導入背景
事業拡大に伴って事務負担が増大

煩雑なタスクに追われる現場の改善を図り、RPAを検討
株式会社高島屋の子会社で、郊外型ショッピングセンターの先駆けである「玉川高島屋ショッピングセンター」(東京都世田谷区)の運営主体として1963年に設立された東神開発株式会社は現在、国内12の商業施設を展開。シンガポール・ベトナムにも進出しているほか、オフィスビルやマンションの開発・取得を通じた事業多角化も進める、社員数約350人の企業だ。
特に運営施設が急拡大した2000年代半ば以降、同社では本社で集中処理する事務量の増大が課題となっていた。幅広い層の来店客を迎える事業の性質上、「完全ペーパーレス化による自動処理」といった抜本的な効率化策は採りづらい。一方で、煩雑なタスクに追われる社員の負担軽減も急務となってきたことから、PC上での作業であればそのままソフトウエアで置き換えられるRPAに着目。2018年から導入の検討を開始した。
BizRobo!を選んだ理由
「運用拡大時も統制が容易」

導入・運用支援の体制も評価
RPAツールの選定では、小規模な構成から始められるデスクトップ型ツールも検討されたものの、将来的な大規模運用を視野に入れ、ロボットの一元的な統制に適したサーバ型ツールを選択。RPAテクノロジーズ社による開発運用支援オプションが充実していたことから、同社が提供する「BizRobo!」の導入を決め、自社ではロボット化の対象業務選定や仕様の取りまとめといった業務再構築に専念することとした。
導入決定後は、両社とBizRobo!パートナーであるスカイライト コンサルティング株式会社の三者共同で、各部署への業務ヒアリングを実施。当時経理部門の担当者としてヒアリングに回答し、現在はRPA推進の主担当を務める石田涼氏は「PCを使わない非定型業務も含め、まず業務全体を可視化した中から効果的なロボット化のポイントを探しあて、実際に切り替えて楽になる一連の過程を体感できました」と振り返る。
対象業務
テナント900店舗への請求業務をRPA化
営業・経理・財務など130業務に導入
東神開発は現在、営業事務や経理、財務などの130業務でBizRobo!を活用。前日売上の集計や、テナント900店舗への請求業務、さらにロボット稼働状況の取りまとめもロボット化した。
このうち、アプリ公開後も紙での利用が9割を占めるスタンプカードの押印履歴管理では、「押印数の報告をWeb化しようとしたところ、レジ周辺にタブレット端末を置く余地がないテナントもあった」(石田氏)ことから、ファクス利用を継続。受信後の登録作業を、OCR(光学文字認識)とRPAの併用で省力化した。
夜間・休日にも稼働可能な点がRPAの利点とされる中でも、素早く確実な浸透を図る同社は、RPAの用途を「勤務時間中に行う作業の代替」に、あえて限定。ロボット接続先の改修などによる不測のエラーが生じても、手作業で直ちに補える体制を確保してリスクを最小化している。

スタンプカードに押印した件数を集計する業務
導入効果
RPA単体で年間8,000時間の余力を創出

RPA化の対象選定に伴い、業務の見直しも進展
これまで手作業で行っていた業務をRPAに置き換えたことで、現在同社は年間8,000時間相当のリソースを創出。人件費換算でRPAの導入・運用コストを上回る効果を得ているほか、RPA化の検討として精査した結果、必要性が薄れたと判断した作業そのものをやめて余力を生んだ例も少なくない。
RPA化の事例を社内メールで紹介するだけでなく、実際に稼働中のロボット一覧も公開しており、「興味を持った社員から担当業務への導入希望が寄せられることも増えた」(石田氏)という。
要望を踏まえたロボット開発の判断や、実装後にスケジュールを組んで実行するロボットの稼働状況確認は、石田氏ら社員2人で担当している。同氏は「1つの管理画面から全てのロボットを統制できるサーバ型ツールのBizRobo!は、在宅勤務中もVPN(仮想専用線)経由で会社の端末に接続し、平常通りの運用を続けられます」と評価する。