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DXとはデジタルツールを用いてビジネスモデルそのものを大きく変革させることを指します。
そこで活躍するのが、AIです。AIは人間の思考パターンを模倣し学習、判断ができます。
そのため単なる業務のデジタル化にとどまらず、活用方法次第では業務フロー全体や経営戦略の大幅な改革を実現できるでしょう。
そこで本記事では、AIを活用してDX化に成功した企業の事例を紹介します。業界別に、どういった導入効果が得られたのかも具体的に解説します。ぜひ参考にしてください。
DXとAIの関係性
DXはビジネスモデルの変革そのものを指す言葉であり、AIはそれを実現する手段です。
AIは人の思考を模倣してあらゆる業務を自動化できます。そのため、DXの実現にも大きく貢献するでしょう。
もちろん、AIに限らずDX化にはさまざまなデジタル技術が用いられます。そのなかでも、幅広い業界で活用されているのがAIです。
AIを用いたDXの成功事例
ではここから、AIを用いたDXの成功事例を業界別に見ていきましょう。今回紹介するのは、以下の9選です。
・【飲食】AI搭載配膳ロボットで従業員の歩行数を42%削減
・【物流】AIの在宅予測で再配達を20%削減
・【製造】工場の人員配置をAIで最適化
・【建築】AI安全管理システムで重機接触災害を防止
・【医療】AIがビッグデータを解析し新薬創出を効率化
・【美容】AIが肌を分析しアドバイス
・【金融】AIがカードの不正利用を検知
・【通信】顔認証AIでeSIMを即日利用可能に
・【不動産】AIが住宅購入のお悩みを解決
AIにはさまざまな活用方法があります。これから導入を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
【飲食】AI搭載配膳ロボットで従業員の歩行数を42%削減
ファミリーレストランを多数展開するすかいらーくグループでは、2021年からAI搭載の「ネコ型配膳ロボット」を大規模導入しました。
対象店舗数は2,100店舗、ロボットの導入台数は約3,000台にものぼります。料理の提供と下膳をロボットに任せるという大胆なDXにより、配膳ロボットの存在は私たちにとってもより身近なものとなりました。
これにより、すかいらーくグループの「ガスト」では、以下の効果が見られたそうです(※1)。
・ランチピーク回転率が7.5%向上
・片付け時間が35%削減
・歩行数も42%削減
また以下のような副次的な効果も得られ、配膳ロボットは想定以上のメリットを発揮しています。
・重い食器を持つ必要がないため高齢者の採用を増やせるようになった
・外国人労働者にとってもオペレーションを覚えやすくなった
・従業員がほかの業務に集中できるようになった など
ある調査では、スタッフの約9割が配膳ロボットと働くことに満足していると回答しています。

(※2)
このように配膳ロボットの導入は大幅な業務改善に貢献しました。しかしその裏には「インストラクター」と呼ばれる、ロボット導入班の活躍があります。
すかいらーくグループでは今回の配膳ロボット導入にあたり、店長経験があり現場も熟知している社員を複数引き抜きました。
そして現場の目線でロボットを設定し、社員として本部への意見や提案も実施したそうです。このインストラクターの活躍があり、今回の大規模なDXが実現したといえます。
なお今回採用されたのは、中国の大手ロボットメーカー「Pudu Robotics」の提供する「BellaBot(ベラボット)」というネコ型ロボットです。
AI音声によるコミュニケーション機能や見た目の可愛らしさに、思わず顧客やスタッフの表情もほころびます。
今後はすかいらーくグループの重要な仲間として、より多彩な活躍を見せてくれるでしょう。
【物流】AIの在宅予測で再配達を20%削減
佐川急便株式会社は2021年、横須賀市や株式会社JDSC(以下JDSC)ほか4者合同で、AIを用いた在宅予測実験を実施しました。
この実験に用いられたシステムは、JDSCと東京大学院が共同で開発したものです。スマートメーターから得られる電力データを元に、AIが最適な配送ルートを示します。

(※3)
2018年9月から東京大学内で行われた配送試験では、不在配送を9割減少させた実績もあります。
この取り組みに佐川急便が参入。横須賀市の協力を得て、150世帯を対象に実証実験を行いました。その結果、不在率は約20%改善されたそうです。
なお実験では、その地域をよく知るドライバーや新人ドライバーなど、さまざまな条件で実施されました。
しかしどのドライバーでも、結果に大きな差は出なかったそうです。つまり経験や勘に頼らず、どのドライバーにも効果を発揮することが期待できます。
一方で不在宅を迂回したことで、総走行距離と稼働時間は通常よりも増加傾向となりました(※3)。
こうした改善の余地はあるものの、配達員のルートに一つの指標ができるのは大きなDXといえるでしょう。
【製造】工場の人員配置をAIで最適化

(※4)
株式会社ニチレイフーズは、工場の人員配置の提案にAIを導入しました。これまでどのラインに誰を配置するかは、熟練の担当者が手作業で決定していたそうです。
しかしこの手法は時間がかかるだけでなく、担当者の経験や勘に頼る部分も大きいのが難点といえます。
さらに当日の欠席といったイレギュラーな事態が起きると、配置をすぐさま変更しなければなりません。こうした背景と業務効率化や人材不足解消などを目的に、AI技術の導入が検討されました。
そこで導入された新システムでは、AIが全自動で最適なラインの配置を計算します。配置決定にかかる時間は、これまでの10分の1になったそうです。
またこのシステムは、製品ごとの効率や配置する作業員の習熟度などあらゆる条件を考慮したうえで配置を決定します。
そのため生産性や原料歩留まりといった、作業品質も向上しました。
さらに今後は配置決めを複雑にする時短勤務といった、複雑な勤務形態も積極的に取り入れられます(※5)。多様な働き方を受け入れることで、人材不足の解消も期待できます。
【建築】AI安全管理システムで重機接触災害を防止

(※6)
清水建設株式会社では、2018年頃より大規模なAIプロジェクトが発足しました。その中の1つが、建設現場における労災防止に向けたAI活用です。
とくに建設現場の労災のうち、重機接触災害が占める割合は約2割にのぼります。そこで建設現場用のステレオカメラを重機に取り付け、人を検知する仕組み作りに取り組みました。
しかし粉塵が舞い振動も大きい現場では、うまく人を検知できない課題があったそうです。そこで検知の精度を上げるべく、AI開発企業「株式会社Lightblue」とタッグを組むことになりました。
実装したアルゴリズムでは画像解析AIにより、人の骨格や向きを推定します。これによりさまざまな姿勢の人を検知し、重機との近さや作業員が重機を視認しているかをチェックするのです。


(※6)
一定の危険性を検知した場合、重機オペレーターに警告が届きます。
清水建設はこのシステムで事故を未然に防ぐだけでなく、社員行動に対する評価へも活用を検討しているそうです。
さらに同システムの外販もスタートしており、清水建設以外の現場でも活躍しています。こうして安全確認のフローだけでなく作業品質や人事評価など、あらゆる分野のDXに成功しました(※7)。
【医療】AIがビッグデータを解析し新薬創出を効率化

医薬品開発は年々難易度が増しており、新薬創出にかかる期間や予算の削減が課題となっています。そこで中外製薬株式会社では、新薬の創出にAIの活用をスタートしました。
以下のようにAIは、新薬創出の現場においてさまざまな可能性が期待できます。
・医薬品候補分子探索
・薬物動態予測
・病理画像解析による、薬効・安全性の評価
・自然言語処理を用いた論文検索
とくに中外製薬が強みとする疾患領域では、独自に蓄積した大量のデータ解析が新薬創出に不可欠です。
人の手では膨大な時間のかかるデータ解析も、AIにかかれば大幅な時間の短縮が可能になります。
こうしたメリットをふまえ、中外製薬はAI技術のリーディングカンパニーである株式会社 Preferred Networksとパートナーシップを締結しました。
豊富な知見やデータを深層学習技術と掛け合わせ、新薬創出および、各バリューチェーンへの応用を推進しています。
さらに自然言語解析AIを搭載した論文探索AIシステム「Amanogawa」や疾病メカニズムを可視化できる「Cascade Eye」も導入しました。
これにより疾患理解の深化や、これまで見つけられなかった疾病原因の同定を行えるとのことです。このように中外製薬はあらゆる技術を創薬に活用しています(※8)。
今後は創薬の現場もこれまでと打って変わり、AI技術により一層高精度かつ短時間での研究が実現できるでしょう。
【美容】AIが肌を分析しアドバイス
株式会社資生堂は、2021年に「デジタルトランスフォーメーションオフィス(以下DTO)」という部門を新設しました。
DTOは資生堂が培ってきた知見と技術を組み合わせることにより、新たな価値を創造するために設立された部門です。
取り組みの一つとして「美活ジムアプリ」の開発が挙げられます。

(※9)
このアプリは顔の3D特徴点データをリアルタイムで計測し、表情の作り方やお手入れの効果などを数値で評価できるものです。
肌と表情のトレーニングに特化した知識・技術を学べる独自プログラム「美活ジム」にて、一般に提供開始されました(※9)。
これにより、「美を数値化する」「美を習う」といった新しいカルチャーが創造されつつあります。
またその後は独自のAI技術を幅広く提供しています。たとえば「エリクシール AIスキンアナライザー」は、無料で誰でも使えるアプリです。

(※10)
顔写真を撮影してアップロードするだけで、AI総合肌測定で自分に合ったビューティーアドバイスを受けられます(※10)。
こうしたツールがあれば、ビューティーアドバイザーによるアドバイスやタッチアップは不要になるかもしれません。美容業界のあり方も、DXの実現で徐々に変わりつつあります。
【金融】AIがカードの不正利用を検知

(※11)
三菱UFJニコス株式会社は、2023年2月より、カード取引の不正検知にAIを導入しました。
元々は1日約数十名のスタッフが、24時間365日、交替でカード取引をモニタリングして不正取引を確認していたそうです。
しかし近年では不正使用の手法が多様化・巧妙化し、人の手で不正を検知するのが難しくなっています。
そこでAIソリューション「PKSHA Security」を導入し、人の目では見つけにくい不正を検知できるようになりました。
さらに同システムは、独自のAIアルゴリズムで日々変化する不正手口のパターンを自動学習します。そのため新しい不正の手口にも、いち早く対応することが可能となりました。
また本事例のポイントは、不正検知を「すべてAI任せにしていない」点です。元々三菱UFJニコスの不正検知は高い精度を誇っていたため、AI導入後も大まかな業務フローは変えていません。
さらに人の目で判断した不正懸念取引を即時AIに学習させることで、検知の精度もみるみる上がっているそうです。
その結果、不正被害件数と金額を3割以上も削減することに成功しました(※11)。マンパワーとAI技術をうまく掛け合わせたDX事例といえます。
【通信】顔認証AIでeSIMを即日利用可能に

(※12)
KDDI株式会社は2021年、「UQ mobile」のSIM認証システムにAIを導入しました。「eSIM」と呼ばれるこのSIMではAIを用いたオンライン上の顔認証で本人確認が完了します。
これにより発送を待たず、契約した即日SIMが使えるようになりました。eSIMはスマホに埋め込まれている一体型のため、SIMカードを装入する手間もありません。
このAI技術は、株式会社Liquidの提供する「LIQUID eKYC」というサービスです。特許出願済の真贋技術と独自のAI技術により、高い顔認証・OCR精度を誇ります(※13)。
こうしたAI技術を導入することで、本人確認作業を無人化できます。さまざまな書類の照合や不備の確認にかかる人材コストを大幅にカットできた、DXの成功事例です。
【不動産】AIが住宅購入のお悩みを解決

(※14)
積水ハウス株式会社は、AIQ(アイキュー)株式会社との共同開発で自社で住宅を購入した顧客のAIクローンを作成しました。
これは積水ハウスで家を買った人へ、チャットでお悩み相談できる「AIクローンオーナー」というサービスです。
住宅購入における意思決定は、第三者の口コミを重視する傾向があるとの調査結果が出ています。これをふまえ、住まいづくりに役立つリアルな情報を入手できる場として開発されたのがAIクローンオーナーです。
AIクローンは、実際のオーナーインフルエンサーに協力をあおぎ、Instagram投稿を情報源として作成されました。

(※14)
今後はオーナーインフルエンサーを増やし、よりユーザーの好みやこだわりに応じた情報提供ができるよう、改善を進めていくそうです(※14)。
「営業」だけでない、新たなハウスメーカーからのアプローチを創出したDX事例でした。
DXの成功事例から学ぶAI活用のポイント
AIを使えばDXが成功する、とは限りません。以下のポイントが押さえることで、より一層AIのメリットを生かしやすくなるでしょう。
・課題と目的を明確にする
・AIの精度やセキュリティ性も考慮する
・AIを導入する前に、ある程度現場を整えておく
AIを導入すること自体が目的になってしまうと、活用方法にもブレが生じてしまいます。そのため解決したい課題と目標を定めておきましょう。
またAIは製品によって作業制度やセキュリティ性が異なります。導入後のトラブルを回避するためにも、これらのポイントは事前にチェックしておきましょう。
可能であれば、トライアルなどで実際の使用感を試してみることをおすすめします。
さらにAIを受け入れる環境が整っていなければ、定着しません。現場職員に研修を実施しITリテラシーを養ったり、AIと互換性のあるデジタルツールを導入しておいたりといった準備も行いましょう。
AI×RPAでDXを促進
DXの推進に向けて、AIとRPAを連携して活用する事例も数多くあります。RPAとは、「ロボティックプロセス・オートメーション」の略称です。定型作業を自動化するロボットのことを指します。
たとえばRPAを使えば、データをインポートして一部抽出し、指定のシステムに転記するといったことも自動化可能です。
AIは「思考」や「判断」の部分を担うのに対し、RPAは「実行部隊」としての役割を担います。
また、RPAが対応できないイレギュラーをAIが処理したり、RPAそのものをAIに運用させることも不可能ではありません。
このようにAIとRPAを組み合わせることで、より一層DXを推進しやすくなるでしょう。
BizRobo!LiteならAIとの連携も可能

AIとの連携を検討するなら、BizRobo!Liteがおすすめです。BizRobo!Liteはサーバ型のRPAで、AIとも連携できます。
さらにバックグラウンド実行もできるため、夜間や休日でも業務が進みます。同時実行数に応じた料金体系で、無駄もありません。
幅広い既存システムとの互換性も
BizRobo!LiteはMicrosoftやGoogleの各種サービスはもちろん、SlackやChatwork、salesforceといった幅広いビジネスツールとの互換性があります。
そのため、RPAの導入で既存システムを変える必要はありません。元の業務はそのままに、タスクから業務レベルまでさまざまな仕事を自動化できます。
直感的な操作感で誰でもロボットを開発可能
BizRobo!Liteは、IT知識のない人でもロボットを開発しやすい操作感と画面構成が特徴です。そのため、以下のような企業にはとくにおすすめできます。
・事務作業が業務を圧迫している
・定型業務が社員のモチベーションを下げている
・ヒューマンエラーが目立つ
・人件費を削減したい
・ITノウハウはないが少しずつデジタル化を進めたい など
もちろん導入後はサポートスタッフの伴走体制も整っています。24時間365日問い合わせも可能です。
まとめ
DXにAI技術を取り入れる事例は数多くあります。しかし、AIを使えば必ずDXが実現できるとも限りません。
うまくDX化を進めるには、まず自社の課題と目標を明確にする必要があります。それらをふまえたうえで、必要なツールを選定していきましょう。
またAIだけでなく、RPAの活用もおすすめです。なかでもBizRobo!Liteは、IT初心者にも優しい操作感が特長です。
定型的な事務作業を自動化し、現場の負担を軽減しましょう。まずは無料お試し期間で、使い勝手をお試しください。
【参考】
※1 「すかいらーく「ネコ型配膳ロボ」3000台導入を成功させた「特命チーム」に迫る」を加工し作成
※2 「【配膳ロボットと働くスタッフ満足度調査:飲食店】配膳ロボットと一緒に働いてみて、約9割が「満足している」と回答 導入での変化 第2位「他の業務に時間を使えるようになった」、第1位は?」を加工し作成
※3 「【佐川急便】世界初「AI活用による不在配送問題の解消」フィールド実証実験にて、不在配送を約20%削減」を加工し作成
※4 「船橋工場(千葉県)」を加工し作成
※5 「ニチレイフーズ、AIで工場の人員配置最適化」を加工し作成
※6 「車両搭載型安全監視カメラシステム「カワセミ」」を加工し作成
※7 「「現場の危険を未然に防ぐ」。AIを活用した清水建設の安全管理システム。」を加工し作成
※8 「AIを活用した新薬創出」を加工し作成
※9 「資生堂、顔形状3次元データから表情を解析するアプリケーションの開発に成功 ― 肌と表情に特化した独自プログラム”S/PARK Studio美活ジム”で7月17日より活用 ―」を加工し作成
※10 「エリクシール AIスキンアナライザー」を加工し作成
※11 「三菱UFJニコスがクレジットカードの不正使用検知にAIを導入~「人的ノウハウ・知見×AI」で業界最高水準の不正抑止精度に!」を加工し作成
※12 「UQ mobileの本人確認において、AI(顔認証等)を活用してデジタル本人確認を実現する「LIQUID eKYC」を導入」を加工し作成
※13 「【 eKYC国内シェアNo.1 】本人確認なら LIQUID eKYC」を加工し作成
※14 「日本初 積水ハウスで建てた顧客のAIクローンが住宅購入のお悩みを解決チャットで気軽に相談できる「AIクローンオーナー」サービスを開始」を加工し作成