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日本では、出生率の低下による「少子化」と、平均寿命の向上による高年齢者の割合が増加する「高齢化」が同時に進行しており、さまざまな業界で「労働力不足」が問題となっています。その中でも、介護業界は介護を必要とする高齢者が増え続ける一方で、介護を担う若者が減っていく悪循環に陥っており、人材不足への対応が急務となっています。
そこで本記事では、介護業界の現状と人手不足に陥ってしまう原因について解説します。
また、人手不足解消に効果的な「おすすめのITツール」や、活用事例も紹介していますので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。
目次
介護業界の人材不足の実態について
介護業界では、高齢化にともない介護職員の増員が必要です。しかし、少子化により労働人口が減少しており、必要な人員が確保できない問題が発生しています。
そんな介護業界の現状と、人手不足に陥る背景について解説していきます。
介護業界の現状
厚生労働省の『第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について(※1)』によると、増員が必要な職員数が2026年度には約240万人、2040年度には約272万人とされています。
2022年度の職員数が約215万人のため、2026年度にはプラス約25万人、2040年度にはプラス約57万人の増員が必要な状況です。
しかし、厚生労働省の『令和4年 雇用動向調査結果の概要(※2)』の産業別入職者・離職者状況をみると、離職者数が153.6千人と前年度を大きく上回っています。
また、それを裏付けるように『令和4年版 労働経済の分析(※3)』のデータをみると、社会福祉関連の有効求人倍率は2019年をピークに減少しているものの、全職種を大きく上回る数値で推移しています。
そういった背景から、介護業界の人材不足は慢性的に発生しており、深刻な状況となっていることが分かります。
人材不足となっている背景
介護業界における人材不足は「少子高齢化」が大きく影響しています。
「令和6年版高齢社会白書(※4)」によると、日本の総人口は1億2,435万人(2023年10月1日時点)となっており、65歳以上の高齢者は人口の29.1%です。
2019年では28.1%だったことから確実に高齢者の割合は増えており、今後も増加していくことが予想されます。
また、高齢化が進む一方で、日本の出生数は低い数値を維持しており、2070年の出生数は約45万人まで落ち込みます。
しかし、日本の健康寿命は年々伸びているため、日本全体で介護を必要とする高齢者が増え続けるものの、介護を担う若者が減っているという悪循環な状況が発生しています。
介護業界における人手不足の原因
介護業界における人手不足の原因として、少子高齢化の他に介護現場でも解決すべき問題があります。その原因を3つを挙げて解説します。
原因① 人間関係
公益財団法人介護労働安定センターが発表している『令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について(※5)』によると、職場の人間関係に問題があったという理由での離職した割合が27.5%と上位にきています。
介護の現場は、介護者や介護者の家族、医療機関スタッフと、さまざまな人と関わり連携しながら仕事を進める必要があります。
しかし、人間関係に問題があると仕事に対するモチベーションが落ち、最終的には仕事を辞めてしまう可能性があります。
原因② 労働環境
介護士一人あたりの業務量増加や長時間労働の常習化、適切な休息時間の不足といった厳しい労働環境であることも問題です。
そのような待遇に耐えられず離職する職員が増えると、労働環境がより厳しくなるという負のスパイラルに陥ってしまいます。
そのため、残業時間の削減や、有給休暇の取得促進、シフトの見直しといった労働環境の整備は人手不足を解消する重要なポイントとなっています。
原因③ 賃金
厚生労働省の発表している『令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況(※6)』によると、一般的な労働者の賃金が約31万円なのに比べ、医療・福祉の賃金が約29万円と、やや低い状況です。
また、公共財団法人 介護労働安定センターの『令和4年度 介護労働実態調査結果について(※5)』によると、労働条件等の悩みという質問に対し「人手が足りない」に次いで「仕事内容のわりに賃金が低い」が上位にきています。
このような状況から、賃金に対して不満があり離職した人の割合が多いと言えます。
そのため、2024年2月に施行された介護職員処遇改善支援補助金のような施策を実施し、賃金アップに向けた対応が必要です。
介護業界が取り組むべき人手不足の解決策
介護業界における現状や、人手不足となっている原因について解説してきましたが、実際に人手不足を解消するためには、どのような対応が必要になるのでしょうか。
取り組むべき対応について、4つ挙げて解説します。
業務の洗い出しと役割分担の明確化
介護業界の業務は、食事介助、排泄ケア、看取りから見守り、利用者・家族とのコミュニケーションなど多岐にわたります。そのため、業務改善を進めるためには、業務をすべて洗い出し、見える化することが重要です。
業務プロセスの見える化ができた後は、「経験・技能が必要な業務」「専門職でなくても行える業務」「ITツールで置き換えができる業務」など、業務ごとに役割分担を実施しましょう。
そうすることで、業務の住み分けができるため、職員の再配置や新たな人材の採用など効果的に実施できるようになります。
介護業界のイメージ改善
介護職は「体力的・精神的にきつい仕事」「給与水準が低め」といったネガティブなイメージを持たれています。
そのため、世間に向けて介護業界の魅力を発信し、少しずつ介護業界のポジティブなイメージを伝えていく必要があります。
現行、行われているイメージ改善の活動として、厚生労働省が取りまとめている『介護のしごと魅力発信等事業』などがあります。
若年層向けに「YouTube×地上波×SNSを活用した動画配信」や「ポータルサイトを若年層向けに改修・情報発信する」など、イメージアップに取り組んでいます。
外国人介護士の採用
介護業界の人手不足を解消する方法として、外国人労働力の活用も一つの手です。
厚生労働省は福祉・介護業界の政策として「外国人介護人材の受入れについて(※7)」をホームページに掲載しており「外国人介護人材のキャリア形成支援のためのガイドブック」などの情報を発信しています。
そのことから、介護業界において外国人労働者が重要な役割を果たすと認識されていることが分かります。
ロボット・センサー・ICTの活用
近年、ICTを含めテクノロジー技術が進化し、あらゆる業界で業務効率化が進められています。「人的リソースの創出」や「ヒューマンエラーの低減」などの効果があり、生産性の向上に繋がっています。
このようなテクノロジー技術の活用は、介護業界も例外ではありません。
介護記録用タブレットの導入や、チャットツールを活用したコミュニケーションなど、人手不足の対策として導入した事例も多くなってきています。
中でも、取り組みやすく効果的な活動として「PRA(Robotic Process Automation)を活用した業務の自動化」があります。
RPAはパソコンで実施している業務の自動化が得意です。
職員のシフト作成やレポート作成といった、「パソコン上で行う定型業務」を自動化することができます。業務の自動化によって職員の業務負担が軽減され、その分利用者への対応時間を増やすことができます。
以下の記事で、介護業界における業務効率化のアイデアや、導入事例なども紹介していますので、ぜひご覧ください。
【介護職必見】業務効率化アイデア!業務改善の手順や成功事例も
介護業界におけるRPAの活用事例
ここではRPAを導入することで、生産性の向上に繋がった事例を解説します。
外来患者数など、各種月報を作成する業務
ある施設では、毎月複数の月報を作成するというルーティン業務がありました。
医事システム内で帳票を作成する際に「10分ほど待たなければいけない時間」が発生し、業務を進める中でムダな時間となっていました。
そのため、RPAを導入し、システムへのログインから「医事統計→月次処理→月の設定の順でクリックする」など人間が実施していた作業を全て自動化。
担当者のムダな待ち時間や残業を削減に繋げることができました。
過誤納リストを入力する業務
ある施設では、患者が本来より多く納金してしまうケースが月に数十件発生しており、担当者が患者に還付するといった作業をしていました。
しかし、還付作業は金銭に関わる作業でミスは許されないため、精神的に負担のある業務でした。また、還付対象については複数部門から書類で共有され、日々対象者をまとめる作業には時間がかかるため、担当者の負担が大きい業務でもありました。
そこで、該当業務にRPAを導入し、各部門からのデータ受理や、過誤納リスト作成などを自動化。
その結果、年間で4,800分(80時間)の余剰時間を創出することができました。
また、ヒューマンエラーによる処理漏れや担当者がダブルチェックするという業務もなくなり、余剰時間の創出に繋がっています。
電子カルテの情報が更新されているか確認する業務
ある施設では、毎日700名以上の患者情報を確認する作業があり、日々の業務時間を大幅に圧迫していました。また、その作業については部署間で作業状況が共有されておらず「複数部署で同じ患者の情報を確認している」という二度手間も発生していました。
そんな状況を改善するためにRPAを導入。
電子カルテの日付情報の確認と更新があったカルテだけを担当者へ通知するといった業務フローに変更することで、全患者の情報を確認する必要がなくなり、確認が必要なカルテだけをチェックすればよくなりました。
その結果、電子カルテの情報確認にかかっていた時間が短縮され、業務効率化が図れています。また、カルテ確認時の二度手間というストレスから解放されたため、担当者のモチベーションの向上(離職率の低下)にも繋がっています。
介護業界の人手不足対策には「BizRobo!」がおすすめ
介護業界の人手不足対策には「BizRobo!」がおすすめです。
介護の現場では、1人の職員があらゆる業務を担当するケースが多く、業務時間が圧迫され「長時間労働」や「サービス品質の低下」に繋がってしまうことがあります。
そのような業務をRPAに置き換えることで、職員のリソースを創出することができ、利用者とのコミュニケーションに多くの時間を割くことができるようになります。
「BizRobo!」は導入社数2,800社の実績があり、業界や企業規模を問わず幅広い範囲で利用されているRPA先駆者なツールです。
低コストで効果的な費用対効果を実現
「BizRobo!」は1ライセンスでロボットを無制限に作ることが可能で、作れば作るほどコストメリットを感じられる料金体系となっています。
また、予期せぬ追加コストが発生しないようオールインワンの価格体系にて提供しているため、費用対効果をイメージしやすいRPAツールです。
ノンITでも開発できる
「BizRobo!」はプログラミング知識は不要で、ノンIT人材でも直感的に操作できるのが魅力です。他のRPAツールと比べ、複雑なコードを書く必要はありません。
お客様に寄り添った伴走体制
BizRobo!は、国内で10年以上の開発・運用実績とノウハウがあるため、お客様に役立つナレッジや学習環境をポータルサイトにまとめています。
また、皆様のお悩みに迅速に対応できる専任体制といったサポートも準備しております。
そんな、BizRobo!では無料トライアルを準備しています。操作感や自動化できる業務などをあらかじめ知りたい企業様でも安心して導入できます。
下記サービスサイトにて詳細を解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ
日本では少子高齢化が進行し、労働力不足が深刻な問題となっています。特に介護業界では、高齢者の増加に対し介護を担う若者が減少しているため、サービスの低下や離職率の上昇が懸念されています。
そのため、介護業界の現状や人手不足の原因について理解し、各施設に適した対策に取り組む必要があります。
その中でRPAは、業務時間を圧迫している作業を自動化し、利用者のケアにより集中できるような環境を整えることが可能です。
RPAをどう活用すれば良いか分からない方は、ぜひ一度ご相談ください。
※1 第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数についてを加工して作成
※2 令和4年 雇用動向調査結果の概要を加工して作成
※3 令和4年版 労働経済の分析を加工して作成
※4 令和6年版高齢社会白書を加工して作成
※5 令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について
※6 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況を加工して作成
※7 外国人介護人材の受入れについて