなくで採用をしてしまうのは非常に危険な選択となります。
BPOやアウトソーシングの活用を見直す
アウトソーシングした業務は、業務の効率化を図る事ができる一方でその業務に関するノウハウの蓄積や継承といった事がされにくいというデメリットもあります。あまり頼りすぎると、自社の社員の成長の障害となったり、再度自社でその業務を行うことになった際に誰も対応ができないなんていう状況になってしまうこともあります。
BPOやアウトソーシングする際は、社内にナレッジが蓄積されるような仕組みづくりをした上で、委託するようにしましょう。
まとめ
以上、不動産業界の人手不足問題の実態とその対策について解説させて頂きました。いかがでしたでしょうか。なかなか根の深い不動産業界の人手不足問題ですが、解決に向けて、労働環境の見直しや企業のIT化による業務の効率化など、選択肢の1つとして検討されてみてはいかがでしょうか。
この記事が少しでもあなたの会社の人手不足問題を解決するきっかけと参考になれば嬉しいです。