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日本の医療現場では、IT化が遅れているとされています。医療AIの普及が進むアメリカに比べ、日本は電子カルテの普及率さえ依然として60%未満(※1)です。
そこで本記事では日本の医療現場でIT化が進まない理由や課題、IT機器や医療ロボットを導入した際のメリットなどを解説します。
「どこからIT化を進めればよいかわからない」「ITツールの必要性は分かるが、導入には抵抗がある」
このような方はぜひご覧ください。ITツール以外の便利ツールについても紹介します。
目次
医療におけるIT化とは?
IT化とは、コンピュータやネットワーク、ソフトウェアなどの情報技術(Information Technology)を活用して、業務や生活を効率化・高度化することです。医療現場でいえば、電子カルテを用いて患者の情報を管理することもIT化の1つ。
似た言葉に「ICT」や「IoT」がありますが、それぞれの位置関係は以下のとおりです。
ICT(Information and Communications Technology)とは「情報通信技術」そのものを指す言葉です。一方、IoT(Internet of Things)は、形あるものをインターネットに接続する技術を指します。
具体的にいうと電子カルテのデジタル情報を伝達するのはICT。一方、病院の空調といった形あるものをインターネット接続し、自動管理する技術はIoTに分類されます。なおこれらはいずれもIT化の施策です。
IT化について詳しく知りたい人は、下記記事をご覧ください。
医療現場でのIT化の現状
では日本の医療現場では、どれほどIT化が進んでいるのでしょうか。株式会社日経リサーチの調査によると、現場で採用されている医療情報システムの割合は以下のとおりでした。
(※2)
電子カルテは過半数の医療機関が導入していると回答。しかし、それ以外のシステムやサービスに関しては未導入の割合が顕著です。ではここからは、日本の医療IT化の現状を下記3つの観点から見ていきましょう。
・電子カルテシステムの普及率は57.2%
・地域医療情報連携ネットワークも徐々に普及中
・オンライン診療はアフターコロナで普及率15%に
電子カルテシステムの普及率は57.2%
厚生労働省の調査によると、電子カルテの普及率は2020年時点で以下のとおりです。
一般病院 | 一般診療所 |
---|---|
57.2% | 49.9% |
(※1)
一般病院でも6割に満たない割合となっており、一般診療所では過半数を割ります。それほど、未だに紙のカルテを使っている現場が多いということです。
そこで2023年5月に自民党 「健康・医療情報システム推進合同PT」 において、「医療DX令和ビジョン2030」が策定されました。この計画では2026年までに電子カルテの普及率を80%に向上、2030年までに100%を目指すとあります。
政府主導で電子カルテの情報共有プラットフォームを整備し、普及を試みる動きが進んでいます(※3)。
地域医療情報連携ネットワークも徐々に普及中
医療現場におけるIT化のメリットを最大化するには、より広い情報ネットワークの構築が必要です。そこで徐々に広まりつつあるのが、「地域医療情報連携ネットワーク」。
地域医療情報連携ネットワークとは、かかりつけ医や薬局、介護事業者などが患者の情報を共有できるネットワークのことです。これにより、患者の情報をより詳細かつ効率的に把握できます。
このネットワーク構築に関しては政府も推進しているものの、その普及率は高いとはいえません。
2019年10月には会計検査院から、全く利用されていない、もしくは利用の低調なネットワークがあるとの指摘が発生。自治体から事業主体に対して十分な指導が行われていないことが示唆されました(※3)。
このことから活用実績のないネットワークは行政の支援対象外とするなどし、実用化を進めています。
オンライン診療はアフターコロナで普及率15%に
オンライン診療も、医療現場におけるIT化の1つです。これまでオンライン診療に対応する医療機関は全体の1割にも満たない状況でした。しかし新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、オンライン診療を開始する医院が急増。
(※4)
わずか1年で、オンライン診療に対応する医療機関は15.2%まで増加しました。とはいえ、地域による医療従事者数の格差は依然として日本の課題です。
今後もオンライン診療をはじめとするIT技術により、医療の地域格差を埋める必要があります。
日本の医療現場でIT化が進まない理由
ほかの先進国と比べると、日本の医療現場におけるIT化はやや出遅れているといえます。その主な理由は、以下のとおりです。
・費用面の課題
・IT人材不足の課題
・心理的な課題
・環境の課題
ここからは、日本医療のIT化を妨げる要因について見ていきましょう。
費用面の課題
まず挙げられるのが費用面の課題です。個人のクリニックではとくに、大規模なIT化を図るだけの経済的な余裕がないケースもしばしば。
実際にIT化導入の課題をヒアリングしたところ、多くの医師が「コスト」を挙げています(※2)。こうした状況に対し政府はIT導入補助金を設け、医療をはじめとする幅広い業界のIT化を促しています(※5)。
しかし、IT導入補助金では対象となるソフトウェアのメーカーが限られており、必ずしも幅広く適用できるものではありません。
また「投資した費用を改修できる見込みが立たない」といった声もあります。IT化がどれほどの経済的なメリットをもたらすのか、正確に把握できていない医療関係者も少なくないようです。
また「慣れた方法を変えると、かえって診察に時間がかかる」といった声も挙げられます。正しく運用すれば大きな経済的メリットのあるIT化ですが、医療現場ではネガティブな印象を持たれる傾向があるようです。
IT人材不足の課題
医療業界に限らず、IT人材は不足しています。経済産業省の統計によると、IT人材の不足数は今後も増加する見通しです。
(※6)
こうした背景から、現場でITツールの導入・受け入れのできる人材がおらず、IT化を足踏みする医療機関は少なくないと考えられます。新たなIT人材採用や教育にもコストがかかるため、身動きが取れずにいるケースもあるでしょう。
心理的な課題
ITツールへの抵抗感も、導入が進まない要因の1つです。歴が長く、紙ベースのカルテ管理や情報伝達に慣れている医師や看護師はとくに、ITツールの必要性を感じにくいでしょう。
むしろ「ITツールは難しい」「よくわからない」といった抵抗感があるケースも少なくありません。
環境の課題
環境的な要因でIT化が遅れている場合もあります。たとえばオンライン診療を始めても、患者側に適切な通信環境がなければ意味がありません。
オンライン予約システムや問診票のオンライン回答なども、高齢者患者の多い医院では普及しにくい可能性があります。
また、既存システムとの連携が難しく新しいITツールを導入できないといったケースもあるでしょう。
医療現場におけるITツールの事例とメリット
医療現場のIT化には、下記のメリットがあります。
・業務効率化につながる
・正確かつ迅速な対応ができる
・人件費を削減できる
・高品質な診察・治療を実現できる
医療関係者がこれらのメリットを正しく認識することも、IT化の第一歩です。ではここから、事例も交えてそれぞれのメリットを詳しくみていきましょう。
業務効率化につながる
IT化は、医療現場の業務効率化につながります。たとえば紙のカルテを電子に変えるだけでも、記入や読み取り、取り出しなどにかかる時間が大幅に削減できます。
また、手書き文字のような読みにくさもなく、医師と看護師間のコミュニケーションもスムーズになるでしょう。読み間違いのリスクも低減できます。
さらに、電子カルテは場所も取らないため、患者が増えてもスペースを圧迫せずに済みます。空間を有効に使えてスタッフの動線を邪魔しないといった点も、大きなメリットです。
電子カルテはあくまで一例ですが、IT化はあらゆる側面において業務効率化に効果的です。
正確かつ迅速な対応ができる
医療のIT化が進めば、正確かつ迅速な対応ができるようになります。たとえば各医療機関がデータベースを通じて患者情報を共有できれば、わざわざ紹介状を作成する必要がありません。
急患で運ばれてきた患者が自身の既往歴やアレルギーなどを言えない状態にあっても、データベースにアクセスしてカルテを閲覧すればスピーディーに適切な処置が可能です。
このように、IT化は医療の正確性や迅速性に大きく貢献します。
人件費を削減できる
医療のIT化は、人件費削減にもつながります。たとえばWeb予約システムを取り入れれば、受付の電話予約対応がなくなります。このように人が行っていた仕事をITツールに任せることで、人件費の削減が実現可能です。
もちろん導入期にはITツールそのものに初期費用がかかります。また、オペレーションに慣れるために、普段より余計に時間がかかるかもしれません。
しかし慣れてくれば、1日数時間、年間数百時間単位の時間が削減できるでしょう。残業の多さやハードワークに悩む医療現場において、IT化は画期的な解決策といえます。
高品質な診察・治療を実現できる
ITツールの活用には、より高品質な診察や治療を実現できるメリットもあります。まずITツールを活用すると、あらゆる業務の迅速化が可能です。すると患者を待たせる時間も少なくなり、診察への満足度も向上するでしょう。
またITツールやデータを用いた診察は、医師の経験やスキルに左右されにくいといったメリットもあります。医療用ITツールの中にはより正確な診断や治療を支援するものも多数。
こうしたITツールを活用すれば、医療過誤のリスク低減やより高品質な診察が実現します。
IT化にはRPAの導入もおすすめ
RPAとは「ロボティック・オートメーション・プロセス」の略称です。その名の通り、ロボットによって業務を自動化させるツールを差します。
RPAは利用者が自らロボットを開発し、業務自動化に役立てるのが特徴的なサービスです。なかでもBizRobo!は、IT知識のない人でも直感的にロボット開発ができる操作感が魅力。
ここからはそんなBizRobo!が、医療現場に導入された事例を紹介します。
・480時間の事務作業をRPAにより1時間に短縮
・患者データの準備をRPAが担い業務効率化
・RPAによる生産性向上で事業規模3割拡大
480時間の事務作業をRPAにより1時間に短縮
こちらの事例では、未収金の入金確認作業をRPAにより自動化。これまではExcelに記載された未収金リストとアプリの入金リストの照らし合わせを、医事課の職員が行っていました。
経理への報告が近くなると発生するこの作業は定時過ぎに行われ、1回あたり約8時間もの時間を要していたそうです。そのうえ、細かな確認が多いためケアレスミスが頻発。
作業品質の改善も課題となっていました。そこでRPAを導入し、作業を自動化。すると8時間かかっていた作業が、わずか1時間で終わるようになりました。
もちろんロボットの作業にはケアレスミスも生じません。業務が大幅に効率化し、担当職員の負担も軽減されました。
患者データの準備をRPAが担い業務効率化
こちらの事例では、患者の診察前に睡眠データを準備する業務をRPAで自動化しました。
これにより毎月40時間近くかかっていた作業が、ロボットによりわずか1時間で完結。臨床検査技師の業務が圧迫されることもなくなり、診察に充てられる時間が長くなりました。
さらに新患も以前より受け入れやすくなり、業務効率が大幅に向上しました。
RPAによる生産性向上で事業規模3割拡大
こちらの事例では、総務や経理業務にRPAを導入しました。背景としては事業拡大が進み、部署が増えることでさまざまな勤怠や経理のルールが発生。バックオフィス業務が複雑化していたことから、RPAの導入を決定したそうです。
複数のロボットを開発し、稼働させることで部署ごとのさまざまなルールにも対応。結果的に、人員を増やすことなく事業規模を3割拡大することに成功しました。
医療現場のIT化にはBizRobo!がおすすめ
「現場のIT化を進めたいが、何から始めれば良いのかわからない……」
このような場合は、BizRobo!の導入がおすすめです。BizRobo!はあらゆるツールとの互換性があり、既存システムを変えずに導入できるRPAです。
またIT知識のない人でも、直感的に操作できる開発画面が魅力。契約後は専任のサポートスタッフが24時間365日体制で伴走します。
さらに1ライセンスでロボットを開発し放題なのもBizRobo!の魅力。段階的にロボットを増やし、徐々に自動化を進めるのも良いでしょう。
ぜひBizRobo!で、現場の業務効率化を実現してください。
【参考】
※1 電子カルテシステム等の普及状況の推移を加工し作成
※2 医療のICT化実態調査、医師4500人回答「院内教育コスト」「患者サポート」…導入の課題浮き彫りにを加工し作成
※3 地域医療ネットワークに関する動向及び委員会活動報告を加工し作成
※4 地域医療情報連携ネットワークの現状についてを加工し作成
※5 IT導入補助金2024を加工し作成
※6 IT人材育成の状況等についてを加工し作成