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RPA導入成功のカギを握る「ガバナンス整備」

■作業者から管理者へ。業務の自動化で変わる人間の役割

ホワイトカラー労働者の定型業務を自動化するRPAは24時間・365日休まず稼働し、人間を圧倒的に上回る正確性・高速性でタスクを処理できるツールです。とはいえ「人間がする仕事がなくなってしまう」という不安、あるいは「すべて任せて楽になれる」という過度の楽観は、いずれも正しくありません。なぜなら、RPAという「デジタルレイバー」を現場で活用するためには、彼らに仕事を教え、ミスをサポートする「上司」が不可欠であり、この役割を担えるのは人間だけだからです。RPAの導入を機に、そこへ携わる人の業務が「作業」から「管理」に変化すると言ってもよいでしょう。

RPAの上司、あるいは同僚である人間が、導入およびその後の運用においてどのような管理を行うべきかという「ガバナンス構築」の問題では、典型的ないくつかのリスクが想定されています。以下では、これらのリスクを個別に採り上げるとともに、自動化を成功に導くための方策を示します。

 -まずRPAの導入から運用のポイントが知りたい方はこちらから

■RPAの管理者が想定すべき「5つのリスク」

RPAによる業務の自動化を始めるにあたって管理者が想定しなければならないリスクとしては、大まかに①連携する既存システムとの不整合 ②誤処理の見過ごし ③不具合時の業務停止 ④不正使用による情報漏えい ⑤管理者交代による「ブラックボックス化」、の5つが挙げられます。

【①連携する既存システムとの不整合】
既存の業務プロセスの代替として導入されるRPAは多くの場合、導入企業の基幹システムやWebサービスなどと連携することとなります。従って、これらの連携先に変更が生じた場合にRPAの対応が遅れると、処理が滞ったり、誤作動を引き起こしたりといったトラブルを招くことになります。

【②誤処理の見過ごし】
基本的にRPAは定型業務の処理を担うため、例外的な処理は人手によって補完する必要があります。ところがRPAの設計で例外処理の対策に漏れがあった場合は、例外処理の担当人員を配置していたとしても、その担当者が気づかないところでRPAが誤った処理をし続ける可能性があります。また誤処理に気づけた場合でも、本来あるべき業務プロセスを把握していなければ、適切な処理をやり直すことができない事態も起こりえます。

【③不具合時の業務停止】
ある業務処理を全面的に、あるいは大部分でRPAに置き換える場合、自然災害やシステム障害によってRPAが停止したときのバックアップ体制が課題となります。この点の不備は業務停止に直結しかねないため、特に大きなリスクといえるでしょう。

【④不正使用による情報漏えい】
機密情報や個人情報を扱う業務にRPAを導入する場合は、万一RPAに対する不正なアクセスを許すと、情報漏えいや意図的な誤処理といった被害の発生につながります。

【⑤管理者交代による「ブラックボックス化」】
人手による業務からRPAへの移行作業や、その後の運用を担当した人が異動・退職した場合、後任の担当者がRPAの業務フローを理解できない「ブラックボックス化」が生じ、将来的な業務プロセスの改善が困難となるおそれがあります。

■リスクに備える管理体制

企業がRPAを導入するにあたっては、上で挙げた各リスクに備える体制を社内に構築する必要があります。ここでポイントとなるのは「導入部門と情報システム部門の連携」、そして「業務プロセスの文書化」です。

前者に関連する事情としては、RPAの導入プロジェクトにおける導入先の部門と情報システム部門がいずれも当事者であることに加え、トップダウンで進めるケースを除くと両部門のいずれかがプロジェクトの主導役になることが挙げられます。こうした点からすると、両部門の連携は基本中の基本ともいえますが、実際にそれが緊密であるほど、不正アクセスへの対策はより強固なものとなり(上記④のリスクに対応)、かつRPAの連携先に関する情報を常時更新して整合性を保つことも容易になります(同①のリスクに対応)。

後者についてみると、業務プロセスの文書化は、RPAを導入する初期段階に対象業務を切り出す目的でも行われています。しかし、一見非常に単純な業務においてさえ、従来それを担っていた本人も自覚しないまま複雑多岐にわたる例外処理をしていることが珍しくありません。業務プロセスの全貌を常に把握し、細部にいたるまで正確な内容を記録しておくことは、思いがけない誤処理が生じた際の修正や人手による応急処置を迅速に行う上で、きわめて重要といえます(上記②③のリスクに対応)。さらに、そうした正確な現状把握をベースにすることで、より実態に即した形にRPAをアップデートすることも可能となります(上記⑤のリスクに対応)。

こうした管理体制の構築は多くの場合、RPAの導入に併せたタイミングで集中的に実施されています。しかしRPAは、変化が激しい業務環境にも対応しうるカスタマイズ性を本来的な強みとしており、導入した後も当初の構成にとどまらず、細かなチューニングや周辺業務への適用拡大を行うことを想定したツールです。従って、そうしたRPAの変化を反映するための管理体制のアップデートは、導入した後も常に欠かせないという認識が欠かせません。さらに運用開始から一定の期間が経過した後は、各所で最適化を図ったカスタマイズが相互に干渉や重複を起こしていないか確認し、全体最適に向けた統合調整を進めることも忘れてはなりません。

■自動化そのものより「業務改革」の姿勢が重要

冒頭でも触れたとおり、従来人手で行っていた定型作業へのRPAの導入は、爆発的ともいえる業務改善の可能性を秘めています。プログラミングの知識は不要でPC上での操作も容易なことから導入自体のハードルは低く、日本国内においても普及のスピードは加速の一途にあります。

RPA自体の技術的な難易度がさほど高くないだけに、その導入と運用は、同時に行う「業務改革」の方法いかんで成否が決まると言ってよいでしょう。自動化に伴う変化で生じるリスクを慎重に見極め、関係部署が緊密に連携しながら、運用フェーズごとのルールを絶えず見直していく姿勢が重要です。

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