BizRobo! ブログRPA関連のお役立ち情報をお届けします
少子高齢化、さらにコロナ禍も加わり、人手不足に拍車がかかる医療業界。長時間労働、ミスが許されない環境、高い離職率など、多くの課題を抱えています。
今回は先日実施した「医療関係者さま必見!RPAを活用した医療機関における働き方改革セミナー」の一部内容を抜粋したレポートを通して、旭川赤十字病院におけるデジタル推進の取り組みやロボット運用方法についてご紹介いたします。「医療従事者で、業務量に悩んでいる」「病院内でのDX化を進めたいと考えていて、具体的な方法を探している」という方はぜひご一読ください。
【完全版】セミナーのオンデマンド動画を視聴する
ライター紹介
- 長澤 史佳(ながさわ ふみか)
- 大学在学中に「ハフポスト日本版」と「Forbes JAPAN」にて記事執筆・編集・翻訳などを経験後、新卒で株式会社PR TIMESに入社し、PRプランナーとして化粧品メーカーや食品メーカーを担当。2022年よりRPAテクノロジーズ株式会社に入社し、コンテンツ企画や広報を手掛ける。
登壇者紹介
旭川赤十字病院
院長
牧野 憲一 氏
旭川赤十字病院
デジタル推進室 室長
阿部 直之 氏
旭川赤十字病院について
牧野院長 自己紹介
旭川赤十字病院の牧野院長は1955年、旭川生まれ。1979年に旭川医科大学を卒業後、脳神経外科医としてキャリアをスタートしました。その2年後、論文を書いている際に教授から添削してもらい、原稿用紙に何度も書き直す作業をどうにかしたいと思い、PC-8800というパソコンをワープロとして使用。そこでパソコンの便利さに気付き、その後、Macintosh(Apple社製)など多くのパソコンを使用するようになったとのことです。
1989年には旭川赤十字病院脳神経外科副部長、2003年には副院長とキャリアを重ね、2012年から院長を務めていらっしゃいます。
デジタル推進室 阿部室長 自己紹介
デジタル推進室の阿部室長は2022年現在58歳、診療放射線技師としてキャリアを歩んできました。3年前に牧野院長に「RPAって知っているかい?」と声をかけられ、当時はRPAという言葉さえも知らなかったところから担当になりました。
RPA歴は28カ月、今年度リプレースしたBizRobo!歴は15カ月です(いずれも2022年11月時点)。
旭川赤十字病院におけるIT化の歴史
旭川赤十字病院では、早くからIT化に取り組んできました。「日本のインターネット元年」とされている1995年から準備をスタートし、2年後の1997年にはオーダリングシステムを導入。当時は職員にキーボードの操作方法から教育したそうです。
2005年には電子カルテ、その後も各種情報システムを導入。牧野院長は院長として、IT化により本当に人材が有効に活用されているか、そして有能な人材が繰り返しの単純作業に埋もれていないかなど、自問自答しながら進めていきました。
病院における「IT化」のポイント
工場における繰り返しの単純作業は機械化され、同様に事務的作業も紙で行われていたものがパソコンの導入により効率化されました。しかし、そこでパソコン上での単純作業の繰り返しが発生したり、同じプロセスを踏んだりする業務が発生してしまいました。病院においては、電子カルテや人事・労務管理システムなど、様々な情報システムが存在しており、そこで単純作業が繰り返されています。
牧野院長は病院経営の立場から、事務作業を効率化して人材を有効活用すること、院内にある情報を有効利用して経営判断に結びつけることを大切にしていました。また、医療の質向上の観点からは、情報を定期的に収集し、加工し、利用することが求められます。しかし、そこには単純作業が発生するため、有能な人材を埋もれさせない工夫が必要だと認識するようになったそうです。
RPAとの出会いと導入に至るまで
牧野院長がRPAと出会ったのは、2018年某月。IT関連の講演で実際にRPAとAIを利用している方の話を聞き、すぐに「これからはRPAの時代だ」「自分たちで必要なロボットが作れそう」と思ったとのことです。
そこから、旭川赤十字病院では2020年にデジタル推進室を設置し、RPAを導入。多くのロボットを作成し、業務の自動化を進めました。
医療業界で無視できない「2040年問題」
医療業界では、これからますます人材確保が難しくなる時代が来ると言われています。それが、日本で高齢者が減り始める「2040年問題」で、働き手(生産年齢人口)が段々と減っていきます。
20~64歳の生産年齢人口は、2000年から2020年の間で13%減少しました。ここから先、2040年までの20年間では19%減少すると言われています。今でさえ人手不足に悩んでいる中で、今後はさらに難しい状況になることが予想されており、少しでも人間の負担を減らすために、人からロボットにタスクシフトしていくことが重要になってきます。
なぜデジタル推進室を設置したのか
なぜ、旭川赤十字病院では2020年にデジタル推進室を設置したかというと、まずは院内のデジタル化を加速させるためです。そして、RPAはどういった業務で使えばいいのか、どのようにロボットを作れるのかなど、そのメリットをしっかりと理解した人が進めるべきだと考えたからです。
RPAに詳しくない場合、導入しようにも効果がわかりません。RPAやAIなどは今後、病院にとって欠かせない技術になると判断していたので、より効果的・効率的に導入を推し進めるために、専門でデジタル推進室を設置しました。
医療業界のRPA導入事例をもっと見る
旭川赤十字病院で稼働中のロボット
現在は多岐に渡る業務でロボットが稼働中です(下記は一部抜粋)。
- ・病名登録
- ・透析再診予約
- ・退院後の一括指示止め
- ・サマリー主治医に督促
- ・リハビリカンファレンスデータ集計
- ・勤怠システムエラー通知
- ・超過勤務データ抽出
- ・病棟空床情報更新
- ・看護日誌取り組み
- など…
病名登録
レセプト請求時に病名が未登録の作業リストを医事課から回収し、カルテに代行入力するロボットです。BizRobo!の場合、1病名あたり35秒で登録できるため職員の負担軽減につながっています。
透析再診予約
従来は透析室より1カ月分のリストをもらい、医療秘書課で手入力を行っていた業務ですが、現在では透析患者の2週間後の再診予約を日曜日以外毎日行っています。ネットワーク上のExcelファイルに透析室の予定を上書きしてもらい、ロボットが再診予約を入力。医療秘書課は正しく予約されたかを確認しています。
以前は人間の手で行っていたため、どうしてもダブルブッキングや予約時間のミスがあったものが、ロボットで管理することでそのようなミスもなくなっています。
退院時一括指示止め
前日退院した方の指示止めを代行入力するロボットです。以前使用していたロボットでは、カルテ自体がよくフリーズして止まってしまいましたが、BizRobo!は問題なく動いています。
医療業界でRPA導入を成功させるために
開発に必要だと感じたもの
- ・2面モニター:BizRobo!の画面とロボットに動かされている端末、両方画面があると便利
- ・PC画面録画アプリ:24時間365日録画できるもの。エラーがあった際の確認など、ドライブレコーダー的な使い方をする
- ・NAS:ネットワーク上に接続することができるハードディスク
- ・リモートアクセス:開発PC以外で起動させる場合に必要
- ・受注元との綿密な打ち合わせ:ロボットが停止してしまった時の対応など、例外も含めて
RPA運用にあたってすべきこと
- ・停止した場合の取り決め:物理的破損も含めて、事前に決めておくこと
- ・野良ロボの監視:本当に必要ではないロボットに無駄な仕事をさせないため
- ・そもそも、本当に必要な業務なのか:該当部署ではないところからロボット開発を頼まれるなど、孫請けを防ぐため
- ・色んな会議に顔を出す:様々な会議に参加することで現在進行形で困っている業務を汲み取り、ロボット開発に活かすため
- ・専任は必須:医療業界の場合、兼任だとなかなか厳しい
この記事のまとめ
- ・医療業界では人手不足が現在進行形で進んでおり、人間からロボットにタスクシフトしていくことが重要
- ・病名登録、退院後の一括指示止め、リハビリカンファレンスデータ集計、勤怠システムエラー通知など、病院内での様々な業務はロボットに任せられる
セミナー完全版につきましては、ぜひ下記からオンデマンド配信をお申し込みください。より詳細な説明に加えて、質疑応答などもご視聴いただけます。
【完全版】セミナーのオンデマンド配信を視聴する
また、今後もWebセミナーやすでに実施したセミナーのアーカイブ配信もご用意しております。ご不明点やRPAについてご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
Webセミナー一覧:https://rpa-technologies.com/seminar/
お問い合わせ:https://rpa-technologies.com/inquiry/contact/