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デジタルレイバーグランプリ2023 東海・関西大会 開催レポート ①

8月23日(水)に愛知県名古屋市で、「デジタルレイバーグランプリ2023」の東海・関西大会が開催されました。 本日は大会の様子をレポート形式でお届けします。(第1回/全4回)

■東海・関西大会 概要 
開催日時:8月23日(水)【午前の部】11:00~13:15 【午後の部】15:00~17:20 ※懇親会除く 
会場:TKP名鉄名古屋駅カンファレンスセンター 9N 
登壇者【午前の部】:株式会社シイエム・シイ 執行役員 能川 昌久 様 
          株式会社ユニホー 鈴木 誠也 様 
          医療法人社団たいようのき 木村 卓二 様 
          製造系企業様① ※情報公開不可のためレポート非公開となります 
登壇者【午後の部】:株式会社KYOSO 吉田 聡子 様 
          株式会社サンゲツ 石田 義博様、櫻井 祐輔 様 
          製造系企業様② ※情報公開不可のためレポート非公開となります 
          株式会社アイ・シー・シー 宮島 宏幸 様 
審査員:RPAテクノロジーズ株式会社 代表取締役 執行役員社長 大角 暢之 
    株式会社すきまデザイン 代表 渡辺 さき 様 
    会場オーディエンスの皆様 

来賓:ソフトバンク株式会社 法人事業統括 カスタマーサクセス本部 本部長 兼 法人プロダクト&事業戦略本部 副本部長 上永吉 聡志 様 
   ソフトバンク株式会社 法人事業統括 法人マーケティング本部 本部長 上野 邦彦 様 ※午後のみ 

■各社発表
①株式会社シイエム・シイ 能川 昌久 様 
「シニアリスキリング賞」を受賞! 

●会社・自己紹介
株式会社シイエム・シイは、BizRobo!のユーザーであり、またパートナーとして拡販も担っています。この場にいらっしゃる皆様とリアルでお会いするのは本当に久しぶりなのですが、大半の方がコロナ前からお付き合いのある皆様で、共にやってきた仲間ということで、非常に嬉しく、また感動しています。今日は「心を動かす」というタイトルで話をします。何か審査をしてもらうということより、私の想いを忌憚なく話します。 

私は5年前、RPAテクノロジーズに在籍をしておりました。3年半ほどおりまして、いろいろな経験する中で今日いらっしゃる方との出会いがありました。その中で当時BizRobo! のユーザー兼パートナーであり、!(びっくり)センターを立ち上げたシイエム・シイに縁があり、2021年9月から在籍しています。 

私がやっていることは当時からあまり変わっておらず、シイエム・シイグループで行っているDX商材の責任者、もちろんBizRobo!も取り扱っています。それから営業統括という立場で仕事をしています。 

シイエム・シイは、創業60周年を迎えた地元で長く続けている会社です。事業としては、自動車の技術マニュアル、愛知県名古屋市に本社がありますので、大手自動車メーカーさん車のダッシュボードに入っているマニュアル(取扱説明書)を50年作り続けています。日本車に加えて、海外にも車を輸出しているので、何十カ国語の言語でマニュアルを作って印刷をして納品しています。こうした車の部品の一部を担ってきた会社です。 

商品のマニュアルは、当然ながら商品に精通していなければ作れませんので、そのノウハウをしっかりと貯めている。作る工程にも入っていきますので、そういったノウハウや経験が、業務標準化や人材の教育といったところにつながっています。今、我々はモノ作りからコト作りというところでDXに取り組んでいます。グループ会社についても少し紹介しますと、一番皆さんと関わりがあるところでは、株式会社メインが2020年に!(びっくり)センター名古屋を立ち上げています。その他にもシステム会社やAI系の会社とも司法業務提携をして、DXを強力に進める体制がようやく整ってきたところです。 

●BizRobo!導入の背景
それではこのシイエム・シイグループにBizRobo!を導入した当時、2018年の話をします。約5年前になりますけれども、その頃シイエム・シイの中ではどういう風に見られていたかというと、「WinActorでやるのではなかったのか」「BizRobo!は難しい」「毎年推進・開発担当者が変わってしまう」「!センターって何?」「RPAテクノロジーズの能川って何者?」といった疑義が出ていたようです。 

こうした意見がその後どうなったかというと「BizRobo!は安定する」という印象に変わりました。これはやはり、体感するからわかることなんです。現在ではロボットの開発経験者は150名を超え、200名に迫るまでに増えていますし、基幹システムとしてOBICを使っているグループ5社がBizRobo!を使っています。そして昨年は「BizRobo! USER!! AWARD 2022」を受賞しました。このように少しずつではありますが、変化が起こっています。 

それではBizRobo!をデジタルレイバーという言葉に変えた場合に何が起こったか。結論を先に言います。1つ目はPDCAに加えて、我々は「SDCA」サイクルにチャレンジし、それが有効であると考えています。 

2つ目は先ほどマニュアルを作っていると言いましたけれど、そういった会社ならではの新たな商材が、このデジタルレイバーをきっかけに誕生しました。 

それから今日私が一番言いたいのが、今流行りのリスキリングが成功したということです。 

この3点がどういった歩みで実現に至ったのか、もう少し詳しく紹介します。 

まず背景として、2018年頃にM&A戦略によってグループ会社がどんどん増えていきました。その中で、管理システム(総務・経理・人事)の統合の必要性や、バックオフィス業務の負担増といった課題が生じました。そうしたタイミングで私、RPAテクノロジーズの能川からRPAというソリューションを提案し、4ヶ月後にBizRobo! Basicの導入が決定しました。当時は推進者兼開発者1名という体制によるスモールスタートでした。 

そして本番導入後に、1年をかけて諸々のルールや基盤を作りました。この間、ロボットの運用は0です。時間をかけて準備をして、その中でまずRPA事務局という組織が発足しました。その後にRPA推進室という形で部門化をし、開発が加速したというのが現状です。 

推進体制は、ハイブリッド型で行っています。RPA推進室という塊がありますから、そこと現場の部署で開発しています。ちょっと変わっているのは、一番下に部門が30ぐらいありますけれど、その全てに推進担当と開発担当を最低1名ずつ置いています。この体制を維持しながら、丸3年経過しています。 

また、セキュリティ関係でISP事務局、内部監査室、システム監査室という部署が元々ありますので、ロボット運用を行う時にセキュリティ事故等が発生しないように連携しながら進めています。 

●デジタルレイバー成功モデル醸成の過程 
続いてデジタルレイバーの成功モデル醸成についてお話しします。先程準備に1年かかりましたと言いましたが、2018年9月、導入当初にBizRobo!の導入研修を行い、20名ほど受講しました。そしてエンジニアを2~3名送り込んで、伴走支援を行いました。ただこの時は、RPAを意識しすぎてうまくいきませんでした。何があったかったかというと、強烈なトップダウンでBizRobo!導入を決めましたが、もともと現場ではWinActor導入の話がありましたので混乱を起こしていました。そしてシイエム・シイは本来、業務標準化を行う会社であるはずなのに、RPA用の業務を探しにいってしまう、とにかく結果が欲しかった。こうしたことから3か月ほど停滞してしまいました。 

そして2019年になり、この状況をどうやって改善するべきかを話し合いました。その結果、シイエム・シイならではのやりかたがあるのではないかということで、業務標準を作ろうということになりました。ガイドライン、開発の仕様書、定期的な報告・共有会などですね。こういったものをしっかり作って、ロボットの対象業務から開発・運用の進め方を変えていくわけですけれども、この段階で僕が当時、RPAテクノロジーズの営業としてすごく困ったのが、RPAの適用業務をしっかり選定しませんという話がでました。それは今であれば正解なんですけれども、DXの本質である業務棚卸しを行い、業務を標準化する、そのうえでデジタルレイバーが必要であれば、RPAを手段として使うといった形でやりたいということでリスタートしました。そこから結果として、先ほど申し上げたとおり、シイエム・シイが得意な標準化のところ、SDCAという手法を取り入れて、結果としてRPAで効率化できました。 

そしてプラスアルファで当社が持っているマニュアル、手順化のノウハウを使って、しっかり手の内化する。そして当社の新たな商材「KAIZEN FARM」がこの流れの中で誕生しました。もう少し具体的に申し上げますと、棚卸しをして業務標準を作り、マニュアルを作って手の内化をする。当然その中で、RPA=デジタルレイバーが適用できる範囲があります。そこで効率化ができます。 

しかしその過程で、私も経験してきていますけれど、いろんなRPAを作っていくと、当然BizRobo!の中にシナリオが入っていますから、「見れば分かるじゃん」と開発の方は簡単に言います。けれどもしロボットが止まってしまったら、やっぱり困ります。当然、人がやることもありますし、戻さなきゃいけない工程もあります。ですので僕らは、マニュアル作りを必ずロボット開発とセットにしています。なのでロボットが、デジタルレイバーが動く領域と、人が前後やる工程、全てを手の内化する。そういった形でリスケジュールするというやり方をとりました。そういったところから、業務をしっかり棚卸ししようというところで「KAIZEN FARM」いう新たな商材が生まれています。それで、SDCAって何だっていうことですが、「Standardize」ということで、まずはしっかり標準化をし、その中で効率化をし、BizRobo!という手段が良ければデジタルレイバーに働いてもらい、その中で教育・伴走支援・OJTといろいろなことをやりながら、最後はマニュアル化をして回していく。こういったサイクルがシイエム・シイとしては非常に合っていたというところで、成功モデルにしています。 

●BizRobo!活用によるHuman Transformationの芽生え 
RPA活用の実績としては、開発者が150名、開発したロボットは221体、このうち運用しているのは167体です。システムの変更・更新によって減った部分もありますが、共通化によって減らしたところもあります。最初は共通化がうまくできなかったので、手当たり次第とまではいきませんが、標準化しながらどんどん作っていくというスタイルでした。しかしその中で、これとこれは共通化できるんじゃないかという形で減らしていきました。そして基幹システム「OBIC」関連は60体という形になっています。 

それでは今日一番言いたい、誰がこれをやってきたかを紹介します。当社の上原 幸司という人間が、5年間一生懸命やっています。私が初めて会ったときは55歳、役職定年になったばかりで、次に何をしようかと悩んでいたタイミングでした。自分から手を挙げて、プログラミング経験はないけれどもイチからやってみたいと、BizRobo!を学んで、BizRobo! CAMPにも登壇しています。そんな上原さんですが、60歳になって2023年1月に定年を迎えました。ただ、今も嘱託社員として引き続きRPA推進のリーダーをやっています。 

大角さんの前で語るのは憚られますが、あえて「真のLX(Local Transformation)」と言うならば、上原さんが当社でリスキリングに成功し、その中で本日の講演タイトルでもある「心を動かす」というところで「オレもできそう、ワタシもできるんじゃないか」という声が出てきています。ただこれは、デジタルレイバーに限らないんです。デジタレイバーができる、できないではなくて、チャレンジをするという意欲。そういった心があちこちに芽生えてきています。そういったところで、HX(Human Transformation)というものが当社の中で動きつつあります。どんどん変わっていこう、チャレンジしようという意欲が、LXの実現につながっていくのではないかと思います。 

この後ユニホーさんも登壇されますけれど、私の周辺で、今日いらっしゃる皆さんも含めて、この5年間でスター呼べる人たちが増えていて非常に嬉しいなと思っています。 

シイエム・シイグループとしては、名古屋・東海に本社を置いておりますので、ここにいる皆様とLXを実現したいなと心の底から思っていますし、そんな難しい言葉よりも、私の思いとしては「ガンバレ!ニッポン!」なのかなと思っています。月並みな言葉ではありますけれど、私が生まれる前、高度成長期の強い日本、これを私どもの世代もですし、若い世代もですし、そしてもっと下の子供たちの世代にどう繋いでいくか。そういったものを、デジタルレイバーをひとつのきっかけとして紡いでいけたらなと考えています。