BizRobo! Basic
BizRobo!への全面移行後にRPA内製が定着。
職員の支持を追い風に、行政DXを加速させる
Highlight
- RPAの運用拡大を視野に、2021年度からBizRobo!に移行
- 段階別の職員向け講習でスキルを向上し、内製化を達成
- 行政サービス充実に向け、ツール特性を生かし余力創出
パソコン上の定型作業を自動実行するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を2018年度に導入した秋田県庁は、運用規模を段階的に拡大できる製品への全面移行を決め、2021年度にオープン株式会社のクライアント型ツール「BizRobo! mini(ガバメントライセンス)」を採用。次年度には、一元的な統制のもと現場主導の開発運用が可能なサーバ型ツール「BizRobo! Basic」にアップグレードした。導入希望部署の担当者向け開発講習を通じて内製が定着し、庁内では2024年3月現在、41業務で稼働中のソフトウェアロボットが年間2,070時間相当の人的リソースを創出。帳票処理や情報共有といった通常業務の自動化に加え、突発的で膨大な事務処理などへの応用も浸透しつつあり、今後は全庁共通で利用できるロボットの普及などを通じ、導入効果の最大化を図る方針だ。
導入背景限られたリソースで行政を担うための業務効率化を推進
2018年以来のRPA活用をDX推進の一環に位置づけ
人口約91万人の秋田県で行政を担う秋田県庁は、知事部局のほか教育・警察などの部門を含め、職員およそ1万4,000人が従事する組織。デジタル・トランスフォーメーション(DX)の分野では、2022年に「秋田県DX推進計画」を策定し、県内企業、県民のデジタル化支援と並ぶ柱として「デジタル・ガバメント」の実現を掲げる。
そのための具体的施策の一つが、限られたリソースで行政サービス水準の維持・向上を図る「RPAやAI等の活用による業務の自動化・効率化」だ。
庁内では2018年度から、地元秋田市に本拠を置くエイデイケイ富士システム株式会社(ADF)の支援を得てRPAの業務利用に着手。行政専用のネットワーク環境であるLGWANに対応したクライアント型RPA製品を採用し、まずAI-OCRを併用して帳票類のデータ取り込みや事前チェックを自動化する用途で普及を進めた。
BizRobo!を
選んだ理由大規模運用も見据え、段階的に機能強化できる点を評価
一元管理・横展開に強いサーバ型への全面移行を達成
当初導入したRPAツールは、パソコン1台から使い始められるクライアント型ならではの用途を見いだし、一定の成果を挙げた。ただ一方では、開発実行環境を常に端末上に置く仕様上、個別環境に依存しやすく、管理統制の一元化や開発成果の横展開に課題があることも明らかになってきた。
庁内へのRPA導入推進を担うデジタル政策推進課は、一元的な統制のもと全庁的な活用を実現するにはクライアント型よりもサーバ型が適する点を踏まえ、サーバ型も選択可能な製品への変更を検討。その結果、サーバ型へ円滑にアップグレードでき、LGWAN接続にも対応するクライアント型RPA「BizRobo! mini(ガバメントライセンス) 」の導入を決め、2021年度から全面移行した。
実際に活用が順調に拡大したことを受けて、翌2022年9月にはサーバ型製品「BizRobo! Basic」へのライセンス変更に至っている。
対象業務知事部局、議会事務局などの41業務に導入
業務フローの自動化、組織間の情報共有などに貢献
41業務でロボットが稼働中の現在、知事部局は「補助金の申請受理から支払までのデータ入力・登録作業」や「本庁・児童相談所・複数の民間施設が共同で取り組む里親支援の最新情報を集約・共有する作業」などに利用。議会事務局は、新品種の米に関連して全国から通常の約千倍(5,883件)の意見が寄せられたのを機に、それらの集約に応用している。
デジタル政策推進課が精査した庁内各所の導入希望をもとに、開発をADFに依頼する形で始まったRPA活用は、2022年度から職員向け講習を本格化。現在は原則として導入部署が自ら開発し、同課は実行環境の管理などを担う。
開発スキルを学んだ職員が、担当業務の中から自動化可能なタスクを切り出し、翌年度の受講時に完成させるサイクルも生まれ、活用の技術水準は年々着実に向上している。
補助金交付に係る会計事務や起案作業
導入効果年2,070時間相当のリソースを創出
数あるDXツールの中、職員の圧倒的関心を獲得
秋田県庁で稼働中のRPAによる代替で解消・削減できた職員の作業負担は、2024年3月時点で年間2,070時間相当に達している。
こうしたリソース創出効果は、移行後3年を経たBizRobo!の開発運用に職員が習熟し、より短期間に・高い効果が見込める開発を進めた結果、直近2年で倍以上に増加。一度の開発で年200時間の効率化を達成する職員も現れている。
デジタル政策推進課主査の熊谷善仁氏によると、DX関連の多様なツールを検討・導入する中でも、とりわけBizRobo!は「職員の関心が圧倒的に高く、庁内からの問い合わせが相次いでいる」という。
これは、画面上で自動処理の様子が分かるBizRobo!は活用のメリットを誰でも直感的に理解しやすい上、ITリテラシーがある職員にとっても「複数ソフトにまたがるタスクの自動処理」など、マクロでは難しかった効率化が可能になるためだという。
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CORPORATE PROFILE
- 社名
- 秋田県
- 事業内容
- 地方公共団体
- ウェブサイト
- https://www.pref.akita.lg.jp/
- 話を伺った方
- 企画振興部 デジタル政策推進課 主査
熊谷 善仁 氏
同課 主事
森川 麻実 氏
- ここまでの内容に加えて下記を追加
「今後について」
「現場の声」 - 印刷用PDF(フルカラー)4ページ