BizRobo! Lite


独自制度の事務も柔軟に自動化。
BizRobo!が担う標準との橋渡し
Highlight
- 「内製の限界」「費用」「仕様」がRPA活用の壁に
- 端末非占有、実利用に応じた料金体系のBizRobo!に移行
- ツール移行に併せて開発委託に転換、普及を大幅に加速
北海道の旭川市役所は2022年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、パソコン上の定型作業を自動実行するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のツール「BizRobo! 」と、提供元による開発運用サポートを採用した。開発の外注化により、それまでの開発内製で抱えていた限界が解消。また同ツールのフローティングライセンスにより費用面・運用面の課題も解決したことで導入が勢いづき、現在27課の53業務で活用されている。市独自制度の事務を含めて手作業の代替や確認作業の軽減が進み、年間6,460時間相当の人的リソースを創出したほか、ミスの抑止や紙業務のデジタル化にも寄与。今後はガバメントクラウド対応も視野に、さらなる活用拡大を図る方針だ。
導入背景「ライセンス体系」「実行端末の占有」がRPA普及の壁に

内製による開発体制に限界も
北海道北部の中心都市で、約31万人の人口を擁する旭川市。およそ3,000人の職員が従事する市役所では、庁内業務の効率化策として2020年度にRPAを導入した。
2021年策定の「旭川市デジタル化推進方針」においても積極活用を宣言し、対象業務の担当職員が自らソフトウエアロボットを開発運用。申請書データの入力作業など2年間で8業務に導入したが、全庁展開には至らなかった。
活用拡大のネックとなっていたのが、当初導入したRPAツールの仕様、具体的には「利用状況にかかわらず1端末につき1ライセンス」の価格体系や、「自動実行中のロボットが端末を占有し、人が他の作業を並行できない」という機能制限だった。
さらに「RPA開発が得意な職員は限られており、内製を続けるだけでは導入部署・業務が広がらない」とも判断。利用ツールの見直しと開発委託への変更を決めた。
BizRobo!を
選んだ理由利用実態に即した価格体系を評価
プロポーザルで選定、開発業務も委託
同市は2022年、RPAの導入および運用の支援事業者を公募型プロポーザル方式で募集。サーバ型ツール「BizRobo! Lite」、ならびに同ツール提供元からの開発運用サポートを導入した。
BizRobo!を採用する最大の決め手となったのが、利用対象となる端末の総数ではなく、同時利用可能な最大数で価格が決まる「フローティングライセンス」だった。
庁内業務効率化の一環としてRPAの導入推進も担う行財政改革推進部行政改革課の丸谷寛子氏は、「RPAの導入部署が順調に増えていき、利用端末が数十台、さらにそれ以上の規模になっても、稼働スケジュールを調整して分散させれば数ライセンスで運用でき、想定予算内でも活用の幅を広げられる点が魅力でした」と明かす。
それまで他のRPAツールで自動化していた業務もBizRobo!で再構築して移行。利用ツールの一本化によって総コストを抑制している。
対象業務これまで27課の53業務に採用
開発外注化で活用範囲が大幅拡充
同市では、令和4年度からこれまでの累計で、全庁の2割強にあたる27課の53業務にBizRobo!を導入。税、年金、職員の給与、市の事業に関わる情報の入力・更新・確認作業などを自動処理している。内製を開発委託に切り替えた後で導入したものが既に大半を占め、外部リソースを活用する方針が軌道に乗った形だ。
このうち教育委員会が所管する就学援助の認定作業では、紙による受付と市独自制度への対応のため煩雑な入力・参照作業が生じていた工程にBizRobo!を導入。Excelの対象者リスト上で申請者にチェックを入れると、ロボットが該当者の資料となる情報の集約や、判定結果のシステムへの反映などを自動で行うようになった。
タスクの大半は、あらかじめ割り当てた時間枠内で自動実行していることから「活用部署が広がっても、フローティングライセンスの範囲で余裕のある運用ができている」(丸谷氏)という。
導入効果年間6,460時間相当のリソースを創出
通常業務のほか、紙から電子への移行作業にも活用
同市がBizRobo!で創出した人的リソースは、年間6,460時間相当にのぼる。
このうち、高齢者の運賃を割引するバスカードの交付実績を管理する業務では、申請窓口である市内の郵便局から回収した申請書兼受領書をもとにシステムへ手入力していた工程でRPAとAI -OCRを併用。PDF化した用紙の文字認識と、必要事項のシステムへの転記が自動実行され、3人で最大3日がかりだった作業が1人1日で完了するようになった。
定期的な業務から生じる時間外勤務を大幅に削減し、同姓同名などに起因するヒューマンエラーの抑止につなげているだけでなく、単発の事務処理にもRPAが活用されており、新庁舎に移転した2023年には、従来紙で管理していた介護保険の被保険者情報、子ども医療費助成の受給者情報をスキャン後、電子保存する際のフォルダ分けなどに採用。行政のペーパーレス化推進に貢献した。
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CORPORATE PROFILE
- 社名
- 北海道旭川市
- 事業内容
- 官公庁・自治体
- ウェブサイト
- https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/
- 話を伺った方
- 行財政改革推進部 行政改革課 課長補佐
丸谷 寛子 氏
教育委員会 学校教育部 学務課 主査
佐川 祐喜 氏

- ここまでの内容に加えて下記を追加
「今後について」
「現場の声」 - 印刷用PDF(フルカラー)4ページ