導入背景
残業時間削減、人的ミスの低減などを狙いにRPAを導入

IT化が進まない部署でも、RPAなら活用の可能性があると感じた
日本インシュレーションでは、2018年冬に代表取締役社長の吉井智彦氏から「他社に遅れないよう、我が社でもDX活用の推進を」という指示があった。これを受けて当時の管理本部情報管理部部長だった金子一郎氏(現在は管理本部経営企画部部長として広報を担当)がAI、IoTなど様々な技術を検討する中で、RPAに注目。残業時間の削減、人的ミスの低減、現場での事務作業の高速化などを狙いに、導入に着手した。
「当時はRPAといっても名前を知っている程度でしたが、調べていくうちにエクセルのマクロが高機能化したようなものだとイメージが湧きました。これなら、これまでIT化が進めにくかった営業や工事部門などでも活用できそうだと考えました」(金子氏)
導入するRPAツールの検討は、当時入社3年目の若手だった管理本部情報管理部係長の佐々木崇史氏が主導。佐々木氏は自らRPAの外部セミナーを受講するなど、以前からRPAへの関心が高かったという。知名度の高いRPA
ツールを4社比較検討し、今後台数を増やしていくことを見据えてサーバ型であること、プログラミング経験がなくても直感的に理解しやすい操作性などを理由にBizRobo!を選び、2019年秋に導入した。
BizRobo!を選んだ理由
BizRobo! miniから導入、現場担当が開発運用できることを目標にBizRobo! Basicへ移行

開発要員を公募、予想以上の社員が立候補。興味の高さを実感
最初はスモールスタートでBizRobo! miniを1台導入した。導入後は、工場での課題発掘とロボット作成を生産事業部総務グループ係長の大橋裕文氏が担当。佐々木氏は大阪本社、大橋氏は岐阜工場とそれぞれ拠点が異なることもあり、半年後には今後を見据えてBizRobo! miniをさらに1台追加導入した。佐々木氏は、「日本語でのサポートがあり、RPAテクノロジーズ社から手厚いフォローを受けられることもBizRobo!を選んだ理由だった」と話す。
同社は現場の担当者が自分で開発運用できることを目標に設定。開発要員を社内で公募したところ、予想を超える5人から立候補があった。プログラミング経験がある人もない人もいたが、いずれも「スキルを身につけることで、今後の仕事に活かしたい」といった積極的な理由が多かったという。このメンバーを中心に、BizRobo!プロジェクトチームを発足。これと同時期に導入製品をBizRobo! miniからサーバ型のBizRobo! Basicへと移行した。
プロジェクトチームはその後も参加者が増え、現在15人。メンバーは全国各地にある工場や営業所に点在しているが、ウェブ会議ツールなどを駆使して積極的な情報交換を行っている。半数は一人でロボット開発ができる状態、残りの半数はeラーニングで基礎的な知識を学び、これから実践的な技術を学ぶ段階だ。
対象業務
毎日、定時後に対応していた作業をRPA化。担当者の残業を解消
現在までに約30体のロボットを作成、幅広い部署で導入が進む
現在は情報管理部や工場で13体のロボットが稼働しており、他に16体のロボットが本稼働の動作確認待ちの状態だ。
情報管理部では、ウェブ管理サーバのバックアップやエラーのチェックを行うロボットを活用している。導入前は担当者が毎日、計4つのサーバにパスワードを入力してアクセスし、動作確認を行っていた。作業時間は一日10分程度と長くはないが、毎日のことなので担当者にとっては決して少なくない負担だったという。これらの作業をRPA化。ロボットがサーバを自動的に巡回し、エラーがある時に報告するシステムを作成した。
工場では、その日の製品の出荷量を記録してシステムにアップする作業をRPA化している。その日の出荷量などのデータが完成する定時後でないと記録ができなかったため、物流部門担当者が残業して対応していた。BizRobo!導入により、現在はデータの抽出、転記、アップロードをそれぞれロボットが担う。人手作業はほとんどなくなり、作業時間は15分から5分程度に短縮。この作業のために毎日していた残業も不要になった。「毎日の残業から解放され、担当者がとても喜んでいました」(大橋氏)
その他には、研究部門で使う特許情報をブラウザ上で検索するロボット、生産事業部総務グループでは購買業務の発注ロボットなどが稼働している。
導入効果
「小さなRPA」を多く作成し、成功体験を積み重ねた


非エンジニアのロボット開発担当への異動など、さらなる活用も
同社では小さな作業を担うロボットを多く作成し、メンバーの成功体験を積み重ねる方針を採用している。佐々木氏は「プロジェクトチームメンバーのITリテラシーが日々向上しており、『他部署の事例を見て興味が湧いた』と新たに参加を希望する社員も増えています。社内全体でRPAに対して前向きなムードが強くなっていますね」と手応えを示す。現在も経理部で毎月支払いがある伝票を自動的に作成するロボット、人事部で社員への有給休暇を割り振るロボットなどが本稼働待ち。これらは各部署の担当者が課題に対して開発したもので、幅広い部署で導入と技術の浸透が進んでいることがうかがえる。
ロボットの台数が増えてくると目が行き届かなくなり「野良ロボ」が発生しがちだが、同社ではこの点への対策も万全だ。本稼働前にプロジェクトチームで確認を行うなど、全体の動きを把握しておくことで、効果のないものやうまく稼働していないロボットが出ないよう管理している。
21年春には、非エンジニアである工場の総務部員が情報管理部に異動になり、工場のロボット開発担当に就任。秋には開発したロボットを披露し合うコンペも予定しているなど、さらなる活用が進む。