【税理士の人手不足を解消】解決方法や効率化を実現する方法について徹底解説

税理士試験受験者数の減少や税理士需要の拡大により、多くの税理士事務所が深刻な人手不足に悩まされています。

本記事では、人手不足の背景にある要因から、採用・育成、働き方改革、業務効率化といった多角的な対策まで徹底解説。

さらに、RPAで自動化できる業務、具体的な活用事例も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

税理士事務所の人手不足を招く要因

税理士事務所の人手不足は、需要と供給のバランスが崩れていることが大きな要因です。その他、税理士業界は他業界と比べて繁忙期が長期となることも考えられます。

ここでは、税理士事務所の人手不足を招く要因や課題について3つ解説します。

税理士試験受験者数の減少

税理士試験の受験者数は減少傾向にあります。国税庁のデータによると、平成27年には約4.7万人だった受験申込者数(※1)が、令和4年には約3.7万人まで減少(※2)しました。

この減少の背景には、税理士試験の難易度や他の資格の魅力、少子高齢化の影響などが考えられます。受験者数の減少は、将来の税理士人口の減少に直結し、税理士不足を加速させる可能性があります。

税理士需要の拡大

税理士需要の拡大は、企業数の増加や税制改正、電子申告の普及などが要因です。

税理士法人の設立が認められたことで、会計事務所の大型化が進み、クライアントからの需要も拡大しています。

一方で、税理士の供給が追いついていないため、有効求人倍率は高止まりし、人手不足が深刻化しています。

繁忙期の膨大な業務量

税理士の繁忙期は11月〜5月の約半年が一般的です。具体的には、個人の確定申告、法人の決算、年末調整といった業務が集中するのがこの期間となります。

繁忙期は特に税務署に提出する書類の用意や確認のため、人手不足に陥ります。

また、他業界と比較して繁忙期が長期になることも人手不足の要因になっていると考えられます。

税理士事務所の人手不足に対する対策

税理士事務所の人手不足は深刻な問題ですが、さまざまな対策を講じることで改善が期待できます。

ここからは、主要な3つの対策について紹介します。

採用・育成の強化

採用・育成の強化は、税理士事務所の人手不足解消に向けた重要な対策です。

具体的には、未経験者やポテンシャル採用を積極的に行い、人手の裾野を広げることが注目されています。

資格取得支援や研修制度などを充実させ、職員の成長を支援することで、定着率向上にもつながるでしょう。

また、女性やシニア層、外国籍の人手など、さまざまなバックグラウンドを持つ人手を採用し、活躍できる環境を整えることで、人手不足の解消に貢献できます。

働き方改革

働き方改革は、税理士事務所の人手不足解消に欠かせない対策です。

長時間労働になりがちな税理士業務において、柔軟な働き方を導入することで、職員のワークライフバランス向上や離職防止につながります。

具体的には、残業時間の削減や有給休暇の取得促進などに取り組み、メリハリのある働き方を推進することです。

また、MS-Japanの調査(※3)によると、税理士求人の約半数が「リモートワーク可」となっており、テレワークやフレックスタイム制などの導入も有効な手段と言えるでしょう。

業務効率化

IT・デジタルツールを活用し、入力作業やデータ処理などの定型業務を自動化することで、職員の負担を軽減し、よりコアな業務に集中できる環境を整えることが重要です。

また、業務プロセスの見直しや標準化・マニュアル化も効果があり、無駄な作業を削減し、誰でも対応できるようにすることで、業務の属人化を防ぎ、効率的な業務遂行を実現します。

さらに、専門性の低い業務はアウトソーシングを活用することで、職員はコア業務に集中できます。

税理士業務の効率化を実現する方法

税理士業務の効率化は、業務プロセスの改善、顧問先訪問のオンライン化、RPAの活用など、さまざまな方法で実現できます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務プロセスの改善

税理士業務の効率化には、業務プロセスの改善が有効です。

まず現状の業務フローを可視化し、無駄な手順やボトルネックを特定します。その上で、業務フローの見直しや標準化を行い、業務の属人化を解消しましょう。

また、マニュアル作成や進捗管理ツールの導入も業務改善に役立ちます。業務の透明性を高め、担当者間の連携をスムーズにすることで、業務効率を向上させ、生産性を高められます。

顧問先訪問のオンライン化

顧問先訪問のオンライン化は、Web会議システムやチャットツールなどを活用し、移動時間やコストを削減する有効な手段です。

オンラインでのコミュニケーションツールも充実しており、顧問先にとっても時間短縮や気軽な質問が可能になるなどのメリットがあります。

従来の訪問形式に比べて移動時間や費用を大幅に削減できるため、業務効率化に大きく貢献します。

また、近年ではオンラインでのコミュニケーションが一般的になりつつあり、顧客側も抵抗感が少なくなっているため、積極的に導入を検討する価値があるでしょう。

RPAを活用し業務を自動化

税理士業務には、データ入力や請求書処理など、繰り返し行う定型的な作業が多く存在します。

また、業務量が膨大になる確定申告の時期は、業務のミスや従業員のモチベーションが低下する傾向にあります。

しかし、このような課題はRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）を導入することで自動化が可能です。RPAを活用し業務を自動化することで、ヒューマンエラーの防止や業務スピードの向上につながり、担当者の負担が軽減されます。

さらに、よりコアな業務や顧客対応に時間を割くことができ、顧客満足度の向上にも貢献します。

RPAで効率化できる税理士業務

RPAは、税理士業務におけるさまざまな定型業務を自動化し、業務効率を大幅に向上できます。

ここからは、RPAで効率化できる代表的な税理士業務を、具体的な例を挙げて解説します。

会計ソフトへのデータ転記

会計ソフトへのデータ転記は、RPAが効果を発揮する業務領域です。

具体的には、銀行口座取引データ、請求書・領収書データ、Excelデータなどを会計ソフトに自動で転記する作業が挙げられます。

従来、これらの作業は手作業で行われており、入力ミスや転記漏れのリスクがありました。RPAを導入することで、これらのリスクを大幅に軽減し、業務効率と正確性を向上させることが可能です。

給与計算・経費精算

RPAは、従業員の出勤データや経費精算書類といった情報を自動で収集し、給与計算や精算処理を正確かつスピーディーに行います。これにより、担当者の負担を軽減し、計算ミスや不正のリスクを低減することが可能です。

さらに、給与明細の作成・配布や承認フローも自動化できるため、業務全体の効率化とペーパーレス化にも貢献します。

税務書類の作成・申請

RPAは、会計ソフトのデータに基づいて税務申告書を自動作成したり、各種届出書の作成を支援したりできます。さらに、完成した書類をe-TaxやeLTAXに自動で申請することも可能です。

これにより、手作業による入力ミスや計算ミスを防ぎ、書類作成にかかる時間を大幅に短縮できます。

税理士は書類の最終チェックに集中できるようになり、業務効率と品質の向上が期待できるでしょう。

税理士業界におけるRPAの活用事例

RPAは税理士業務のさまざまな場面で活用され、業務効率化に貢献しています。

ここでは、具体的な活用事例を紹介します。

クライアント開業手続き

税理士法人など、クライアントの税務関連手続きを支援する企業の事例です。

クライアントの開業手続きにおいて、担当職員がクライアントから情報収集を行い、システム登録や各種書類作成を手作業で行っていました。

しかし、手作業による手続きには、情報不足や登録漏れ、保存場所の分散など、多くの課題がありました。そのため、電子申告開始届や開業届の作成に多くの時間がかかってしまうことが問題となっていました。

そこで、RPAを導入し、クライアント情報入力用のフォームを準備することで、クライアント自身に情報を入力してもらうようにしました。

これにより、情報不足や入力ミスのリスクを軽減。さらに、情報収集からシステム登録、各種書類作成・提出までの一連の流れをRPAで自動化しました。

その結果、担当職員の負担が大幅に軽減され、クライアント情報管理の一元化を実現。業務効率が向上し、開業手続きにかかる時間を大幅に短縮できました。

青色決算書情報の転記

税理士事務所や会計事務所など、クライアント企業の税務申告を支援する業務を行う企業の事例です。

青色決算書の作成において、会計システム（弥生会計）から税務システム（OMS）へのデータ転記を手作業で行っていました。

手作業のため転記ミスが発生しやすく、何度もチェックする必要があり、特に繁忙期には膨大な件数を処理するため、担当者の負担が大きくなっていました。

そこで、RPAを導入し、会計システムから税務システムへの青色決算書の転記作業を自動化。

その結果、RPAにより転記ミスがなくなり、チェック作業も効率化されました。転記作業にかかっていた時間が大幅に削減され、繁忙期の残業時間も減少しました。

電子申告済み申告書、総勘定元帳の製本

税理士事務所や会計事務所など、顧客企業の税務申告を支援する業務を行う企業の事例です。

確定申告後、電子申告済み申告書や総勘定元帳をPDF化し製本する作業は、膨大な時間がかかり、担当者の大きな負担となっていました。特に、書類の順序並べ替えなど、手作業で行う必要のある作業が多く、効率化が難しい状況でした。

また、多くの職員が同時に税務システムにアクセスするため、システムの動作が遅くなる問題も発生していました。

そこで、RPAを導入し、電子申告済み申告書や総勘定元帳のPDF化、結合、保存といった一連の製本作業を自動化。

その結果、PDF化作業を夜間や休日にも実行できるようになり、職員の作業時間を大幅に削減することに成功しました。また、手作業による順序の入れ替えなどが不要になったことで、業務効率が大幅に向上しました。

ＭＡＣ＆ＢＰミッドランド税理士法人様への導入事例

ＭＡＣ＆ＢＰミッドランド税理士法人は、資産税・事業承継のコンサルティング実績を持つＭＡＣミッドランド税理士法人と、医療機関やクリニックの開業・経営サポートを行う税理士法人ブレインパートナーが合併して発足した税理士法人です。

当初、確定申告期の慢性的な人手不足と残業時間の増大に悩んでいました。特に、マニュアルがあれば誰でもできる単純作業や膨大な件数の処理が、職員の大きな負担となっていました。

そこで、既存システムとの相性や操作のしやすさを重視し、弊社が提供するRPAツール「BizRobo!」を選択。会計システムから税務システムへのデータ転記、確定申告書のPDF出力などの単純作業を自動化しました。

導入の結果、初年度から合計500時間もの作業時間を削減することに成功しました。これにより、繁忙期の残業時間削減や社員の精神的負担軽減を実現。

さらに、RPAによって迅速なデータ転記が可能になり、従来は人手では難しかったニーズにも対応できるようになりました。

税理士業務のRPA化について詳しく知りたい方は、「【士業×RPA 】税理士業務のRPA活用ポイントと効果的な4つの適応事例」をご覧ください。

税理士の人手不足を解消するならBizRobo!

税理士業界における人手不足に対し、「BizRobo!」は、定型業務の自動化を通じて業務効率を大幅に改善し、働き方改革を推進します。

ここでは、「BizRobo!」の3つの特長を紹介します。

低コストで費用対効果を実現

BizRobo!は、開発と実行環境をオールインワンで提供するシンプルな価格体系を採用しています。そのため、「管理機能に追加料金」「実行機能に追加料金」といった複雑な料金体系や導入後のコスト増加の心配はありません。

さらに、1ライセンスでロボットを無制限に作成できるため、業務自動化を進めるほどコストメリットを実感できます。

スモールスタートから大規模運用まで、規模に応じた柔軟な対応が可能で、高い費用対効果を実現します。

1ライセンスでインストール無制限

BizRobo!は、1ライセンスでロボット開発環境のインストール数に制限がありません。 開発者が増えるたびにライセンスコストが増加する心配もなく、全社員がRPA開発に参加できます。

これにより、IT部門だけでなく、各部署の担当者が自ら業務に適したロボットを作成し、現場主導の業務効率化を推進することが可能です。

また、特定の場所に縛られずに開発できるため、リモートワークにも対応できます。

充実したサポート体制

BizRobo!は、導入から活用拡大まで、お客様のRPA活用を専任体制でサポートします。10年以上にわたり蓄積してきた開発ノウハウや推進のコツを共有し、スムーズな導入と運用を支援。

また、オンラインコミュニティやイベント、豊富な学習コンテンツを通じて、疑問や課題解決をサポートします。

BizRobo!なら、安心してRPAを導入し、業務効率化を推進できます。税理士業界向けのRPA活用方法については、下記資料にて事例を用いて詳細に解説しています。ぜひ、人手不足解消のためにお役立てください。

まとめ

税理士業界の人手不足は、税理士試験受験者数の減少や税理士需要の拡大など、様々な要因によって深刻化しています。この課題を解決するためには、採用・育成の強化、働き方改革、業務効率化といった対策が重要です。

RPAを活用した業務自動化は、会計ソフトへのデータ転記、給与計算・経費精算、税務書類の作成・申請など、多くの税理士業務を効率化できます。

BizRobo!は、低コストで導入でき、1ライセンスでインストール無制限、さらに充実したサポート体制があるため、税理士業務の効率化と人手不足解消に大きく貢献します。

【参考】

※1 平成27年度（第65回）税理士試験結果
※2 令和4年度（第72回）税理士試験結果
※3 出典「MS-Japan調べ（https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/12432.html）」