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RPAにも目と耳が!? 自動化の領域を広げるエンタープライズAIの正体とは

少子高齢化社会の到来で労働生産性の向上が迫られる中、ホワイトカラー業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入が大手企業を中心に加速しています。現在運用されているRPAの主流は「Class1」と呼ばれる、定型業務の自動化(ロボット化)を主眼としたツールですが、近い将来には人工知能技術を活用した非定型業務の自動化、いわゆる「Class2」への移行が進むとみられています。今回は、すでに実用化も始まっているClass2のRPAに注目。その機能と役割、さらに導入がもたらすホワイトカラー業務へのインパクトを検証します。

■実行する「Class1」から、判断もできる「Class2」へ。拡大するRPAの実務能力

専門家の間では、RPAの技術は3つの段階に分類されています。初期段階のClass1に該当するのはExcelのマクロに類似する機能、すなわちコンピューター上で人間が行っていた作業をそのまま自動化するもので、高速化やミスの削減、より創造的な業務への人員の再配置といったメリットをもたらします。一方、最終段階であるClass3においては、実作業のほかプロセスの改善や業務上の意思決定もRPAが担うとされていますが、現在のところは実現に至っていません。

定型作業の自動化ソフトウェアとして確立されたClass1と、いまだ構想にとどまるClass3の中間において、現在最も変化が大きく、また多くのトピックを生んでいるのがClass2のRPAです。発展著しいAIを応用することにより、一定の判断を伴う非定型業務や例外対応も自動化するのが最大の特徴で、実用化にあたっては多くの場合、処理するデータを収集する目的で、人間の器官にあたる機能を併用する点も特筆されます。

Class2のRPAとして実用化されている具体例では、請求の登録を自動化するソリューションが挙げられます。請求書のスキャンデータから書式を判断して項目を整理し、テキスト化した記載内容をデータベースに入力する一連のプロセスでAIを活用。前例のない書式は類似の請求書を参考に判断したり、テキスト化の結果と過去情報を照合して誤認識の修正を検討したりといった機能によって99%を超える精度を実現し、RPAの適応領域を広げています。

■画像認識は「目」、音声認識は「耳」。デジタルレイバーの“器官”になるAI技術

RPAによって自動化が進められるホワイトカラー業務。その内容は多岐にわたるものの、インプットされたデータを加工し、別のデータに変えて出力する情報処理のプロセスである点は共通しています。
人間が読んだ文字、聞いた言葉をインプットして作業を行うのと同様、それらの作業を請け負う「デジタルレイバー」であるRPAにも「目」や「耳」の機能が必要ですが、ここでもAIの技術が大いに役立っています。

RPAの「目」となるのは画像認識技術で、中でも重要なのが文字の認識です。スキャナーの付属機能などとして普及しているOCR(光学的文字認識)が代表的ですが、手書きの日本語をテキスト変換する用途では、大量の手書き文字で学習させたAIが用いられ、高い精度を達成しています。

RPAの「耳」となるのは、「Siri」や「Google Assistant」などでもなじみ深い音声認識技術であり、具体的には、コールセンターで受けた顧客の発話をもとに関連しそうな手続きのリストを示すといった用途が想定されています。音声認識には、話し声を正確に拾った上で同音異義語を区別し、文法的な解析を加えるといった自然言語処理の高度な技術が必要となりますが、飛躍的に進化するディープラーニングの活用で実用性を高めたツールが、現在多くの企業から提供されています。

■非定型業務の自動化で、人間の得意分野に集中する時代へ

「判断力を備えたAIが、非定型的な業務や例外対応の多い業務まで対応できるようになれば、AIに取って代わられた人間は、なすべき仕事を失ってしまうのではないか」という悲観的な見方もあるかもしれません。しかし、それは行き過ぎた懸念だといえるでしょう。例えばClass2のRPAの運用をみても、AIの仕事は人間よりはるかに高速ではあるものの不完全さが残っており、最終的な修正・確認を必ず人間が行うことで効率と品質を両立していることが分かります。

そもそもRPAに処理させる業務を見いだし、いかなる処理結果を目指すかという目標を設定できるのは人間だけであり、また今後RPAが普及した後には、そうした新たな環境を基盤とする新たな職業が誕生しうることも忘れてはなりません。

機械的・定型的な業務はClass1のRPAに委ね、目や耳での知覚を伴う非定型業務も多くをClass2のRPAに移管させることで、人間は従来にないコンセプトの探求や深い思索、じっくり時間をかけた対人コミュニケーションなどに集中することが可能となります。

AIとの融合で、あらゆるホワイトカラーの職場を変えてしまうほどの巨大なポテンシャルを秘めているRPA。この新たな技術を、事業規模と事業機会の拡大、さらにはライフスタイルの変革をもたらす存在として積極的に採り入れる姿勢こそが重要だといえるでしょう。

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