BizRobo! ブログRPA関連のお役立ち情報をお届けします
RPAはロボットを使い業務効率化を進めていくためのツールであり、その適用範囲はとても広く業務効率において非常に便利なツールです。
その反面、適用範囲が広すぎる分、どのように的を絞って運用していけばいいか見えにくいからないからない、という方も多いのではないでしょうか。
そういった方々のために、実際に今まで数多くに渡って運用支援を行ってきた筆者の体験事例をもとに、様々な失敗原因や解決策を紹介します。
【目次】
・現場でよく起こる失敗例とその原因を5つご紹介
・RPA導入成功におけるポイント5選!
・RPA導入によるメリット
・RPA導入による成功事例
・まとめ
特に本記事では、失敗例の中でも特に多い事例を紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
現場でよく起こる失敗例とその原因を5つご紹介
まずは、現場での導入における失敗例を5つご紹介します。
準備段階から導入後期までにおいて失敗例は数多く存在しますが、その中から代表的なものに絞りました。
1. 【準備】どの業務から取り掛かったらいいかわからない
導入したものの、どの業務から作成を行ったらいいか分からない、といったことが度々発生します。
もう少し具体的に言うと、「自動化したい業務がそもそも洗い出せていない」ということになり、導入前の準備不足が引き起こした結果と言い換えることができるでしょう。
その原因は現場担当者にRPAでできることのイメージが定着していないことがほとんどです。現場に対してRPAの知識を説明するような場が必要となってきます。
2. 【導入初期】 作成に時間がかかりすぎる
いざ作成に取り掛かったものの、予想以上に作成時間がかかってしまい、なかなか結果を出すことができない、といった失敗例です。
最悪の場合、作成に時間がかかった挙句、結局作成できなかった、なんてことも。せっかく頑張ったのにも関わらず、結果が出ないとなると本末転倒です。
こういった失敗の原因は、洗い出した業務に正しい優先順位が付けられていないことです。
具体的なケースとしては、一番削減効果が大きそうなものを選んだものの、結局それ以上に作成に時間がかかってしまった、など。
ただ闇雲に効果が高そうなものから取り組めばいいというわけではなく、作成にかかる稼働時間も考慮しながら選ぶ必要があります。
3. 【導入中期】導入費用に対する十分な投資対効果が出せていない
何個か作ることはできたが、導入費用に対する十分な投資対効果が出せていない、ということがあります。
導入費用に対する投資対効果とは、削減できた人件費が導入費用に対して割にあっているのか、ということになります。RPAツールの導入価格は一概に安いとはいえず、導入費用に対しての投資対効果を出すためにはひと工夫が必要です。
取り掛かろうとしている業務の削減時間がそれぞれどれくらいあり、何個分自動化すれば十分な投資対効果がでるのか、ということを知ることから始め、取り掛かるべき業務を可視化/管理していくことが重要となります。
4. 【導入中期】 社内浸透せず、なかなか運用が拡がらない
ある程度社内運用してきたものの、自動化するべき対象業務がなくなってしまい、導入効果が頭打ちとなってしまう失敗例です。
これらは、現場担当者がRPA導入のメリットを感じることができず、洗い出しに前向きになれないケースや、導入効果が一定の部署に偏ってしまっている、などさまざまです。
ある程度結果が出た後であれば運用を続けることができますが、効果がそこまで出ていない段階でこのような事態となると、導入を打ち切らざるを得なくなります。
上記を防ぐためには社内勉強会やセミナーへの参加が必要です。
5. 【導入後期】RPA運用におけるメリットが分からなくなる
RPA運用におけるメリットがいまいちわからず、そのままダラダラと運用を続けてしまう、もしくはやめてしまう、といった失敗例です。
具体的には、目先の業務削減はできたけれど、創出した時間を有効活用することもなくそのままダラダラと運用し続けることです。
「残業時間を削減する」などは効果として分かりやすいですが、それ以外の業務時間削減は時間創出のための手段の一つに過ぎず、創出した時間で何を会社に対して貢献できるかが大事です。
RPA導入による本質的なメリットを理解せずに導入してしまっていることが原因になるため、まずは削減した後何をするべきか、などを明確にしておきましょう。
RPA導入成功におけるポイント5選
以上RPA導入における代表的な失敗例とその原因について解説しましたが、ここからは各失敗事例に紐づけた解決策事例を5つ紹介します。
ポイントを押さえることで導入効果を十分に出すことができますので、しっかりと目を通してください。
1.社内勉強会の実施
導入後に自動化対象業務を各現場から出すためには、社内向けRPAの社内勉強会を実施することが有効です。
具体的な内容ですが
・RPAの導入背景、基礎知識
・他ツールとの違い
・業種別・部署別の導入事例
を説明することで、各現場担当者がRPA導入によるメリットやRPAで実現のイメージが可能になり、業務洗い出しをより活発にすることができます。
また社内勉強会は一度だけでなく、必要に応じて何度も行うことで確実にRPAの必要性を浸透させることができるます。
2.スモールスタートを意識
作成に時間がかかりすぎてしまうことの原因として、取り組む上での優先順位が正しくつけられていないことが挙げられます。優先順位の問題を解決する上で非常に便利な考え方が『アーリー・スモール・サクセス』です。
早く簡単に結果が出る業務から取り組むことで、確実に結果を積むことができるため、確実な結果が望めるのに加え、モチベーションアップにもつなげることができる、という考え方です。
最初から大きな効果を狙い、重たい業務から取り掛かると作成時間が膨大になる可能性があります。さらに、作成できなかった場合、当然そこまでに費やした時間が無駄になります。
それゆえに、まずはアーリー・スモール・サクセスを意識し簡単な業務から自動化することから始めていきましょう。
3.ヒアリングシートを活用
導入費用に対する効果を出すために、まずは削減すべき業務の自動化を管理することが必要です。そのためには専用のヒアリングシートを活用しましょう。
このヒアリングシートは、各部署や各担当者から出た業務内容を入力し業務を行う上で下記を算出することが可能です。
・1回あたりの業務工数
・PJT参画人数
・それらを掛け合わせることでの正しい稼働時間
業務内容だけでなく正しく時間を管理すると業務内容が把握できるのはもちろん、優先すべき業務は何か、また各個別業務と全体業務の稼働時間も算出可能なため、目標をしっかりと定めることができます。
文字に起こす作業は少し手間ですが、後々の運用を考えると非常に便利ですので、ぜひ行ってみてください。
4.社内定例会の実施
導入効果の意識合わせの場としての社内定例会を実施することで、現場担当者のモチベーションを保つことが可能です。
効果の共有方法は、定性面・定量面それぞれを意識することが重要で、定性面はストレスからの解放など体感的に感じた効果、定量面は何時間削減できたかなど、数値面での導入効果となります。
また、ある程度効果の共有が可能になった場合は、採用不足分を補えるだけの削減効果を目指すなど、さらに高い目標に向かって定例会の内容に変えていきましょう。
5.中長期目標を立てる
RPAの本質的なメリットは業務生産性を高めることであり、会社の一人当たりに対する売上高を高めていくことが重要です。
例えば、営業担当者が今まで行っていた定型業務を削減して創出した時間でアポを行い、より売り上げに貢献できるような取り組みを行うなど、ただ削減するだけでなく、削減した後何を行うかまで決めた上で導入を進めていくことが大事になります。
RPA導入によるメリット
ここからは、実際にRPA運用して起こる導入メリットと、実際にあった成功事例をそれぞれ紹介していきます。
定型業務の時間削減
RPAの導入により定型業務に取り組む時間を削減できます。これまで担当者がパソコン上で行っていた定型的な事務作業を、ソフトウェアのロボットに委託できるためです。
例えば人事異動データを人事・給与システムに手作業で入力している場合、RPAで自動化することが可能です。単純ではあるものの時間がかかるといった作業をRPAに任せることで、人的リソースの確保に加え、人件費の大幅な削減も期待できます。
社内業務課題の把握
RPAの導入を進めていく過程で、社内業務の課題を把握できることもメリットです。定型業務を自動化するには、現状の業務内容や仕事の流れを整理することが欠かせません。改めて業務を振り返ることで、今まで気づけなかった課題を発見できる可能性があります。
見つかった課題の社内共有により、現場から業務効率化に向けた改善案が提案されることもあるでしょう。RPAの導入をきっかけに業務のブラッシュアップにつながります。
業務属人化の防止
RPAの導入によって、特定業務の属人化を防止することが可能です。特に従業員の少ない中小企業では人的リソースが足りず、特定の担当者が一人で業務を担うケースも見られます。
業務が属人化している場合、ノウハウを持った担当者が休んだり退職したりした際に、他の担当者に引き継ぐのが困難となるでしょう。
RPAでは業務を自動化・標準化できるため、業務属人化を解消するだけではなく、生産性の向上も期待できます。
創出した時間を活用した会社貢献
RPAに定型業務を任せることで作業時間の大幅な短縮につながり、担当者がコア業務に専念できるようになります。コア業務は業種や部署によって異なりますが、社会貢献につながることがほとんどです。
例えば医療現場では事務処理作業をRPAで自動化することにより、空いた時間に多くの患者を受け入れられるようになります。企業が社会貢献を行うと、企業価値やブランドイメージが向上するため、結果的に売上も上げられます。
DX改革意識の定着
組織内にDX改革意識が定着することもメリットです。定型業務をRPAによって自動化することで、作業品質を保ちながら業務効率や生産性の向上ができます。
実際に現場で働く担当者の負担が減り、社員それぞれがRPAの効果を実感すると、DX推進の意義を強く感じるようになります。他の取り組みにも展開していこうという意識も芽生えるため、RPAの導入をきっかけによりDXが進むケースが多いです。
RPA導入による成功事例
RPA導入によるメリットはさまざまですが、いまいちイメージできない企業様もいるかもしれません。
本章では、実際にRPAツールの導入で事業課題を解決した企業様の成功事例を紹介します。
株式会社ティーズ:ログイン情報の抽出、印刷業務を自動化
株式会社ティーズは愛知県豊橋市を中心にケーブルテレビをはじめとした運営を行うケーブルネットワーク株式会社で、ケーブルテレビ光化などにともなう工事発注の増加やサービスの多様化により業務量が増え、根本的な業務改善が必要になっていました。
その中でも特に負荷の大きかった、WEB明細閲覧にかかわるログイン情報の発行・印刷業務を自動化したところ、手動で1時間かかっていた業務が約3分に短縮成功。
また他部署でも導入が進み、1年間で1,303時間の削減、金額にして348万円の削減効果を実現することに成功しました。
八尾トーヨー住器株式会社:業務全般の改善/標準化に貢献
大阪府八尾市に本社を置く八尾トーヨー住器株式会社は、社員の能力が最大限発揮できる柔軟な働き方を目指し、その一環から2019年にRPAを導入しました。
その結果売上処理や管理会計向けのデータ取得、入金消込の基幹システムへの繁栄など、約20業務、累計で1300時間超の時間削減に成功。
また、RPAという具体的な手法や適用例が社内共有されたことで従来みられなかった改善提案が活発になり、業務の標準化や帳票の様式などに繋げることができました。
生活協同組合かがわ:業務の標準化も進展
生活協同組合かがわは、同組合本部での『業務効率改善プロジェクト』で具体的な取り組みを探る中で、RPAの導入を決定、商品管理や販売管理、デジタルマーケティングなどの7業務で合計15体のロボットが稼働し、年間1,320時間の人的リソース創出に成功しました。
「手入力していた内容がひとりでに処理されるようになり、とても楽になった」、など職員から歓迎の声が多く寄せられているほか、RPA導入に伴った業務そのものが簡素化、標準化も進展し、普段の担当者が休んだときでも同僚がその仕事を代行できるようになった、など、業務属人化解消にもつなげることができたようです。
浅川学園台在宅クリニック:定型業務削減により患者受け入れがより可能に
北九州市で訪問診療を行っている浅川学園台在宅クリニックは、事務処理に充ててきた休診日に、院長が新型コロナワクチン接種に出務するようになったのを機に、業務効率化を計画や書類発行業務の省力化を進めました。
医師が患者に毎月交付する「在宅療養計画書」などをはじめとした指示書、請求書関連3業務を自動化したところ、最大75%時間削減、毎月10時間弱を創出、ほか事務員が毎月5時間を充てていた請求書業務はほぼ完全自動化に成功。
時間的・精神的な余裕がうまれ、今後いっそう積極的に患者を受け入れることになりました。
マックスバリュ西日本株式会社:インボイス制度への対応
マックスバリュ西日本株式会社は、従業員が自ら使いこなせる生産性向上の手段としてRPAに着目、専用スキャン端末の利用実績を各店舗やレジ別にまとめメールで報告するという一連の作業を、ほぼ全て代替させました。
すでに月あたり340時間、年間で4000時間相当の人的リソース創出を達成し、自動化対象店舗数が拡大しているにもかかわらず、全店舗分まで対応できる余裕もありようです。
こういった結果から社内の自動化に対する温度感も高まり、プロジェクトに財務・経理部も関わっていたことから、インボイス制度への対応も併せて完了させる予定となっています。
RPAツール「BizRobo!」を導入した成功事例は本記事で紹介した以外にもさまざまです。下記の導入事例の資料をダウンロードしていただくと業界別の導入効果などを確認できますので、ぜひお役立てください。
まとめ
RPAを導入する上で押さえなければいけないポイントはありつつも、そこをしっかりと押さえることで、RPAはとても大きな効果を出すことができる便利なツールとなります。
まず導入に迷われている方ら、本記事をそのまま参考に進めていき、ある程度運用方法などが見えた際には、より+@の取り組みを考え実行することをおすすめします。