RPAもリモートワークも「目的」にしてはいけない! withコロナ時代の働き方を考える―GMOクリック証券 古澤さんに聞いてみた

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、可能な限り人との接触を避けて感染を防止するために、社会全体が外出自粛や休業などの対応を講じています 。BizRobo!ユーザー企業の皆さんは、この非常事態にどのような対策を取られているのでしょうか。今回は早くからリモートワークに取り組んでいたGMOクリック証券株式会社 経営企画部 弁護士 古澤和也さん(BizRobo!FamiyAward2019スケール化エバンジェリスト)に“withコロナ時代”の働き方についてお話を伺いました。(聞き手:RPAテクノロジーズ株式会社・吉岡直哉)

ロボットに“マッチョさ”は求めるな。シンプルさこそBizRobo!の真価

御社のBizRobo!活用の取り組みについては以前、部署横断的な業務改革プロジェクト活動として取材させていただきましたね。その後の活用状況はいかがですか?
その後も、幅広い業務でBizRobo!を活用させていただいています。当社はGMOフィナンシャルホールディングスの連結子会社ですが、BizRobo!の活用は他の子会社にも徐々に拡がっております。
素晴らしいですね。改めてお伺いしたいのですが、今振り返ってBizRobo!を選んでよかったところ、また社内にRPAを定着させるにあたってのポイントがあれば教えてください。
このRPAを用いた業務改革プロジェクトは、部署横断的な取り組みとしてスタートしています。改善活動を一過性のものにせず組織として定着させるために、ユーザーにとって業務改善やその手段であるRPAを身近なものにしたい。RPA導入の合目的的な行動指針から考えても、導入ツールは極力シンプルなものを選びたかったんです。だからBizRobo!のユーザーフレンドリーさが、選定ポイントとして大きかったと思います。
ありがとうございます。
あとは「BizRobo!という特定ツールだから業務自動化を実現できた」というように、業務継続の可否を導入ツールに依存してしまう状態はどうしても避けたかったんです。あくまでRPAは私たちが働くうえで非効率な業務による拘束を解いていく業務改善のための“手段”に過ぎませんから。実際、改善手法としてBizRobo!以外の手段も用意し、案件ごとに提案しました。
導入ツールへの依存性を低く設計することも、RPA活用では重要だった?
はい。ただBizRobo!を導入してみて感じたのは、管理・保守がしやすいこと。すなわち、いくつかの対象業務においてオペレーション改善をしていくと、ある程度、業務内容を決まったブロック同士でくっつけていけるようになります。このように、類型化された作業ステップにまとめてサーバに上げておけば、後々過去に作った作業ステップを使い回せるようになる。その点はとても助かりましたね。
つくづく思うのは、御社の大石さんが作成していた

【ロボット10カ条】

の中にもあるようにロボットに“マッチョさ”を求めていてはだめだということ。開発、管理・保守いずれのフェーズにおいても、ユーザーが極力シンプルに携われることが大切です。そのプロセスを重ねていったときこそ、BizRobo!の真価が活かせると思います。

収束後にもとの状態に戻るかアジャストするかが、withコロナ時代の働き方のカギ

日本では新型コロナウイルスの流行に伴い、政府が緊急事態宣言を出しました。巷ではコロナの影響でRPAプロジェクトが止まったというような話もちらほら聞きますが、御社では緊急事態宣言が出された4月7日以降、リモートでも新たにロボットを開発してますか?
新型コロナウイルス感染症の流行が世界的な出来事だったこともあり、想定以上に業務ボリュームが跳ね上がった部門がありました。入金処理に関わる業務など、プロジェクト発足当時のヒアリングでは挙がらなかった業務について、リモート対応や新型コロナウイルスの影響を受けた社会の動きによって一気に作業が頻出したことから、新たにロボットを開発しました。
ある案件では、業務の担当者から相談を受けた際に、業務内容と改善要望についてヒアリングを行って全体像をつかみ、後はチャットで会話をしながら開発を行いました。サーバへのアクセスに関しては、当社はもとから個人情報を取り扱っていますから、リモート環境下でもローカルにはいっさい情報を落とさず、シンクライアント経由でBizRobo!開発環境にアクセスしています。
今回の件をきっかけに新たなテクノロジーに対してフォーカスが当たったところもありましたか。
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、GMOインターネットグループにおいては印鑑の完全廃止や電子契約の更なる利用推進の方針を打ち出すなどしていますが、やはり現場レベルでも画像処理やペーパーレス化にかかるような業務について、RPAとOCRを組み合わせた「BizRobo! Document」などのニーズが高まっているように感じます。
巷ではコロナが落ち着いた“後”の世界について「Afterコロナの働き方はどうなる?」「Withコロナの時代をどう生きるか?」と、さまざまな論議が起きています。私は不可逆的な環境変化にテクノロジーを活用して適合していくしかないと思ってますが、古澤さんはその点についてどうお考えですか?
ペーパーレス化にしてもそうなのですが、一連の業務改革は「コロナ騒動があったから」「緊急性が増したから」着手するというものではなく、企業としてより成長していくために講じるべき「いずれにしても手をつけなければいけない課題」なのだと思います。もちろんコロナが早く収束してくれることが一番ですが、「出社できるようになったのだから、今までのやり方に戻そう」というものではありません。
まったくその通りですね。
緊急事態宣言が解かれて新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた後、もとの状態に戻ってしまうのか。それとも、この経験を機に仕事のやり方をアジャストしながら一層の業務改革を推進していくのか。どちらの方向に進んでいくのかが、今後の企業としての競争力に大きく関わってくるのではないでしょうか。

場所を移しただけでは「働き方改革」ではない。リモートワークは企業に定着するか?

リモートワークという働き方に関してはいかがですか? 弊社がそうなのですが、普段から雑談レベルでも顔を合わせる機会が減った分だけ「オンライン会議が逆に増えた」なんて声もありますよね(笑)。冒頭「BizRobo!はあくまで解決手段であり、依存しきってはいけない」といった話がありましたが、リモートワークもまた、生産性向上に直結するとは言い切れませんよね。
その通りですね。まず無駄な会議を減らすという視点やコミュニケーションの取り方など、、いろいろなことを合わせて考えないといけないと思います。
とはいえ、特に働き方改革の文脈においては、コロナ云々にかかわらず、リモートワークの必要性が一部で問われてきています。これをきっかけにリモートの本質的なメリットを肌で感じたビジネスパーソンも多いでしょうし。
コロナ以降もこうしたリモートワークを継続していくかどうかは、各企業の方針や業種等にも影響されます。当社では全社的なフルリモートというわけではなく、業務上、社内のシステムや機材、個人情報等を扱う必要のある社員は時差通勤などで出社しています。
リモートワークなどの働き方改革は、先ほどのRPA導入と同様に、リモートワークの導入自体が目的なのではなく、あくまで仕事のアウトプットを出しやすい環境を整えるための手段です。業務内容を見直さずにただ働く場を自宅に移しただけであれば、むしろ過重労働を生む可能性もあり働き方改革の施策とは言えません。新型コロナウイルスが完全に収束するまでは、可能な限り出社や他者との接触を控えることが最優先事項ですが、その先はリモートワークのみを選択するのではなく、さまざまな角度で検討して出社した方が効率的な場合には、十分な感染症対策や充実した執務環境を設計した上で出社を選択するなど、柔軟に対応するのがいいのではないでしょうか。
いずれにしても、リモートワークの割合は増えていくと思います。これまではみんなが1つの場所に集まりながら仕事していたため社員の仕事ぶりが見え、それが評価の要素にもなっていました。リモートワークによって社員の仕事ぶりが見えづらくなるのだとしたら、企業は社員の業務アウトプットに対するより明確な評価基準を設け、アウトプットのイメージを共有しやすくしていかなければいけないのかなと個人的には思っています。
対面で社員を見られる環境でなくなっても、社員のアウトプットに対する評価を正確にできる企業とできない企業が生まれてくると思うのですが、この差は何なのでしょうか。
直接的な要因になっているかわかりませんが、当社ではリモートワークが始まる前から意思決定のスピードは早いです。日頃から経営陣・現場レベルを問わずみんな距離が近くて、普段から会話ができる。構造的に視野・視座・視界を合わせて同じ方向を目指して仕事をしやすい点はあるかもしれません。
非常に重要な視点ですね。とにかく今はこの騒動が早く落ち着いてくれることが先決ですが、withコロナ時代にはこれらの経験をベースとしながら、私たちの働き方も大きく変革するかもしれませんね。本日はどうもありがとうございました。
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