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決め手は同時接続も可能な“拡張性”。RPA活用で多様化する市民のニーズに対応できる自治体へ
Highlight
- 職員による事務作業の省力化を図るべく、RPAツールの実証実験を実施
- 実証実験によって3業務合計で160時間超の時間削減効果を確認
- 今後の全庁導入・全庁稼働に向けてRPA活用の適用範囲を拡大させている
「いつまでも 住み続けたい サスティナブル健康都市おおぶ」。そんな将来都市像を掲げる愛知県大府市では、かねてから職員の業務省力化、そして働き方改革がたびたび課題として持ち上がっていた。そうした折、2019年2〜3月にかけてRPAツールの実証実験を実施。このときに採用したのが、ソフトバンク株式会社がBizRobo!をベースに開発したRPAソリューション「SynchRoid(シンクロイド)」だ。この実証実験で試作開発した3体のロボットによって大きな時間削減効果を得たことから、2019年度に実施した公募型プロポーザルを経て、現在は本格的な導入・稼働を進行中。今後は全庁導入・全庁展開を見据えている。
導入背景時間外労働や職員の負担軽減のため、事務作業の省力化が課題に
RPAの全庁導入・全庁展開に向けた実証実験を実施
大府市では日頃の膨大な作業量から職員の時間外労働が常態化し、かねてより事務方の業務省力化が課題として持ち上がっていた。作業効率化を図りITシステムの導入もたびたび検討されていたものの、導入コストが大きな懸念材料となり、なかなか進まずにいたという。
「すでに主だった業務へのシステム導入は済んでいたので、とりわけ細かな業務に関してシステムを入れるとなると、費用対効果の面で疑問が残りました。そんななか、ここ数年の間でよく耳にするようになっていたRPAは、我々にとってまさしく“渡りに船”だったわけです」(総務部総務課情報システム係総括係長・新美清和氏)
そこでRPA導入を検討するにあたり、2019年2月18日から3月15日にかけて実証実験を実施。実証実験は、後に「将来に向けた『持続可能なまちづくり』を目指し、ICT(情報通信技術)の活用による社会課題の解決、地域の活性化及び市民サービスの向上に寄与すること」を目的とした「ICTの活用による持続可能なまちづくりに関する包括連携協定」を締結したソフトバンク株式会社の協力を得て進めた。
BizRobo!を
選んだ理由複数クライアントの同時接続が可能で、ロボットの管理がしやすい
操作性、価格面等でツール選定、拡張性の高さが決め手に
実証実験では、ソフトバンクがBizRobo!をベースに独自開発したRPAソリューション「SynchRoid(シンクロイド)」を採用した。実証実験の結果「RPA活用による作業効率化の効果は非常に高いと判明した」と新美氏は振り返る。同年5月には公募型プロポーザル(企画提案により業者を選定する入札方式)による業者選定が行われ、優先交渉権者をソフトバンクが獲得した。
プロポーザルではツールの操作性、価格面等を評価対象に、導入ツールを選定した。改めてSynchRoidが特に優れていると感じた点は“拡張性”の高さだったという。
「我々にとって全庁導入・全庁展開は最大のミッション。その点SynchRoidはサーバ型で、複数クライアントの同時接続も可能なためロボットを作成・稼働する場所に制限がなく、タイムスケジュール管理さえしっかりしておけば、さまざまな場所でロボットを使用できます。これは掛けているコスト以上に効果が上がるということ。また、他社の事例ではロボットが増えると管理者不在の“野良ロボット”が発生してしまうケースがあるそうですが、SynchRoidなら作成したロボットの管理もしやすいと考えています」(新美氏)
※BizRobo!のOEM製品である『SynchRoid』を選定しご利用中
対象業務3業務を対象にロボットを開発、税務課一部業務の80%超を削減
単純なミスの発生や窓口対応などによる作業の中断も解消
2〜3月の実証実験では、事務作業を抱えがちな部門へのヒアリングの結果、適用対象となり得る業務として47業務が候補に挙がった。新美氏らはソフトバンクによる研修を受け、技術的なサポートを得ながら、このうち3業務を対象にロボットを試作・開発した。
特に大きな効果が見込まれたのは、税務課の「特別徴収 異動届出書の入力業務」だ。同業務は「住民税の特別徴収を行う事業所から退職・転職・就職等に伴う異動届出書が提出されるたび、複数のシステムに手入力を行う」というもの。テストケースでは60分かかっていた作業が、81.7%減となる11分間に短縮された。さらに、年間算出では147時間の業務が削減できる見込みだという。今後はAI-OCRなど新たな技術を活用した業務効率化ツールとの連携も検討している。
「入力作業の効率化だけでなく、単純な入力ミスなどもなくなります。従来業務では窓口対応でたびたび作業が中断していましたが、SynchRoid導入によって処理の流れを止めることもなくなり、市民の皆様にもその効果を還元できるのではないかと考えています」(新美氏)
導入効果3業務の年間削減効果は総計で160時間超
総務課主導のもと適用範囲を拡大中
実証実験では高齢障がい支援課の「要介護者データ処理・手紙作成業務」、保険医療課の「年金特徴開始通知作成業務」でも時間削減効果が見込まれ、対象となった3業務トータルでの年間削減効果は160時間超に達した。
本格導入を進める2019年度からは、総務課の全メンバーがロボット作成を担当し、対象部門への要望調査・ヒアリング、開発検討、業務フローの整理、ロボット作成等を全般的に行う体制を整えた。RPAの導入を進めるなかで、多くの部門で事務フローを見直す習慣ができ、実際に作業をロボットに代替するかに関わらず、現場が業務改善を図れると気づく副次的効果も得たという。
2019年度に総務課情報システム係へ異動してきた太田茉知氏は、もともと在籍していた福祉子ども部子育て支援課の一部業務をロボットに代替しようと考えている。「児童手当法施行規則の一部改定に伴って、児童手当更新時の添付書類がなくなり、子育て支援課員によるシステムの情報照会が必要になります。その数は約8,000件、それも年に一度集中して発生します。これら受給者の読み取りから入力・保存までをロボット化する予定です。1件あたり平均5分かかる作業がいっきに省力化されると見込んでいます」(太田氏)
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CORPORATE PROFILE
- 社名
- 愛知県 大府市
- 事業内容
- 地方公共団体
- ウェブサイト
- https://www.city.obu.aichi.jp
- 話を伺った方
- 総務部 総務課 情報システム係 総括係長等
- ここまでの内容に加えて下記を追加
「今後について」
「現場の声」 - 印刷用PDF(フルカラー)4ページ