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デジタルレイバーグランプリ2023 東海・関西大会 開催レポート ②
8月23日(水)に愛知県名古屋市で、「デジタルレイバーグランプリ2023」の東海・関西大会が開催されました。 本日は大会の様子をレポート形式でお届けします。(第2回/全4回)
②株式会社ユニホー 鈴木 誠也 様
「Z世代のデジタルドライブ賞」を受賞!
●会社・自己紹介
皆さんはじめまして、本日は「RPAで仕事ができるようになりました」というテーマでお話しします。RPAを使うことで、自分自身が仕事に対して真摯に向き合うことができるようになって、仕事って本来何のためにやってるんだっけ?ということを考えるきっかけをもらったのが、RPA、BizRobo!を使うということでしたので、このことについて紹介します。
具体的にはふたつのテーマでお話しします。実は私は、もともとITの知見が全くなかったんですけれども、このような状態から、本日この場に呼んでいただけるようになったこれまでの経験、その足跡を今日のテーマのひとつとさせていただきます。もうひとつは、RPAに教えてもらったことがすごくあって、僕は育ててもらったなという思いがありますので、そんな話をお届けしたいと思います。
その前に自己紹介をさせていただきます。私は鈴木 誠也と申しまして、35歳になります。有名なプロ野球選手と同姓同名です。私は高校を卒業してからバーテンダーをやっておりまして、その後に不動産の営業職、現在はRPAをはじめとした業務改善の促進、そして不動産経営者へのコンサルティングを主な仕事としています。
続いて株式会社ユニホーという会社なんですけれども、名古屋市名東区に本社を置く、設立50周年を超える古き良き伝統が残る、地元の不動産会社になります。
●RPA導入の経緯
それでは早速、私の足跡のひとつめとして、古い伝統が残る弊社がどのようなきっかけでRPAを導入したかという話になります。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、建築・不動産会社はITリテラシーがめちゃくちゃ低いです。本心からそう思っています。そこからくる勘違いがきっかけで導入できたというのが正直なところです。遡ること5年程前だったと思うんですけれども、基幹システム入れ替えの話がありまして、それを数億円かけてやりましょうということだったので、いろんなベンダーさんにお話を聞いて、簡単なコンペみたいなことをやらせていただきました。その当時、ちょうどAIという言葉が流行りまして、ベンダーさんからも「今後はAIを使って仕事をしたほうがいい、だからうちのシステムはこういうこともできますよ」といったお話をされる機会が多かったです。ただ先ほども申し上げたように、ITリテラシーがめちゃくちゃ低いので、「なんかAIとRPAっていうのがあるらしいよ。AIと一緒だよね?RPAの方が安いらしいよ。RPAテクノロジーズっていう会社があるから電話してみてよ」いうところからお声掛けさせていただいて、導入したという背景がありました。
そんな経緯でRPAを導入した我々なんですけれども、導入から5年が経って、やっと定着してきたかなと感じています。定着まではかなり苦戦をしたというのが正直なところです。もともとは業務を集めて、社内営業・拡散をして、ロボットを作れる人を増やして開発していけたらいいなという単純なスリーステップを考えていたのですが、対象となる業務を集めようとしても集まらず、当社はホールディングスを合わせると2000人ぐらいの社員がおりますが、出てきた仕事は4~5個くらいで、全然進まないという状況でした。
我々は古い会社ということもありまして、新しい仕組みなどにものすごく拒否感というか、アレルギーのようなものを持っていまして、自分の仕事はロボットにやらせるような安いものではないというプライドを持っている人や、逆に自分の仕事をロボットに渡したら私はクビになりますか?というようなネガティブな危機感を持っている人もいました。それに対して僕たちがアプローチしたことは2つありました。
まず、RPA化の候補となる業務が既存のスタッフからは集まらなかったので、新規業務を対象にしました。基幹システムの入れ替えがありましたので、それに伴ってやらなくてはいけない仕事、新しくできるようになった仕事が増えてきまして、このタイミングで僕の方で業務を巻き取り、どんどん自動化する形でロボットを作成していきました。僕はもともとITに詳しくありませんでしたが、だんだんと「ITに詳しそうな顔をしているぞ、仕事ができそうだぞ」という雰囲気をまとわせてもらって、それによって参加できる打ち合わせがどんどん増えていって、そこで出てくる困りごとや、これはロボット化できるという業務を一旦自分の仕事していきました。そして僕は基本的に怠け者なので、仕事はあまりしたくないんです。ですので人の仕事をどんどん引き取って、それをロボット化するという形になりました。
結果として、直接ロボットに興味を持ってもらったというよりは、仕事をばんばん振られても一応回っているという、自分自身の姿をアピールして、自分の働き方というものに対して会社に興味を持ってもらいました。そのうえで「僕はRPAというものを使っていて、僕の業務が回っているのはこういう理由なんですよ」という形で社内に浸透を図っていきました。以上が当社の、RPA定着までの道のりでした。
●開発したロボットの紹介
次に、僕が作ったロボットが現状200体強あるんですけれど、その中からいくつか紹介させていただきます。我々が動かしているロボットはざっくり3種類あります。
- タスク系は、いわゆる単純作業をこなす、日常のためのRPAです。
- 秘書系は、今日やるべきことを整理して人に通知する、今のためのRPAです。
- システム緩衝系というのは、新しいサービスを導入しようとしたときに、基幹システムとの間でデータ連携等の溝のようなものが生じてしまうのですが、そこをRPAに埋めてもらって、新サービスの導入に対して会社に前向きになってもらう未来のためのRPAです。
このような3種類のロボットを動かしています。
●ロボット活用におけるこだわり
我々がロボットを作るときに念頭に置いているのが、人に即しているかどうかです。ここにこだわりを持ってロボットを作っています。可能な限り現場の業務フローを変えない、ロボットのために人に仕事をさせない、主従関係が逆転しないことに常にこだわっています。例えばロボットを動かすために、人がこのExcelを使うのはやめましょうとか、そういったことが起こらないように気を付けています。
今投影している動画は、僕が作ったロボットなのですが、やっていることはソフトフェアサービスから基幹システムにデータ入力をするという、作業としてはとてもシンプルなものです。ただ見ていただいたとおり、ステップは複雑に組んでいて、これは先ほどお話しした、可能な限り人が行うことを制限しないように、ロボットにできるだけ柔軟な仕事をさせることにこだわった結果です。
もうひとつ、最近は顧客対応にもRPAを活用できるのではないかと考え、こちらにも導入を進めています。賃貸物件の問い合わせに関するツール上で、(1)「空室はまだありますか?」という問い合わせがよく入りまして、それに対して「まだあります」と質問に対して対応するような業務。また時系列的には(1)の後になりますが、(2)おすすめ物件や、新築物件の案内、退去予告をお客様に通知するような業務にロボットを活用しています。
(2)の営業領域は、新しくステータスが変わればメールを送るという簡単な仕組みなのですけれども、(1)の自動化に非常に苦戦をしていました。ですがようやく、AIチャットボット、ChatGPTが業務でも使えるレベルになってきましたので、現在はお客様からいただいた長文の問い合わせを、APIでChatGPTに投げて、AIから「この定型文で返信していいですか?」という内容のデータを受け取って、お客様にそのまま送れる内容であれば送信してもらい、送れない場合は人間が添削して送るというようなロボットを制作しています。現状8割ほど仕上がっているので、年内にはリリースしたいと考えています。
●BizRobo!と出会って仕事への向き合い方が変わった
このようにロボットをいろいろと作ってきまして、僕の足跡の一旦の着地点として一番効果を感じた部分は、冒頭にもお話ししたように、仕事への向き合い方が変わったという点です。削減時間ですと数千時間であったり、それを時給換算すると何千万円分年間で圧縮できたというような数値的な効果はもちろん大きかったのですが、それ以上に自分は仕事を通してどんな価値提供をできるのか、ということを考えながら取り組むようになりました。
ひとつ具体的な業務を紹介しますと、昨今は空室に悩む家主(オーナー様)が非常に多くいらっしゃいます。普段は物件担当者がオーナー様と相談して家賃を決めたりしていますが、ある日直接ご相談をいただきまして、11部屋中5部屋しか入居がなく困っているということでした。担当者に相談しても、近隣物件の調査はしているものの結果が出ていないので何とかならないかというお話でした。
そもそも空室を埋めるという作業で、近隣物件の調査をしていてもそのエリア自体が不人気であれば調査の意味がありません。調査という作業が意味のない工程になってしまいます。そこで僕から、もう少し多角的な情報が必要ではないかと提案して、エリアの人気具合や特性、出している広告のユーザー閲覧履歴、過去にこの物件に住んでいた人のカテゴリーを調べて、不動産営業が適切なターゲットにしっかりアプローチするための企画を策定しました。その結果、6か月で満室となり、オーナー様は収入が倍になりとても喜んでいただきました。
この件ではオーナー様と僕がしっかりゴールを共有して、そこから導き出した逆算的な業務を、人とロボットにしっかりと振り分けることができたことが良い結果につながったと思っています。
大量のデータを集めることに関しては、僕は絶対にロボットに勝てません。ただ、その集めたデータを読み取って、こういう順番でこういうことをやろうと導き出してオーナー様に伝えることは、ロボットではなく僕が得意なことだと思っています。このように棲み分けをして得意分野を分けていくという仕事ができるようになったのは、RPAを使うようになったおかげだと感じています。
●今後の展望
最後に、今後やりたいことを紹介させていただきます。まずはRPAを含めた業務改善をもっと広めていきたいと考えています。そのためにロボットを作ることが大切だと思っています。僕はロボットの開発と営業を兼任してしているので、実務と開発のバランサー、いわば通訳のような役割をしながら、使えるロボットの数を増やしていくことを続けたいと思っています。
またロボットを使う人や企業が増えた先で、その輪をどんどん繋げて、新しい機会、ビジネスチャンスを生んだり、人間の可能性を大きくしていきたいと考えています。