BizRobo! ブログRPA関連のお役立ち情報をお届けします
少子高齢化や都市部への人口集中が進んでいる中、地域においては企業の人材確保が年々難しくなってきており、働き方改革やDXへの取り組みが急務となっています。
本ブログでは、経済産業省の定める「DX認定事業者(※1)」に認定された新潟県のユーザーさまにご登壇いただいたセミナーのレポートをお届けします。認定取得を目指した経緯や取得後の変化、RPA活用の取り組みや秘訣をご紹介しますので、ぜひご一読ください。
※1 2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律」に基づく制度で、DX戦略の策定や体制の整備を進めており、DX推進に向けた準備が整っている事業者を国が認定する制度
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ライター紹介:
- 長澤 史佳(ながさわ ふみか)
- 大学在学中に「ハフポスト日本版」と「Forbes JAPAN」にて記事執筆・編集・翻訳などを経験後、新卒で株式会社PR TIMESに入社し、PRプランナーとして化粧品メーカーや食品メーカーを担当。2022年よりRPAテクノロジーズ株式会社に入社し、コンテンツ企画や広報を手掛ける。
登壇者紹介
Jマテ.カッパープロダクツ株式会社
代表取締役社長
山本 耕治 氏
セキ技研株式会社
EMS事業部 事業部長
石原 健太郎 氏
RPAテクノロジーズ株式会社
LX Division 北陸・信越エリア 責任者
藤田 守 氏
DX導入背景 – Jマテ.カッパープロダクツ
新潟県のJマテ.カッパープロダクツがDXを推進すると決めた背景には、労働生産年齢人口(15~64歳)の減少が大きく関わっています。2010年から比較すると、2050年には労働生産年齢人口が3割減少すると言われており、それはすなわち「働ける人がいなくなり、1人あたりの仕事量が増えること」を意味します。
2020年3月に新型コロナウイルスが流行し始めた時、新潟県内ではまだ本格的に流行ってはいなかったものの、現場を抱える工事事務所やFAXなど紙を扱う営業内勤は稼働停止にせざるを得ない状況でした。また、2021年1月の大雪では物流センターが3日間の操業停止となり、現場を遠隔地から確認できる体制を整えようとなりました。管理職含めて自宅からテレワークができる状況を作った上で、残業時間の削減や働き方改革のさらなる推進をしていく必要を実感しました。
上記を踏まえて、2022年4月からDX推進をスタートしました。間接部門を中心にスモールスタートで年内1,000時間の工数削減を目標に設定し、2022年12月に上越地域で初めてDX認定を取得することができました。
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DX認定取得のメリット – Jマテ.カッパープロダクツ
- ① ロゴマークを利用できる
- DXが進んでいることを広くアピールできる
- ② DX推進時に論点を整理できる
- 申請するには自社のビジネス状況の整理・デジタル化の影響の分析・経営ビジョンの作成・ビジネスモデルの検討などが必要なため、確実に推進につなげられる
- ③ DX投資促進税制や支援措置が受けられる
- DXに必要なデジタル関連投資に対しての税額控除、日本政策金融公庫による融資、中小企業信用保険組合の特例を受けられる
Jマテ.カッパープロダクツでも、DX方針と戦略を明確化できたほか、課題も特定することができました。また、固有技術を管理技術に置き換えることで省人化・活人化を実現しました。
DX推進方法 – Jマテ.カッパープロダクツ
企業でDXを推進する際、DX推進担当者・人事部・総務部など、専任部署や担当者を設けるのが一般的かと思います。Jマテ.カッパープロダクツでは、社長をトップとする総勢21名で横断的なプロジェクトにしています。各部署と調整して業務を進めることが多い生産管理部が責任者を兼務し、各部署からは次世代を担う人材やデジタル化に向いている人材を選びました。
プロジェクトを推進し、間接部門で目標としていた「2022年末までに1,000時間の作業時間削減」は無事に達成することができました。目標達成にあたってはRPAも活用し、大きな成果をあげています。2023年2月末現在では1,508時間まで増加しており、RPAを中心に行っている改善はやればやるほど結果が伴ってきています。
RPAの導入前、経営層は導入目的や方針が決まっていないことから、消極的な姿勢でした。管理職は目先の業務負担増への懸念、現場では仕事を奪われることへの恐怖・不安、自分には関係ないという無関心がありました。
導入後、経営層は業務効率アップによりモチベーション向上、管理職は思った以上にRPAでできる作業があることに気付き、余力ができました。一般社員の間でも意外と使えるという認識が広がり、人がいなくても24時間業務ができるようになりました。
2023年は新たな取り組みとして、DXモデル工場の見学会と意見公開会を実施しています。DXの取り組みは社内に留めるだけではなく、地域や業界と密に連携することが大切だと感じています。今後も地域と連携し、人と企業がともに強くなるためにDXを推進していきます。
DX人材育成サービス「DXpass」
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DX導入背景 – セキ技研
FA事業、EMS事業などを行っているセキ技研では、工数不足(人材不足)という課題を抱えていました。紙帳票への記入や入力作業などルーティンワークが多いかつ、職人技などは作業が属人化している状態でした。「2025年の崖(※2)」もあり、デジタル化で人にしかできない作業にリソースを集中させ、生産性を向上したいと思うようになったのが背景です。
※2 経済産業省が2018年9月に発表したレポート内に記された言葉。日本企業がDX推進を十分に行わなかった場合、2025年以降に年間で最大12行円の経済損失が発生し、国際競争力を失うという課題を表す言葉
まず行ったこととして、2022年7月、経済産業省が定めるDX認定制度に基づき「DX認定取得事業者」として認定されました。認定のメリットとして、DX推進をする際の論点の整理と軽々コミットが得られること、社会的認知や企業価値・ブランド力の向上が期待できることを実感しました。
主な取り組み内容 – セキ技研
DX推進の主な取り組み内容として、まずはRPAを導入して課題解決を目指しました。体制に関しては、社内の各課から1名ずつパソコン操作に明るい社員を選出してRPA委員会を設立。委員はRPAで社内の課題を解決できるかを判断するとともに、RPA委員会の取り組みを各課内の社員へ伝える役割も担いました。各課から委員を選出することで、RPA委員会の取り組み内容を全社的に広めることができました。
次に、各課で単純作業や定期的な作業をテーマとして選出しました。それぞれの部署と選出したテーマは下記です。
・機械設計:エクセル部品属性を図面リストへ自動転記
・電気設計:大図面から個別図面の作成
・生産管理:生産計画の顧客システムへ自動入力
・資材:納期管理部品リストの自動作成
・経理:内職伝票計算処理の自動化
・営業:見積り台帳から各帳票・資料の作成
テーマが選出できたら、より難易度の低いものを委員会の代表テーマとして設定します。ロボット開発を始めるにおいて、まずは効果を実感するということに重きを置きました。
難易度の設定後は業務フローを作成し、RPAの基礎技術を身に着けるためにトライアルシナリオで開発トレーニングを実施しました。委員メンバー全員が実施したことで不明点をお互いに聞き合うことができ、進捗率の共有でトレーニングのモチベーションに良い影響がありました。このトレーニングを経て、実際の業務フローからロボット開発に成功することができました。
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工夫した点 – セキ技研
完了通知など、ロボットから自動送信されるメールを南魚沼の方言に変更しました。ロボットという無機質なイメージがあるものに方言を使うことで、身近で親近感を持ってもらうことが目的です。社内でもとても話題になり、コミュニケーション活性化にもつながりました。
DX推進の結果 – セキ技研
RPAを導入したことで、年間で620時間の工数を削減することができました。その分、人にしかできない作業にリソースを集中でき、生産性も向上しました。
他に、定性的な効果も実感しています。例えば、締め日前には事務作業に追われて残業していると、社内が殺伐とした雰囲気になっていました。ロボットにより作業の自動化が実現すると、事務室の雰囲気は和語やかになり、コミュニケーションロスも減りました。
また、従来はルーティンワークも含めて作業は「頑張る」「手分けする」という考え方が当たり前になっていたものの、今では「ロボットにやってもらう」という意識が社内に浸透しています。
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この記事のまとめ
- DX認定取得のメリットとして、推進時の論点整理、DX投資促進税制や支援措置が受けられることがあげられる
- DXやRPA推進において、社内プロジェクトとして横断的に実施することは成功するためのポイントになる
- DX推進は時間の削減など定量的な効果をもたらすだけではなく、社内の雰囲気やコミュニケーションなど定性的な効果も出すことにつながる
セミナー完全版につきましては、ぜひ下記からオンデマンド配信をお申し込みください。より詳細な説明に加えて、質疑応答などもご視聴いただけます。
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また、今後もWebセミナーやすでに実施したセミナーのアーカイブ配信もご用意しております。ご不明点やRPAについてご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
Webセミナー一覧:https://rpa-technologies.com/seminar/