BizRobo! mini
地域に根ざす流通業の営業事務をRPAで変革。効率化の多様な打ち手を“橋渡し”する
Highlight
- トップ主導のRPA推進で、業務部門出身者が内製化に成功
- ロボット化の過程で、マクロやOCRとの併用を確立
- 自動化を理解し受け入れた現場で、DXを担う素地が整う
長崎県に本社を置く協和商工株式会社は、主力とする業務用食品卸事業の業務効率改善策として、PC上の定型作業を自動実行できるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に着目。クライアント型RPA製品「BizRobo! mini」を2019年に導入した。同製品の操作性や、地場代理店の支援体制を踏まえ、トップ主導で社内活用を推進。それまで本社や各拠点で残業を招いていた営業事務をロボット化の主対象に選び、非エンジニア社員による内製化を遂げた。導入した現場で効果を実感しやすいRPAが端緒となり、マクロなど他手法とも組み合わせた業務自動化が進展。既に年間2,000時間相当の余力を創出したほか、テクノロジーの応用で事業を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)への素地が整いつつある。
導入背景本業とテクノロジー活用を通じた地域貢献に注力
営業拠点の「働き方改革」を進める中でRPAに着目
九州の最西端・長崎県佐世保市で1949年に創業した油脂工場を起源に持つ協和商工株式会社は、建設資材の販売や冷凍食品の配送などに事業を拡大。現在は外食・中食・給食などへの業務用食品卸事業が売上の8割を占める。
2016年には、食品卸業界で全国初となるフードバンク団体を設立。子ども食堂の運営者などに無償提供する在庫を専用Webサイトで公開し引き取り予約を受け付けるなど、本業とテクノロジー活用を通じた地域貢献に取り組む。
約220人いる同社従業員のうち半数弱は、九州各地の拠点でエリア内の配送や営業と、それらに伴う事務処理に従事している。これらの通常業務に、季節商品の受注作業が加わる時期は残業も相次いでいたことから、同社は入力作業を本社に移管するといった「働き方改革」に着手。集約した定型作業の効率化策としてRPAに着目した。
BizRobo!を
選んだ理由「一覧性が高く、流れをつかみやすい」
地元企業による導入支援体制も決め手に
2018年末から約3カ月間、複数のRPA製品を実務担当者らが比較検討し、BizRobo! miniの導入を決めた。
ツールの機能・操作性やコスト面と併せて決め手の1つとなったのが、地元長崎でBizRobo!を取り扱う株式会社松本による導入支援を得られる点だった。同社に作成依頼したロボットの調整を手始めに、実践的なノウハウを吸収。業務改革の専任担当を含む「戦略システム室」の3人が、RPAの開発運用を導入後2カ月余で内製化した。
それまでの発注業務担当からBizRobo!の主担当に抜擢された野中氏は「もともとExcelを使う程度で、特別ITが得意でもなかった」。プログラミングもマクロ作成も未経験だった当時から、BizRobo!には競合製品より操作しやすい印象を持っていたといい「特に、実行する手順が操作画面の横方向に広く表示されて一覧性が高く、工程の流れを直感的につかめる点は優れていると感じました」と振り返る。
対象業務メール配信やデータ登録など約10業務で活用中
導入部署のメリットが大きい業務を優先
同社は現在「日々の売上状況を共有する社員向けメールの配信(図1)」「当日の積荷をドライバーに伝達するリストの出力」「入金伝票から基幹システムへのデータ登録」「中元・歳暮シーズン用商品の受注入力」など、およそ10業務にRPAを採用。オフィスソフト標準の自動実行機能であるマクロや、OCR(光学文字認識)といった手法との組み合わせで業務効率化を進めている。
ロボット化の対象は「通常業務後の対応を強いられるスポット業務」など、現場の負担が大きいものを中心に戦略システム室が選定してきた。そこでの工夫を近藤氏は「真価が社内に理解され、ロボット化の要望が出てくるようになるまでは特に、導入部署がメリットを実感できること、また当社のRPA活用はさらなる成長に向けた余力創出が目的で、誰かの椅子を奪うものではない旨の丁寧な説明を心がけました」と明かす。
(図1)日々の売上状況を共有する社員向けメールの配信ロボット
導入効果導入後2年余で、投資を上回る効果
RPA導入を機に、他手法の活用も進展
RPAや、同時利用するソリューションを通じ、現在同社は年間2,000時間相当のリソース創出を達成している。
中でも、各拠点から本社に集約した受注業務をBizRobo!による自動処理に切り替えて年間800時間相当の余力をもたらした成果が大きく、人件費換算の効果測定では既に、BizRobo!の導入・維持コストを上回るメリットが得られている。
効率的な開発運用の観点から同社は、自動化する全工程をRPAで実装する計画だった当初方針を途中で変更。現在は単体のアプリケーションで完結可能な集計などの工程をマクロで処理した上で、基幹システムへのデータ登録といった工程間の“橋渡し”にRPAの用途を特化させつつある。
「間口が広いBizRobo!の導入が契機となり、それまで十分活用できていなかった手法とも組み合わせた、適材適所の取り組みが進められるようになりました」(野中氏)
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CORPORATE PROFILE
- 社名
- 協和商工株式会社
- 事業内容
- 業務用食品などの卸売業
- ウェブサイト
- http://www.kyowakk.co.jp/
- 話を伺った方
- 戦略システム室 リーダー 野中 大嗣 氏など
- ここまでの内容に加えて下記を追加
「今後について」
「現場の声」 - 印刷用PDF(フルカラー)3ページ