広島市

膨大な申請書類の処理作業にRPAを導入し業務を効率化。「職員でなければできない仕事」に注力できる環境を実現

Highlight

  • 行政サービス拡大に伴い増大する書類の入力などの定型業務の負担軽減にRPAを導入
  • 作業ごとの負担が軽減し、職員でなければできない仕事に注力できるように
  • 今後は内製化や社内の人材育成にも力を入れる

広島県の県庁所在地であり、人口約119万人を有する広島市では、BizRobo!パートナー企業の株式会社エネルギア・コミュニケーションズ(エネコム)がBizRobo!のOEM製品として展開する「EneRobo(エネロボ)」を活用している。

市ではコスト削減に取り組む一方、少子高齢化などによる行政サービスの必要性が拡大しており、いかに定型業務を減らして企画立案などの「職員でなければできない仕事」に時間を増やせるかが課題となっていた。そんな中、RPAとOCR(自動文字認識システム)の活用が候補に挙がり、研修制度やトラブル発生時のサポートといった支援体制などを重視し、EneRoboの導入を決めた。

現在は13業務で20体が稼働しており、主な対象業務は書類の入力作業の自動化。時間削減効果のみならず、間違いがないよう神経を使って入力していた作業をEneRoboで効率化することで、職員の精神的・身体的な負担感も軽減した。また、今後さらなるEneRoboの活用によって、職員が余裕を持って市民対応を行える、空いた時間で新たなサービスの企画立案を行えるといった効果も期待されている。今後はロボットの作成を内製化し、維持管理ができる人材の育成と仕組みの構築を目指す。

導入背景コスト削減と行政サービス拡大を背景に、既存のやり方を見直しRPA導入を検討

効率化を進め「職員でなければできない仕事」へ注力できる環境構築を目指す

役所窓口を訪れる住民への対応、税金や福祉、公共事業にまつわる業務など、市の仕事内容は幅広い。近年、広島市では行財政改革の一環としてコスト削減に取り組んできたが、その一方で少子・高齢化などの社会情勢の変化にともない、行政サービスは拡大し続けていた。これにより、市の運営や住民とのつながりなどの知見を持った職員が事務作業などの定型的な業務に時間をとられ、新たな事業の企画・立案など「職員でなければできない仕事」に注力できないという課題があった。

課題解決の手段として挙がったのが、RPAとOCRを組み合わせたソリューションの活用だ。これらのツールを導入することで、既存のやり方を見直し、業務効率化を進めていくことはできないか。こうした仮説のもと、行政経営の効率化・最適化などを担う企画総務局行政経営部行政経営課が主導となり、導入の検討をはじめた。

広島市

BizRobo!を
選んだ理由
公募型プロポーザル方式により導入

広島市

継続的な運用のため支援体制や研修制度も重視

導入するRPAツールの選定にあたっては導入後の支援体制などを重視した。継続的に業務の効率化を図るためには、人材育成および管理体制の構築が鍵となる。そのためには、充実した研修制度や具体的な運用体制の構築支援が必要と考えた。また、複数のロボットを並行稼働できるかどうか、ロボット数が増加した場合であってもライセンス料が変わらない点なども判断基準となった。

導入後の充実した支援体制や運用面などから、同市ではBizRobo!パートナー企業の株式会社エネルギア・コミュニケーションズ(エネコム)が展開するBizRobo!のOEM製品「EneRobo」の導入を2019年度に決定した。

導入を進めた行政経営課の笹山健太郎氏は、「RPAへの職員ひとりひとりの知識はまだ十分ではないと感じていました」と話す。そこでEneRoboで導入では、まずエネコムによる基礎的な知識の研修を全庁向けに実施した。

「研修によって、職員がどのような担当業務にEneRoboを導入可能か検討できるようになったと感じます。その上で、各部署から導入したい業務の提案があれば、より踏み込んだ研修を行っていただいています」(笹山氏)

段階的で充実した研修制度が、職員の理解促進につながっているようだ。

対象業務時間削減効果の高いものからRPA化に着手、現場の意識向上につなげる

人が無意識に判断している定型業務を細かく洗い出し、綿密にRPA化を進める

まずは時間削減効果が高く、現場からの要望の声が大きいものから優先して導入を進めた。高い効果が見込める業務に優先して導入することで、現場のモチベーション向上やさらなる導入提案につながると考えたためだ。

導入にあたっては、各部署からのRPA化の要望・提案を受けた上で①導入業務のヒアリング、②自動化箇所の明確化、③ロボット作成・帳票設計、④検証、⑤本番運用といったプロセスを踏む。中でも導入業務のヒアリングを重視した。定型業務には人が無意識に判断しているものも多く、こうした判断をすべてRPA化するのはなかなか難しい。そこで、複数回のヒアリングや業務内容を細かく書き出すなど綿密に進め、また検証時に導入部署の協力を得ながらエラー修正を行うことで、精度の高いRPA化を実現した。

現在EneRoboが活躍している業務の一つが、介護保険高額介護サービス費等支給申請書の情報登録業務だ。市民からの申請書に記載されている口座番号等の情報を業務システムに入力する。これまでは申請者から提出された書類を職員がすべてPCで手入力していた上、作業中に電話や窓口対応も行っていたため中断することも多く、手戻りの原因となっていた。EneRobo導入により、OCRで書類を読み取り、そのデータを人の目で確認・修正し追加情報がある場合は記入した上で、ロボットがOCR読み取り結果・追加データ等をシステムにアップするようにしたことで、作業時間が短縮した。

導入効果集中力を要する入力作業のRPA化により、職員の精神的・身体的疲労感が軽減

広島市

創出した時間で既存サービス向上や新たな市民サービスの提供

こうした入力作業は間違いがないよう集中して行うため、数十件あると職員の精神的・身体的疲労感は大きい。RPA化によって、こうした負担は大きく軽減する。笹山氏によれば「100件を超えるようなまとめて入力が必要な業務に関しては、特に効果が高い」という。ごく少量の入力であれば職員が作業した方が早いが、膨大な作業の場合はRPAを活用すると効率的といったように、特性を意識した活用が進んでいる。実際に現場でEneRoboを使用している広島市南区役所厚生部の花房菜々子氏も、「使用しながら改善を重ね、現在はEneRoboにより手入力時よりも一作業にかかる時間が短縮しています。その時間に他の作業に注力できるようになりました」と話す。

現在は13業務で20体のロボットが稼働中。さらに、導入して満足するのではなく、「よりスムーズに修正を含め進められるようにしたい」と新たな改善点を見つけるほど積極的に活用している。笹山氏は「RPAとOCRを組み合わせた定型業務の自動化のソリューションで、業務効率化を実現できた。これからも活用をさらに進め、創出された時間を既存サービスの向上や新たな市民サービスの提供にあてたい」と意気込む。

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CORPORATE PROFILE

社名
広島市
事業内容
地域住民へのあらゆるサポート、および地域活性化のための業務
ウェブサイト
https://www.city.hiroshima.lg.jp
話を伺った方
企画総務局 行政経営部 行政経営課 主事 笹山 健太郎 氏など
  • ここまでの内容に加えて下記を追加
    「今後について」
    「現場の声」
  • 印刷用PDF(フルカラー)4ページ

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